表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/55

権能はやはり恐ろしい

「おのれシグマめ……」


 我は魔王城へと戻った後すぐに着替えた。着替えたのだが、着替えたそばから服が透明化してしまうのだ。

 イオタとカッパに権能をかけられた際、どのような方法を取ってもお互いを引き離すことが出来なかったのを思いだす。そのうえで、一つの仮説が我の中に浮かび上がってきた。


 ヤツの透明化させる権能は、服にではなく我自身にかかっておるのではないかということだ。


 その場合、どんなに服を着替えたところで我が着た瞬間に透明になってしまうのだろう。

 その証拠に我が着ている間は透明だった服が、脱いだ瞬間元の姿に戻るのだ。我の仮説は間違っていないだろう。

 

 なんてことをしてくれたのだ!?


 このままでは迂闊に出歩くことも出来ない。

 魔族は皆痴女と言うわけではないのだぞ!?

 まして魔王ともあろう立場で裸のまま出歩くなど絶対にあってはならないのだ!!


「ディアベル、着替え終わったか?」


「……それがだなアリサよ。どうやらヤツの権能は我自身にかけられている可能性が高く、どの服を着ても透明になってしまうのだ」


「え……どうすんだよそれ」


「我にもわからん……」


 仕方無いのでひとまずタオルを巻いておくことにする。タオルは衣服に該当しないのか透明にされることは無かった。同じく下着なども透明にはならないようだ。ヤツがあの液体を失敗だと言っていたことから、一部のものは透明にされないのかもしれない。

 失敗で良かった。何もかも身に付けるものを透明にされてしまっては一切外に出られなくなってしまうからな。


「うお、ディアベルその恰好は……」


「これしかなかったのだ。我はイータの元へ向かうからアリサはしばらく待機しておいてくれ」


「あ、ああわかった。」


 我から目を反らしながらアリサはそう返事をした。胴体部分こそ隠せているものの、露出面積は確かに多い。一刻も早くイータから情報を聞かねば。





「イータよ、訊ねたいことがある」


「どうしたんだぞ魔王様……本当にどうしたんだぞ!?」


 イータはタオル姿の我を見た途端、勢いよく部屋の隅に向かって行った。やや興奮気味のようだが、この際追求しないでおいてやろう。


「透明化の権能を受けてしまってな」


「透明化となると、きっとミューの権能だな。それなら服が透明化してしまうのも納得だぞ。ちなみに解除方法は無く一日待つしか無いぞ」


 またか。またなのか。またもや時間制の効果なのか。 


「……でもミューはそういうことをしないはずだけどな」


「ああ、それなんだが。シグマというヤツが他の神の使いを取り込んだらしい。その中にミューという存在もいたはずだ」


「シグマ……? でもアイツなら確かにやりかねないぞ」


 思い当たる節があるらしく、イータはシグマについて話してくれた。


 シグマは変わり者の多い神の使いの中でも特段狂っていた存在らしい。

 特に人族の作る芸術に興味を持っていたらしく、ヤツが言っていた一糸纏わぬ姿云々の発言もそれが理由なのだろう。


 シグマは常に自分中心に考える性格であったようで、自分の考えた策のためならどのような手を使ってもおかしくは無いとイータは語った。


「ヤツは他の神の使いを取り込んだためか驚異的な再生能力を保有している。我とアリサがどれだけ攻撃をしても倒すことは出来なかった。そこでイータの力を借りたい。ヤツに取り込まれたものの権能を使い、暴走させることは出来ないか?」


「暴走……か? 権能同士を干渉させれば出来なくは無いと思うが、外部からでは難しいんじゃないかと思うぞ」


「そうか……」


 イータでもわからないのではどうしようも無い。せめてもっと情報があれば良いのだが。


 対策が滞ってしまったので何気なく窓の方を見る。すると先ほどまで明るかったはずの外が薄暗くなっていた。

 だが妙だ。曇っているわけでも無く夜になったわけでも無い。それなのに外がいきなり暗くなったのだ。

 外の状況を確認するために窓からのぞいた時、その光景に目を疑った。


 巨大な肉塊の山……シグマが、結界ごと魔族領を包み込もうとしていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ