第四話 世紀の俳優対決
AV男優兼漫画家のバズーカ南斗に転生した僕は、スポーツ・エンターテインメント番組『マッチョ・ファイトバトル』に出演した。
そしてバズーカ南斗は、この番組で『砲丸投げ』と『懸垂』で、とんでもない記録を打ち立てる。
実況の男性アナウンサーも、こう言って舌を巻いた。
[バズーカ南斗、彼は超人なのか。物凄い記録を連発して、予選、準決勝とトップで通過です]
そして、いよいよ決勝戦。対戦相手は、準決勝二位通過のアクション俳優・富士丘ヒロシだ。競技は『腕相撲一本勝負』である。
[もう一人の決勝進出、アクション俳優・富士丘ヒロシは、武道の求道者でもあります]
これは手強い相手だ。富士丘は俳優業を一時休止して、数年間、世界中を旅して武者修行を敢行したらしい。そして、
[昨年行われた『芸能人・柔道・最強決定戦』では、見事、優勝。驚異の秒殺四連勝を見せました]
この間に番組のスタッフが、鉄棒を撤収して、アームレスリング・テーブルを設置する。僕と富士丘は、腕を休めるために休憩した。
競技場では番組公式応援団のアイドル・グループ『アフタヌーン少女』が歌とダンスを披露する。
その時、休憩室で、
「バズ南ちゃん、手加減はしないぜ」
富士丘が不敵な笑みで近づいてきた。
「富士丘さん、俺も手加減はしませんよ」
「よし、お互いに遠慮なしの真剣勝負だ」
僕と富士丘はガッチリと握手する。それをTVカメラがアップで写した。
[さあ、いよいよ決勝戦が始まります。両雄が、ゆっくりとした足取りで決戦の地、アームレスリング・テーブルに向かう]
スタンドの観覧者からも、声援が飛んだ。
「頑張れ、バズーカ南斗」
「負けるな富士丘ヒロシ」
その声に手を振りながら、僕と富士丘はアームレスリング・テーブルに付いた。
[決勝戦は『世紀の俳優対決』となりました。アクション俳優、対、AV男優。勝つのはどっちだ]
右手をガッチリと組み合わせる、僕と富士丘。
[レフリーは、ユニバーサル・アームレスリング連盟の前田義明さんです]
そのレフリーが、
「レディ、ゴーッ!」
と、合図発する共に、右腕に全力を込める僕。
グッ、グググッ。
ビクともしなかった。富士丘も物凄い腕力の持ち主だ。両者の力は拮抗している。
[これは凄い戦いだ。まさに平成の名勝負!]
実況担当の声も興奮気味に聴こえた。
「頑張れ、頑張れーッ!」
「行け、行け、行けーッ」
スタンドからは大声援。
[漢と漢の死闘。力と力が、ぶつかり合う!]
限界を超える力を、僕は出した。そして、
バターンッ!
[勝ったのはバズーカ南斗だ!]
僕は勝利した。悔しそうに顔を歪める富士丘ヒロシ。スタンドからは盛大な拍手。
[やりました。バズーカ南斗。マッチョ・ファイトバトルの優勝者は、AV男優兼漫画家のバズーカ南斗です]