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最終話 激しい戦いのはてに

 超満員の帝都ドーム。熱狂と声援。


[バズーカ南斗、カウント8で立ち上がりました]


 目の前には強敵『漆黒の鉄人』マイケル・タイタンが立ちはだかっている。


 タイタンは軽いステップのフットワークを見せ、クルクルと右を回し、挑発してきた。次の一撃で、僕を倒す気なのだろう。


「だが、僕には火事原先生直伝の必殺技がある」


 大きく息を吸い、吐く、僕。


「バズーカ!、南斗!、バズーカ!、南斗!」


 帝都ドームには『バズーカ南斗コール』が渦巻いていた。


 その大歓声のなかでリング上だけが静かだ。僕はマイケル、タイタンの眼をジッと見て、一方、左足を踏み出す。


「ハイパー・マグナム・ウルトラ・バンチッ!」


 グオオゴゴゴゴゴゴオォォォォウゥゥゥーンッ!


 唸りをあげる、僕の右アッパーカット。


 バヂゴオオォォーンッ!


 直撃だ。


「ヴアゥッ」


 強烈なパンチの衝撃で、呻く、マイケル・タイタン。


 奴は真上に吹き飛び、そのまま空中で気を失って、背中からリングに、


 ドスーン。


 墜落した。レフリーが思わず、試合を止める。


 カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン。


 ゴングが連打されるなか、レフリーが僕の手を挙げて、勝利が確定された。


[勝者、バズーカ南斗です。なんという幕切れでしょう。強烈なアッパーカット一閃。第二ラウンド一分30秒。劇的な勝利です!]


「ヤッタァーッ、バズ君!」


 いつの間にかリング下に、井伊島愛衣いいじまあいが来ている。


 僕はリングから飛び下りて、


「勝ったよ、愛衣ちゃん」


 と、愛衣と抱き合い、熱烈なキスをした。


 この瞬間は、当然、カメラマンに撮られ、翌朝のスポーツ新聞の一面にデカデカと掲載される。


「なんだ、コレは?」


 その写真を見た僕は思わず声を上げてしまった。なぜならば、僕と愛衣のキスシーンの背景に『鬼の形相』の佐藤あや子と舞花が、写り込んでいたからだ。



 後に『平成の名勝負』と呼ばれるようになる、マイケル・タイタン戦に勝利した僕は『国民的英雄』と、なったのだが、


 漫画家としては、タイガー・ホールの次に連載した。期待作『ファイヤー・フェニックス』が不評で、早々に打ち切りとなってしまう。


「先生、テーマが難し過ぎたんですよ」


 と、チーフ・アシスタントは言ったのだが、


 しかし二年後、このファイヤー・フェニックスがフランス人の映画監督の手により映像化された。


『生命とは何か?』


 を、テーマにした、この映画は世界の各国で高い評価を受け、国際的な最高峰の映画賞を受賞する。


 そして、原作漫画も世界から注目され、僕は日本を代表する気鋭の漫画家となったのだ。


「全く、世の中とは解らないものだな」


 と、言いながらも『バズーカ南斗に転生した僕』は、この平成の世界で、今日も漫画を描き、時々は村二市監督のAVに男優として出演する人生を送っている。

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