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もっとヤバいのがいるとか聞いてない

「これは……どういうことだ……」


 辺り一面に転がっているのは神の使いの残骸とヤツらが落としたであろう宝石だけであった。

 いつものように轟音が聞こえたため結界外に来てみれば、既に事が終わっているでは無いか。


「ディアベル……これは不味いかもな」


「アリサもそう思うか」


 アリサと言えどシグマには苦戦していた。そのシグマよりも遥かに強いであろう神の使いを容赦なく惨殺した存在がいる。

 仲間なのか、敵なのか。何の目的があってこのような行動をとったのか。何もかもがわからない。


 仮に敵対してきた場合、アリサと言えど勝てるかどうか怪しい相手なのだ。我如きでは相手にもならないであろう。


「私から離れるなよ」


「おぉっ!?」


 肩を掴まれて引き寄せられたため、アリサに抱き着く形になった。

 数々のトラブルを経て耐性が出来ていたものだと思っていたが、いきなりやられるのはまだ慣れないものだ。

 アリサは純白の鎧を着こんでいるため、抱き着いていても体温が伝わって来ることは無い。しかしアリサの匂いが、至近距離から容赦なく我の鼻腔を襲う。

  

「どうした?」


「……あ、いや何でもない。それで、これからどうするのだ」


「そうだな。ひとまず神の使いを辿って行く。ヤツらを倒した者に会いに行ってやるさ」


 アリサは我を抱きながら空いている片手で神殺しの剣を構える。

 相変わらず剣は鞘から抜けることは無く、その刃が姿を見せたのは魔王殺しの魔剣から変化したたその瞬間のみである。


 一応、神の使いの落とした宝石の回収も忘れずに行う。

 最悪の場合ヤツらを倒した者が敵対する場合がある。その時のために宝石は対策手段を作るために集めておいて損は無いはずだ。


「む、何かいるな……?」


 丘を越えた辺りで遠くの方に二つの点が動いているのが確認できた。

 恐らく神の使いを殺してきた者と神の使いであろう。


 片方は魔族の少女。薄い桃色の混じった白髪に褐色の肌。あとは華奢な体であることくらいしかここからでは視認できない。

 彼女が魔族であるとわかるのは、我と同じく魔族特有の魔力を放っているためである。その放たれる魔力が物凄く多いのか、これだけ遠くにいても少し肌がピリピリしてくる程だ。


 その彼女と戦っているのは、どす黒いオーラが集まって構成されている球体。

 恐らく神の使いと思われるこの球体は、おおよそ今までのヤツらのような生物らしさを一切感じなかった。

 四肢と言えるものも顔と言えるものも無い。かと言ってシグマなどのように肉塊でも無い。

 それはただそうあるべきと創られた……ただひたすら洗練され不要な要素を削ぎ落された兵器という雰囲気だ。


 実際、球体は魔族の少女に向かって高威力の魔力レーザーを放っている。ただ目の前の敵を殺す。それだけが伝わって来るほどに恐ろしい威力のレーザーを間隔も開けずに放ち続けている。


「あの神の使い、相当強い」


「ああ、私でも結構危ねえかもしれないな。……でも、少女の方がもっとヤバイぜ」


「……アリサもそう思うか」


 少女はこれほどの猛攻を受け続けようと、何食わぬ顔で避け続けている。

 彼女の避けたレーザーは後ろの山に当たり爆発を起こしている。山の形が変わってしまうほどの威力のそれは、当然彼女の小さな体など簡単に吹き飛ばすだろう。

 彼女は少しでも掠ってしまえば終わりの攻撃を、冷静に、確実に避けている。間違いなく只者では無い。

 

「ふむ……避けるのも飽きてきたのお」


 少女は一歩踏み込むと、黒いオーラに腕を突っ込む。

 次の瞬間、球体は数倍にまで膨れ上がり……爆散した。


 一瞬のことでなにが起こったのかわからなかった。

 彼女が腕を突っ込んだ瞬間に何かをした。だがそれがわからないのだ。彼女の行動はあまりにも速すぎた……。


「アリサ、見えたか?」


「いや、私もわからなかった。エレナなら魔力の流れでわかったかもしれないが……」


 新勇者のエレナは神からのギフトで魔力を直接操ることが出来る。今になって彼女も連れてくるべきだと思うが既に時遅しだ。


 ……球体を倒し終えた少女が、こちらを向いているのだ。

 確実に我らの存在に気付いている。

 今の我には、彼女が敵でないことを祈ることしか出来ない。

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