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新婚旅行作戦その3

「ウガァァァァア!!」

「なあ、こんなもんじゃ収まらねえんだよ私の怒りは」


 アリサはクラーケンの触手を少しずつ、少しずつ斬り落としていく。


「ヒィィィイィィせめて一思いに殺してくれぇぇぇ」

「お前、ディアベルが放せと言った時、放したか?」

「は、放すわけないだろ……何のために捕まえたと思って」

「そうだよな。だから私もお前の願いは聞き入れない。せいぜい最後まで自分の行いを悔いて絶命するんだな」


 アリサはその後もクラーケンを少しずつ痛めつけていった。決して途中で死なないように、急所から遠いところからジワジワと嬲るように痛めつけていった。



「魔王様アイツヤバイですよ! もしあの憎悪が魔王様自身に向いたら!!」

「それは、我も思う……でも」

「でも……?」

「アリサに助けられた瞬間……胸の奥がときめいてしまってな……こんな感覚、初めてなのだ」


 ディアベルは顔を紅潮させ、もじもじしながらそう答えた。


「駄目だ……今の魔王様は完全に女の顔をしてますよ……。しれっと勇者を下の名前で呼んでますし」

「くぅぅぅ勇者めぇぇ私の魔王様を」

「いやアリスのでもありませんよ」

「うむ、魔王様にも春が来たということですな!」

「うわ、また酒飲んでますね……」



「この間は大丈夫だったか? すまない。私がもっと警戒していれば……」

「いいんだ。助けてくれただけで我はもう……」


 あれからというもの、アリサの近くにいるだけでなぜか胸がドキドキする。

 

「あ、あのアリサ」

「どうした?」

「手、握っても良いかな」

「そうか。ほら」


 アリサに差し出された手を握ると、優しく握り返してくれた。

 温かさが伝わってくる。あんな化け物じみた力を持っていても、こういったところは普通の女の子と変わらない。

 近くでよく見てみると改めて思う。アリサの白髪は美しい。まつ毛も長く、端正な顔立ちをしている。それでいて我を助けたときの我を想う顔。

 あれ、もしかして我……アリサのことが好きになって……いや、違う違う忘れるな! 我は勇者を利用しているだけだ!


 ……だけど、アリサと一緒にいるのも、悪くないかな。

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