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第三話 一人の少女

リューンはその歴史ある街並みから観光都市としても発達しており港にはとても大きな豪華客船が何隻も停泊している。


しかし二人が向かう先のガイエンはとても小さな町で船の利用者も少ない事から船の便の本数も少なく何よりとても質素な船である。


一応船は高速船だったため到着にはあまり時間はかからなかった。


ガイエンは自然豊かなところで生えている木もリューンとは違っていた。


家がぽつぽつとまだらに見えるがどうやら人気(ひとけ)はなさそうだ。


「ついぅたー、おぇ」

「おぇおぇおぇおぇ」


二人とも到着してそうそう豪快に海に吐いた。船は高速なのだが質素なためその分揺れが激しい。


「あれぇ、よっちゃったー?」


船から眉毛で目の隠れた船長が下りてきた。


「酔っちゃったー?じゃねーよ!」


二人は急いでつっこんだ。


「あぁ、しゅまんしゅまん」


酔いがさめるのを待って聞いてみることにした。


「船長、この場所に行きたいんですけどどうやって行くか知ってます?」


カイは持っている地図を船長に見せて聞いた。


「あぁ、そこならあの奥に見える道からいけるわい」

「あれ道なんですか?ちょっと険しそうですけど」

「あそこを通るしかそこの場所まで行く方法はないのぅ」


二人は思った。本当にあっているのかと。


「何か乗り物はないんですかここまで行くための」

「ない!というよりその場所はゾーイさんの家があるところじゃのぅ」

「ゾーイさん?」

「何じゃ御主ら知らん人のところに行くんかいな」

「まぁいろいろありまして」


(ゾーイさん、じいちゃんが言ってた助けになってくれる人か)


「おぬしらならいけるじゃろうて、わしは無理じゃがのぅ」

「教えてくださりありがとうございます」


二人はお礼を言って例の道に向かうことにした。


港から少し離れたところで後ろから船長が大きな声でこちらを呼んでいた。


「大事な事言うの忘れとったわ、コツじゃ」


コツを教えてくれるのはありがたいと二人は振り返った。


「大事なのは"気合いじゃー!""気合い”」


すると同時に二人は思いっきりつっこんだ。


「コツじゃねーよー!!!!!」


二人はしぶしぶ険しい道を通ることにした。谷を越え崖を登りかなり過酷な道のりだったが何とか進んだ。


「行くにしてもなんでその人のところに」

「俺のじいちゃんがその人を頼れって、きっと力になってくれるからって」

「なるほどなー」


しばらく緩やかな傾斜を登っていくと高原に出た。


遠くを見ると家が一軒ぽつんと立っていた。そして家に続くように一本の道が伸びていた。


『え?』


二人は思った普通の道あるやんけと。


(あのクソジジイ)


だが時すでに遅し、もう登りきっていた。


二人はもうここまで来れたからいいじゃないかと無理やり自分たちを慰めた。


家は木造建築の二階建てでどこにでもある普通の家だった。


扉の前にきてノックをしてみる。


「すみません、誰かいらっしゃいますか」


返事はなかった。


「こういう時はもう一回ノックしたほうがいいのか?」

「あんまり俺もこういう礼儀は分からないけど、念のためにもう一回くらいノックしといたほうがいいんじゃないか」


と話していると、玄関のドアが"ギィ"とあいた。


扉からはプラチナブロンドで長髪の背の低い女の子が出てきた。


見た目は十代半ばくらいの見た目をしている。身長は140㎝といったところか。


「ご用件は何でしょうか」


カイはてっきり大人が出てくると思っていたので少し驚いたが、一回冷静になって答えた。


「ここはゾーイさんのお宅で間違いないでしょうか」

「はい、そうでございますが、どういったご用件でございましょうか」


とても落ち着いた口調で大人びているように感じた。


「それはよかったー。それならお父さんかお母さんに変われるかな」

「父母はいません」

「いつ帰ってくるか分かるかな」

「帰っては来ません。ここには私一人で住んでいるので」


(ん?今おかしなことを言わなかったか、一人で住んで.......)


「えーーーーー、じゃああなたがゾーイさん?!」

「だから初めから言っておるだろ、私がゾーイだ。シャーレ・ゾーイ」


先ほどとは違う口調でやれやれといった表情で言った。


二人ともたまげていた。


でもここで疑問が生じた。ジエフはなぜこのような子供を頼るように言ったのか。それとこの子供はいったい何者なのか。


不思議そうに思っているカイとシエルに言った。


「お前たち何か勘違いをしていないか。今私のことをガキだと思っただろう」

「そうじゃないの?」

「バカ者!お前たちよりもうーんとうーんと年上だ!」


二人とも何を言ってんだこの子という表情でゾーイを見た。

「最近の子って恐ろしいな」「うんうん」

二人は小さな声でこそこそと話している。


「こいつらはまったく..もー、仕方がない。お前たちの年齢を言ってみろ」

ゾーイは少し呆れたような怒っているような口調で言った。



「それにまだ自己紹介してなかったし、紹介がてらに。オレはカイ、17歳だ」

「俺はシエル、19歳」

「え、シエル19歳だったの?俺より年上じゃん」

「そうだな」


二人がいろいろ話していると、割って入るようにゾーイが言った。


「いいか、一度しか言わないぞ!女性が年を言うのはどうかと思うが、私の年齢は200歳だ」


「えーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


二人は今日何回驚くのかというくらい驚いているがこれは今日一番の驚きだった。




この少女はいったい何者なのだろうか。




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