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風の使徒は、女騎士がお好き  作者: Hatsuenya


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風の使徒は、女騎士をお助けします!

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 『辺境騎士団長は、ちっちゃな妖精がお好き』の裏バージョン。妹の美央の話になります。同時進行のお話なので、どちらを先に読まれても、問題ありません。


 コメディです。心を空っぽにして、お楽しみ下さい。



 何てこった。魔獣を吹っ飛ばしたは良いけれど、助ける筈の女騎士様まで、吹っ飛ばしてしまった……。すいません。


「だ、大丈夫ですか?何処か痛い所は、ありますか?」


 倒れていた女騎士様は、閉じた目蓋を縁取る睫毛が長く、流れる様な銀の髪を綺麗な金色の混じる赤い紐でポニーテールに結んでおり、漫画でよく見る赤い骸骨服の騎士服を着た線の細い綺麗な女の人だ。腰には剣も携えている。

 良い!これは、良い!本物の女騎士様だ~!はわわ~~~。


「君は、誰?私は、助かったのか?」


 はいっ。助かってなくとも、全力でお助けしますよ~。私にお任せあれ、です。んふふふふ。

 


 小さな頃から、戦う女の人が好きだった。中でも、男装して、男の人と一緒に戦い、仲間を勝利に導く、そんな強い女の人に憧れてた。

 実際の私は、高校生になったのに、何故かいつも中1の男の子に間違えられていた。

 髪が短いせいなのか?いや、友達のマキちゃんは、ショートカットでも、ちゃんと高1の女の子に見えるのに。

 謎だ。




 事の初めは、どれくらい前だったか。私と姉の美々子は、夜にコンビニに行った帰りに車に跳ねられ亡くなった、らしい。


 ちょうど異世界から遊びに来てた風神様と雷神様が、亡くなったばかりの私達に、目を付けた。


「おやおや、これはこれは。この娘達は、私達の信者じゃないか」


「本当だ。これは、好都合」


 自分達の世界でバイトをしてくれる者を探していたニ神は、喜び勇んで私達の世界の神から、私達を譲り受けて連れて帰った。


 その時、姉はお気に入りの雷神のスカジャン、私は風神のスカジャンを着ていたのだ。


「まあ、雷神様好きだし」


「まあ、風神様好きだし」


 死ぬよか、良いよね。


 うんうん。




 ドン、ドン、ドンっと稲光と共に空から雷を次々と降らし、お姉ちゃんが魔獣達を蹴散らしていく。


 私がぶわっと突風を吹いて、四散した魔獣達を更に細かく魔力の分子に分解していく。


 雷で蹴散らすのがお姉ちゃんの担当。風で分子に散らすのが、私の担当。スタンピードの度に、魔獣達を蹴散らし、分解して、魔力の分子に戻して、この世界にばら蒔くのが異世界からやって来た私達のお仕事。

 仕事内容的には、まあ、増えすぎた魔獣のお掃除?かな


「うーん、今日も良いお仕事、しました!」


 お姉ちゃんが、そう言うと、背中に背負ってる雷神様の刺繍のスタジャンが、心なしか喜んでる気がする。


「ヤバい。張り切り過ぎちゃって、神力が殆ど残ってないや」


 私のスタジャンの背中には、風神の刺繍が光ってる。神力が残り少ないと光り出す事になっている。


 まるで、何処かの星からやって来た正義の味方の宇宙人のように。


「お姉ちゃん、あっちから砂埃が走ってくる。大型イノシシの魔獣?に追いかけられた、馬に乗った人!」


「え?ヤバくない?あいつ、止まんないよ」


「ちょっと、ちょっとお姉ちゃん。髪の毛の長いキレイな女の騎士だ!」


「すぐに助けるのよ!」


 お姉ちゃんが、そう言いながら、雷を落とした。

 ふと見ると、お姉ちゃんが、どんどんどんどん小さくなっていった。


「お姉ちゃん!?縮んでるよ」


 お姉ちゃんは、大きくなってしまった自分の服から何とか抜け出し、側に落ちていた手拭いを手にした。素っ裸だったので。


「お姉ちゃん、雷の威力、弱すぎ。後は、あいつは風で吹っ飛ばすね」


 ぶわっと私の周りに風が渦巻き、大型イノシシを吹き飛ばした。が、ふと見ると、お姉ちゃんも吹き飛んでしまった。ちっちゃかったからな~。


「ごめーん。お姉ちゃーん。神力不足で制御不能ー。風神様~お姉ちゃんをよろしく~」


 お姉ちゃんは、両手で掴んでいた手拭いに風を受け、飛び続けた。


「あーれー……」


 そんな声が聞こえた気がした。小さくて良く聞こえなかったけど、多分、そんな感じ。

 本当に、ごめーん。

 でも、まあ、大丈夫だよね。お姉ちゃんには雷神様の加護もあるし。




 女騎士様の側に倒れていた馬の方は、すぐに気付いて身体を起こし、ブルブルっと震って、立ち上がった。

 騎士様の方も、すぐに立ち上がろうとしたが、ふらついていたので、私のスタジャンを脱いで枕にし、横になってもらった。

 さささ、ここに横になるですよ。

 これで、スタジャンから風神様の神力を吸収し、元気になる筈。


「魔獣は、どうした?」


「大丈夫です、騎士様。私が吹っ飛ばしときました。もう、心配いりません」


 女騎士様の疲れた感じの少し掠れた声が、この方の容姿にピッタリで、また良い。身長は、私より高い。女の人にしては、ちょっと高い位?お姉さまって、呼んで良いですか?

 私にお姉ちゃんは、いるけどさ。妄想が、ダダ漏れそう。


「私は、スターシオ。少年よ、名は何と言う?」


 風神様は、何と言った?

『本名を名乗ることなかれ。この世界では、名を利用され、呪に用いられることもある。気を付けろ』

 そうだった。そうだった。


「ミオウ。ミオウです」


「ミオウ。ありがとう。美しい名だな」


 ミオ→ミオウ。ウを付けただけだけど、良いよね?



「美央の莫迦たれ~!アンポンタン~!」


「ごめんね~。お姉ちゃ~ん。女騎士様は、私がお助けするから、安心して~」


「え~ん。私だって、女騎士様が良かった~」





 姉のミミの飛ばされた先の辺境騎士団は、でっかい髭だるま軍団でした。

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