第七話 スーパーアイドル
「もしもし、バズーカ君?」
その日、久しぶりに村二市監督から電話があった。
「実は伝説の男優であるバズーカ君に、ぜひ、出演してほしい企画があってね」
その企画とは、
「五塔真姫がAVに出演することになったんだよ」
これは衝撃的な作品になるだろう。
五塔真姫は、アイドル・グループ『アフタヌーン少女』のセンターを務めていた人気アイドルだ。だが、人気絶頂の一年前に一般人男性と結婚して、芸能界から引退していた。
それが離婚し、今回、AV女優として復活するらしい。
「監督、ぜひ俺にやらせて下さい!」
これは凄いことだ。実は、僕は転生する前の世界でも五塔真姫の大ファンであった。発売されたCDや写真集は、すべて買っている。
そして撮影当日。胸を高鳴らせながら愛車のカウンタックを疾駆させて現場に赴くと、
村二市監督がペコリと頭をさげる。
「すまないねバズ君。あまりギャラをだせなくて」
「いえいえ監督、俺は、そんな事は別にいいです」
そんな雑談をしながら、しばらく待っていると、五塔真姫がタクシーで現れた。すぐに助監督が走り、タクシーの代金を支払う。
「さあ、こちらへ」
と、真姫をスタジオへ案内する助監督。
「五塔さん、到着でーす」
スタジオ入りした真姫は、大きなサングラスで顔を隠していたが、
「これが『スーパーアイドル』というやつか」
と、思わず唸ってしまうほどのオーラを発していた。僕は圧倒されながらも、挨拶する。
「始めましてバズーカ南斗です。今日は、よろしく、お願いします」
近くで見る真姫は、この世のものとは思えないほどに美しい。この女神のような女性と『これから俺は』などと考えていると、
「こちらこそ、よろしく、お願いしますね」
真姫はサングラスを外して、輝くような笑顔を見せた。
先ずはインタビューの撮影から入り、真姫が現場に馴染んできたところで、村二市監督が僕を呼ぶ。
「バズーカ君、よろしく」
カメラや音声など、すべてのスタッフがベッドの周りを取り囲み、その中央に真姫が腰掛けている。
僕は村二市監督の指示通り、いきなり全裸で真姫の前に立った。目のやり場に困っている真姫に対して、僕は優しい声で言葉を発する。
「緊張してますか?」
「うん、少し、だけ」
「エッチは、好き?」
「はい、好き、かな」
その後、僕は全身全霊をかけて、真姫を逝かせまくった。当然、この痴態の一部始終は撮影され、記録され、やがて発表される。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そして生本番終了後、全裸でグッタリとベッドに横たわる真姫は一筋の涙を流し、
「もう死にたい、私、何を、やっているんだろう」
と、ポツリと本音の言葉を漏らした。