«世界一位、天空竜に挑む»
やあ、みんな!
VRMMOの頂点コンビ、知ってる?
俺、世界トップ1のクリダメ剣士。
相棒、頭脳派の美女キャラ使い!?
最終ボスをぶっ倒した瞬間――
気づけば、ゲームが現実!?
ドラゴンの咆哮。
一撃で街が終わる。
でも、俺のクリティカル90%ビルド――
こいつ、伝説の竜すら倒せるか!?
死ねば終わり。
ログアウト? ねえよ。
最強か、ただのデータか。
試してみねえ?
冒険、スタートだ!
リュージが一瞬、立ち止まる。
自分の体を感じる。
VRじゃ、いつもヴァルガスだった。
剣を振る。
地面を浮く。
筋肉は完璧に動く。
痛みも疲れも、ステータスの数字だけ。
でも今…
一歩ごとに足が重い。
筋肉が、ちょっと動くだけで燃える。
本物の鎧の重さが背中を引っ張る。
手の中の剣、ピクセルじゃない。
冷たい鉄が掌を押しつける。
刃の光、まるで血の脈みたいに生きてる。
「くそ…」
リュージが剣を握りしめ、息を吐く。
「これが本物の戦いか…」
相棒を見やる。
二人とも、同じショック。
「これ… マジだな」
リュージが静かに言う。
「VRじゃねえ。」
二人はその場で固まる。
風が髪を揺らす。
太陽が肌を焼く。
ちょっと動くだけで、筋肉がうずく。
カヅマが慎重に一歩。
女の体、ぎこちない。
バランスが違う。
動きが言うこと聞かない。
よろめく。
地面に倒れそうになる。
「ちっ…」
カヅマが歯を食いしばってつぶやく。
「基本動作すらキツい…」
遠くの地平線。
巨大なドラゴンが浮かぶ。
翼が雲を切り裂く。
目が、溶けた金属みたいに輝く。
夕陽の最後の光を浴す。
その吐息、熱い風を巻き起こす。
土埃と震える草を舞い上げる。
下方では、まるでチェスの駒。
騎士と魔術師が怪物と戦う。
剣がキラリ。
矢が標的へ飛ぶ。
魔法の爆発が、眩く炸裂。
「ダリウス隊長!
再編しないと、ドラゴンが左翼を焼き尽くす!」
魔術師エリアラが叫ぶ。
細身、銀青の髪。
彼女の魔法、雷のように光る。
ドラゴンを撃ち、炎の閃光を弾く。
「分かってる、エリアラ」
ダリウス隊長が冷静に答える。
背が高く、筋肉隆々、眼光は威厳。
「射手の支援に集中しろ。
俺が右翼を抑える。
パニックになるな!」
ドラゴンが鋭く旋回。
翼を広げる。
衝撃の風が、近づく騎士たちを吹き飛ばす。
爪が太陽でキラリ。
一撃ごとに地面がえぐれ、
遠くで見る者たちの息を奪う。
リュージがヴァルガスの剣を握りしめる。
重さ。
冷たさが手に響く。
心臓がバクバク暴れる。
「くそ…」
歯を食いしばり、つぶやく。
「こいつら、マジでこの化け物と戦ってる…」
カヅマが隣で立つ。
手が震える。
モリガンの体、勝手に硬直。
「こいつら… 勝てるのか?」
囁くように聞く。
「俺たち… どうすりゃいい?」
リュージがドラゴンを見上げる。
巨大な動き、異常に速い。
なのに、どっしり重い。
翼の振動で、世界が揺れる。
「今は… 様子見だ」
静かに言う。
「何が起きてるか、理解してから動く。」
ドラゴンの翼が巻き起こす強風。
二人は一歩後ずさる。
エリアラが騎士団に魔法の盾を張る。
炎の奔流を弾く。
ダリアス、驚異的な身のこなし。
剣で攻撃を弾き、次の突進を狙う。
リュージとカヅマ、凍りつく。
戦いを見つめる。
恐怖と、興奮。
だって、目の前はもう仮想じゃない。
本物の危険。
死は、多分、ホントに終わりだ。
空を背景に、ドラゴンが舞う。
まるで災害そのもの。
翼の振動が、砂嵐を巻き上げる。
咆哮で、近くの家の壁が震える。
「隊列を保て!」
ダリウスが叫ぶ。
剣、魔法の力で煙ってる。
「街に突っ込ませるな!」
「隊長!」エリアラが叫び返す。
「人が減ってる!
鱗が魔法を弾く!
翼、ほとんど傷ついてねえ!」
ダリウス、剣を握り直す。
ドラゴンの尾の攻撃をかわす。
その力、化け物じみてる。
一撃で、石の壁を粉々にしそう。
「もし突破されたら…」
ダリウス、息を整える。
「何千人も死ぬ。
勝てなくても… 食い止めるんだ。」
エリアラ、唇を噛む。
両手に光る魔法陣を形作る。
「なら、最後まで行くよ。
でも、隊長、先に死ぬなよ。」
その瞬間、ドラゴンが咆哮。
その息、炎の竜巻を巻き起こす。
近くの騎士数人、地面に崩れる。
鎧が、溶け始める。
ダリウスが突進。
剣を振り、怪物の首を狙う。
だが、刃は鱗に薄い傷を残すだけ。
エリアラ、隙をつく。
純白の光のビームを放つ。
ドラゴンの目に直撃。
咆哮を上げ、ドラゴンが高く舞い上がる。
でも、引かない。
「…笑ってる」
一人の魔術師が囁く。
ドラゴンが翼を畳む。
上から急降下の構え。
リュージ、剣の柄を握りしめる。
重い、力強い刃。
ルーンが刻まれ、輝く。
鎧が太陽の下でキラキラ。
目に、ドラゴンの姿が映る。
ヴァルガスの体――
筋肉が、力で満ちてる。
一振りごとに、力が響く。
クリティカルダメージ90%のぶっ壊れビルド。
一撃が、ほぼ必殺。
日本トップ1。
世界サーバーでもトップ1。
無駄じゃない。
カヅマが後ずさる。
マントで顔を覆う。
ドラゴンの翼が巻き上げる風から守る。
「お前、何企んでる?」
カヅマが渋い顔で聞く。
「分かんねえ?」
リュージ、首をポキッと鳴らす。
視線は標的に固定。
「このクソ野郎、ぶっ潰すぜ。」
「頭おかしいだろ!?」
カヅマ、声を荒げる。
「勝ち目ねえよ!
戦いで大事なのは勝つことじゃねえ、生き残ることだ!
逃げて、逃げまくれよ!」
「俺は逆だと思うぜ」
リュージ、ニヤリ。
「大事なのは、敵が二度と起き上がれない一撃。
前進あるのみ!
俺、最強だろ?」
「ここ、ゲームじゃねえんだよ、リュージ!」
カヅマ、叫ぶ。
「一歩進んだら、生きながら食われるぞ!」
「かもな」
リュージ、一歩踏み出す。
ドラゴンから目を離さない。
「でも、こいつを倒せたら、俺たち伝説だ。」
ドラゴンが咆哮。
騎士十人を、枯れ葉のようにはらう。
「へっ、世界トップ1さんよ」
カヅマ、皮肉たっぷりに投げる。
「その1位が、現実でどれだけ価値あるか、試してみな。」
「そのつもりだ」
リュージ、笑顔で剣を掲げる。
一気に、戦場へ突っ込む。




