「アバターが実体になり…死が現実になるとき」
私は日本語ネイティブではありませんので、翻訳を通して書いています。もし変な表現や間違いがあれば、コメントで教えていただけると嬉しいです!
リュージがVRヘルメットを被る。
軽い重さと、こめかみに冷たいプラスチックの感触。
「よし、今日こそレイドをクリアするぞ」とつぶやく。
ゲーム用のグローブをギュッと握る。
隣でカヅマが髪を整える。
ゲーム内じゃ、いつも太陽の下でキラキラ光る髪だ。
顔は冷静。
でも、目はちょっと警戒してる。
「リュージ、ちゃんと座れよ。
この前、画面に突っ込んで鼻折るとこだっただろ」
「バッチリだ!
今度こそ完璧に行くぜ、な?」
リュージがニヤッと笑う。
ちょっとした緊張を隠してる。
部屋が薄暗くなる。
ヘルメット。
コードの束。
壁のLEDがチカチカ。
いつものレイド準備。
でも、二人にはこれ、儀式なんだ。
「準備できた?」カヅマが聞く。
「バッチリだぜ」リュージが頷く。
二人同時にアクティブボタンを押す。
世界が白い光に溶ける。
部屋の音が消えた。
残るのは、風の軽いざわめきだけ。
そして、目を開く。
そこは、いつもの――でも、完璧すぎるゲームの世界。
緑の谷が広がる。
草が風に揺れる。
遠くに、城の壁がそびえる。
空には雲が流れ、太陽の光を映す。
まるで生きてる絵画だ。
「キレイだな… 毎回見るけど、慣れねえよ」
リュージが息を吐く。
「だろ、俺もだ。
でも、集中しろよ」
カヅマがパネルをチェックしながら言う。
二人のアバターが並ぶ。
まるで伝説から抜け出した英雄だ。
リュージ――黒と赤の鎧に身を包む長身の戦士。
光るルーンが刻まれてる。
背中には幽霊みたいな翼が揺れる。
手に握る巨大な剣は、夕陽みたいに輝く。
隣はカヅマ――優雅な暗黒の美女。
真紅のドレスが足元で波打つ。
肌は冷たい光を放ち、目は近づく者を呪い殺しそう。
動きはゆっくり、まるで獲物を狙う獣のよう。
「今日こそ、完璧なコンボ見せるぜ」
リュージが言う。
手が、期待で震える。
「シンクロが命だぞ、忘れんな」
カヅマが答える。
素早く、二人の距離を確認。
一歩踏み出す。
仮想の草がパキッと音を立てる。
指先に、コントロールの軽いピリピリ感。
慣れてるのに、どこか新鮮。
完全没入の感覚だ。
数時間後、戦闘中。
「3でな」カヅマが言う。
「1、2――」リュージが数える。
「3!」
世界が一気に動き出す。
魔法の閃光。
剣がキラキラ輝く。
ヘルメットが、敵を叩くたびに軽く振動。
この瞬間、二人一体。
一歩、斬撃、剣の振り――全部、シンクロ。
勝利は、もう目の前。
だが、次の瞬間――
眩しい、白い光が全てを飲み込む。
白い輝きがゆっくり消える。
朝霧のようにな。
残るのは、肌を撫でる冷たい風の吐息だけ。
リュージが目を瞬く。
最初、世界はぼやけた染み。
でも、だんだん輪郭がはっきり。
気づく――背中で草の上に寝てる。
冷たい草の刃が指の間をスルッと滑る。
下の土は温かい。
まるで太陽の息を宿してるみたいだ。
「…なんだ、これ…」
ハスキーで、知らない声が漏れる。
立ち上がる。
心臓がドクンと胸を突く。
顔に上げた手――違う。
重い。力強い。
筋肉が、知らない密度を持つ。
指の動き、鈍い。
骨が、痛いほどはっきり感じる。
視線が、腰の剣に落ちる。
ピクセルの幻じゃない。
本物の冷たい鉄。
光を反射して、刃が微かに震える。
腰を下げる重さ、紛れもない。
ゆっくり、まるで現実を驚かせないように、リュージが立ち上がる。
風が、高い草に波を走らせる。
遠くで、低い唸り声。
広大な空間に呑まれる。
見回す。
果てしない平原。
まばらな木々が、ギザギザの線を描く。
丘は、靄に包まれる。
全部、痛いほど見覚えがある…
でも、音、匂い、足元の地面の震え――
全部、ゲームじゃありえないほど、生きてる。
カヅマが隣で固まる。
息もほとんどしてない。
視線が、ゆっくり下に滑る。
いつもの男の体、ない。
そこにあるのは、モリガンの細い女の体。
VRじゃ、彼女を操るだけだった。
触れば、男の筋肉、骨、自分の「俺」が感じられた。
でも今…
体のカーブ、ライン、布の感触、金属の冷たさ――
全部、本物。
よそよそしい。
逃れられない。
指が震える。
細い腰、華奢なグローブをなぞる。
自分の手、でも、どこか違う。
「くそ…」
声が、かすれたハスキーで漏れる。
「これ… マジかよ…」
パニックが秒ごとに膨らむ。
手を上げる。
知らない、生きてる手。
叫びそうになる。
「パネルは!? インターフェース、どこだよ!? 何!? 何が起きてんだ!?」
「……まさか、これ、フルダイブの不具合じゃなくて……」
カズミの顔から血の気が引いていく。
「おいおい待て、これは……異世界転移ってやつじゃねぇのか?」
「は!? 何言ってんだお前! そんなのアニメとかラノベの話だろ!」
リュウジが怒鳴るが、その声には震えが混じっていた。
周囲を見渡せば、見たことのない空の色。
遠くには、雲を突き抜けるほどの巨大な城壁。
その外で飛び交う――どう見ても本物の――翼を持つ生物。
「……ドラゴンだな、あれ」
カズミが呟く。
「冗談じゃない……このスケール、CGじゃありえねぇ……」
二人の脳裏に、同時に浮かぶ。
何十本も見てきた異世界アニメ。
何百話も読んできた転移系マンガ。
小説の主人公たちが、全員口を揃えて言っていたあの言葉――
「……俺たち、本当に……異世界に来ちまったのか?」




