表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

第三話 現代に甦ったヘラクレス

 スポーツ・エンターテイメント番組マッチョ・ファイトバトルの準決勝は『懸垂サバイバル』という競技であった。


「先程の砲丸投げでは凄い記録がでましたが、懸垂は得意ですか?」


 女子アナの佐藤あや子がマイクを向けたので、僕は素早く、彼女のお尻を触った。


「きゃっ、スケベ!」


 あや子は、僕の背中をバシンと叩く。


 転生前の令和の世の中なら『大炎上』するセクハラ行為だが、それが許されるのが、この平成時代だ。


「いいぞ〜っ、バズーカ南斗!」

「さすがAV男優。もっとやれ」


 バズーカ南斗に転生した僕は、スタンドからの声援に手を振った。


 そして準決勝の四名が鉄棒の前に横一列に並ぶ。


・アクション俳優・富士丘ヒロシ

・元野球選手・桑原貞茂

・体力系お笑い芸人・仲夜魔キン弍君

・AV男優兼漫画家・バズーカ南斗


 この競技は、一分間の懸垂の回数を競う。


[選ばれし四人の強豪が横一列に並び、サバイバルマッチの準備は整った。これから一分間の地獄が始まる。生き残るのは誰だ]


 実況担当の男性アナウンサーが、煽りで大会を盛り上げた。


[いよいよ準決勝。この懸垂サバイバルマッチでの上位二名が決勝へと進出します。つまり半分の二人が脱落]


 ピィーッ。


 競技開始のホイッスルが鳴り響き、四人が一斉に鉄棒を掴む。


[さあ、始まった。漢たちの意地と意地とのぶつかり合いだ!]


 懸垂するだけの競技を男性アナウンサーが、それらしく実況した。


[半数が脱落という過酷な『懸垂サバイバルマッチ』生き残るのは誰なのか]


 そんな実況を聞き流し、僕は懸垂を続ける。


[静かなる死闘。己の腕力だけを信じる孤独な戦い。生存率50パーセントの過激なデスマッチだ]


 25、26、27、28、29、30、


[おーっと、バズーカ南斗が三十回を超えた。なんというハイペース。これはいい記録が出るか]


 懸垂をする一分間は長い。腕が疲労して呼吸も乱れてきた。それでも僕は懸命に懸垂を繰り返す。


 71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、


 ビィィィーッ!


 ここで修了のホイッスルが鳴る。と同時に、


[何ということだ!]


 実況のアナウンサーが叫び声をあげだ。


[ここで『ギネス世界記録』が飛び出した!」


「えっ、誰だ?」


 と、僕が思った瞬間に、


[バズーカ南斗、80回。今までのギネス世界記録を三回も上回る大大大記録。まるで『現在に甦ったヘラクレス』だーッ!]


「あっ、僕だったのか」


 あまり実感はなかったが、スタンドから物凄い歓声が湧き上がる。


「ウオオオォォォォーッ!」


 その声援に、僕は高く手を挙げて応えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ