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海神

「いきなりなんなんじゃ……」


 現れたのは眠そうに目をこする長身の美女。

 海神を自称する者だから、もっと大柄な怪物か何かだと思っていた。しかし実際目の前に存在するのは普通の女性だ。

 

 ただ一つ想像通りなのは、内から放たれている魔力量が常軌を逸していることだろうか。

 神に初めて相対した時と似たような雰囲気を感じる。

 我よりも遥かに強いのは確実だろう。


「やあ久しぶり」


「なんじゃ貴様か。で、何の用じゃ?」


「いやあ新しい魔王に天界を乗っ取られちゃって……助けてくれないか?」


「……ひとまず中へ入れ」


 我らは海神に城内へと案内された。

 城内には緋色の絨毯が敷かれており、高級感を醸し出している。また柱や壁に使用されている石灰岩は高度な技術で加工されているのか、美しい断面が光を反射させている。

 よほどの財力が無ければこんな城は作れない。それだけこの海神は常軌を逸した存在ということなのか?


 しばらく歩いた後ソファへと誘導され、我とアリサと神の三人と海神がテーブルを挟んで対面で座る形となる。


「さて、それじゃあ詳しく聞かせてもらおうかの」


「ああ。早速だが、魔王と勇者の話しは覚えているか?」


 神は今の世界の状況や天界での出来事、自らの置かれている状況を説明した。

 特に神の境遇について聞いている際は常に笑顔になっていた。おそらくこの者、性格はあまり良くない。


「それで天界に戻れなくなったと? はははっなんじゃそれは間抜けなヤツじゃの~」


「僕からしたら笑い事じゃないんだけどね」


 神の話しを聞き盛大に笑い倒す海神。

 神の反応から考えても、どうやら両者の仲は悪くは無さそうだ。旧友との再会ということで気分も高まっているのだろう。


「それよりもじゃ。こんなに可愛らしい者を連れてくるのなら、連絡の一つでもしてくれれば良いものを」


「か、可愛らしい?」


「ディアベルが可愛いのは否定しないがな」


「もちろんそうじゃがお主もじゃ」


「私もか!?」


 海神は我とアリサにそう言葉を投げかけつつ、じりじりと顔を寄せてくる。端正な顔立ちに長いまつ毛が目立ち、改めて美しいと思わされる。

 しかし彼女の目つきはどこかで見覚えがあった。

 

 ……アリスが我に向けるそれだ。

 獲物を狙う肉食獣のようなその目は、力で劣っている我の背筋を凍らせるには十分過ぎるほどだ。

 無理やり襲われれば抵抗する術は無いだろう。 


「連絡すると言っても深海にいるのにどうやって連絡するんだよ。通信は届かないだろ」


「それもそうじゃ。何、今からでも準備すれば良いだけじゃ」


「準備とな?」


「そう準備をするのじゃ。もちろん……夜の営みのな♡」


 海神が追放された理由を聞いていなかったが、もしやこれか?


「なあ神よ。もしや海神の追放理由と言うのはこれが関係しておるのか?」


「よくわかったね。天界の女の子を片っ端から襲おうとしたもんだから大変だったよ」


「襲うなどと人聞きの悪い。彼女らは自ら近づいてきたと言うのに」


 心外だと言う風に頬を膨らませる海神。

 結果的に追放されたのなら心外も何も無いのではないかと思うが。


 我だってアリスが我に対してだけでなく他の者にまでその毒牙を伸ばそうと言うのなら、容赦なく対処をする。

 組織を維持する上では仕方のないことだ。


「話を戻そう。そうじゃな……助力を頼むのなら相応の見返りというものがあるじゃろう?」


「何が必要なんだ? 物質的な物だと天界に戻らないと渡せないが」


「簡単なことじゃ。そこの二人、今夜わらわの部屋に来い。場合によっては助力を考えてやらんことも無いぞ?」


「なんだと?」


「わらわを満足させてみよ。さすれば力を貸してやろう」


「……わかった」


 どちらにしろ彼女の協力が無ければディアウスには勝てない。

 ディアウスを放置すればいずれ魔族領の皆にも影響が出る。そうなる前に対処しなければならない。

 

 もはや魔王のプライドなどを気にしている余裕は無いのだ。


「ディアベルがそう言うのなら私は否定しない」


「決定じゃ。それでは今夜を楽しみにしておるぞ」


 今夜、我とアリサは一体どうなってしまうのだろうか。

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