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第三話「神、第二の誕生!」

8/10大規模な改変を加えました。 早々と読んで下さった方、申し訳ないです。

 俺はどうなったのだろうか。

 あれから長い時間が経ったような気がする。

 目の前は真っ暗だが、体がふわふわと浮いている感覚がある。


 いや、そもそも体が無い!

 手を動かそうとしても、それを根本的に理解できない。

 これは、妄想の中で4本の腕を動かそうとした時みたいな感じだ。

 第3の目を開眼出来なかった時も同じような感覚だった。


 それにしても、実家で見たあれはどう考えても血液に違い無い。

 その証拠に、俺の体もズバッと貫かれたではないか。

 そうか…そうだった。

 俺は死んだんだ。俺の家族も。

 殺されたんだ。


 ――でもおかしくないか。

 本当に死んだのであれば、俺はどうやって今現在、考えることが出来ているんだ?

 頭の感覚は無いが、確実に思考をすることは出来ている。

 本来ならあり得ない。


 もしかしたら、これが走馬灯なのか?

 お前の人生つまらなすぎ笑

 走馬灯もくそもありませ〜ん笑ってか

 どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって。

 あーくそ!


 でも、あと一回…あと一回だけでも、家族と話したかった。

 それだけが本当に心残りで仕方ない。

 神様も残酷だよなーほんと。

 俺がどんだけ自分の人生をつまらないと思っていても、死にたいなんて一言も言ってねぇぞ。



 ってあれ?

 手足の感覚が………復活した?…………

 なんだ? うわっ!眩しいっ!


 「オギャーーーー!ホンギャー!ホンギャ〜!」

 次の瞬間、俺は訳も分からずに泣き出していた。

 まるで、産まれたばかりの赤子のように。

 


 うるさいなー。

 耳のすぐそばで、女の人の泣きじゃくる声と男の人の安堵の声が混じっていた。



 ――――でもあれ、俺、生きてる?

 

 辺りを見渡そうとするも、首より下はほとんど言うことを聞かない。

 どうやら首より下は全部ダメになったらしい。

 んん〜!

 目玉だけを取れるんじゃないかってほどに精一杯動かして周囲を見る。


 左側には、青白い肌をした藍色の髪の男性が座っていた。

 またその後ろに1人、同じく青白い肌、藍色の髪をした人が立っているのがぼんやりと見えた。

 2人とも、顔がぐちゃぐちゃになるほど大号泣している。

 この人達誰だ?

 みんな酷く体調が悪そうだが、顔は涙で濡れていた。

 いや、この男性、口角が上がっているな。

 俺が死にかけだってのに笑っているのか?

 ふざけんなよほんとに。

 そもそもここはどこなんだ?

 普通に考えたら病院だろう。

 ニートが言えることでは無いが、こんなにも病院がブラックな職場だったとは。

 もしここで助かったとて、俺は後に莫大な治療費で社会的に殺されることになるだろう。

(実家に行っても行かなくても借金生活になる運命か……とことんついてないな…)


 右側には、これまた同じく青白い肌をして座っている、ショートヘアの女性がわんわん泣き叫んでいる。

 はっきり言って、かなり美人で、後々自然な形でお触りしておきたい所だが、

 さっきからどの人も全身に青白い色の特殊なタトゥーを入れているのが気になって仕方ない。

 俺はタトゥーに偏見こそ無いのだが、流石に全身こんな色で墨を入れられた日には、引きこもり生活待ったなしだ。

 

 次に上を見上げると、そこは壁になっていた。

 だが、何やら様子が変だ。

 青紫色の水晶を無理矢理削って壁にしたような、奇妙な色、歪な形をしている。

 俺には分かる。

 あれに体を擦ったら絶対痛い!

 体育館の床に半ズボンでスライディングした時の比ではないだろう。

 まるで金属のやすりで削られているような感覚になりそうだ。

 それにしても、これは何の素材なのだろうか。

 こんな素材は少なくとも日本では見たことも聞いたこともない。

 いや、ヤバめのヤクザに拉致された可能性も否めないのか?

 いやそれは無いな。

 そんな所で赤子のように大声で泣いたら即死案件だ。

 何かの間違いでドバイの病院にでも運ばれたのかもしれない。

 あーますますこれからの生活が心配だ!


 そう言えば、さっきから周りの人は知らない言語を話している。

 ドバイの公用語だったりするのだろうか。

 どちらにせよ、分からないものは分からない。


 下を見てみよう。

 んー?なんだこれは。

 足が小さすぎやしないか⁈

 しかも、俺のビューティフルなお腹が見えない!

 まぁ、予測はしていた。

 体、それも中心にぽっかり穴が空いたんだ。

 俺の内臓はもちろんグチャグチャだろう。

 普通に考えて生きている方がおかしい。

 穴に機械でも詰め込んだのだろうか。


 いや、違う。なんか体が……全体的に小さい。

 腕、短すぎないか?

 手も指も豆粒みたいだ。

 それに俺、全裸で毛布に包まれているではないか。

 

 …マジかよ。俺、赤ちゃんからやり直し?


 そうとなると、恐らく俺の左右に座っている男女は、お父さんとお母さんという事になる。


 俺は信じ難いことに、本当に『異世界転生』してしまったらしい。


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