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変態と侮ることなかれ

「どれだけ攻撃しても無駄だ。次はこちらから行こう」


 シグマはまるで火山の噴火のように頂点付近から液体を噴出させる。

 シグマ自体の大きさも相まって、初期の神の使いのそれとは比べようもない程の量を吹き出している。


「あっっぶね!?」


 我とアリサは攻撃を一旦中断し液体を避けた。

 頂点から我らのいる地上までは距離があるため、見てから避けることは容易である。 


 しかしこの液体は何なのだ……。すべてを侵す毒か? それとも、如何なる物も溶かす酸か? 

 もしまともに受けてしまえば、良くないことが起こるのは確実だろう。


「ええい、ちょこまかと……ならこれはどうだ」


 シグマは体から液体を高出力で噴出させ、地面の中に潜らせた。


「まさか、下からか!?」


 アリサの予想は正しく、液体は地面を貫通し我らに向かって噴き出てくる。

 我とアリサは回避をしようとしたが間に合わず、全身に浴びてしまう。


 我は襲い来る痛みを覚悟した。毒であろうと酸であろうと即死はしないため、瞬時に回復する準備も整えた。

 だが、いつまで経ってもその時は来ない。

 しかし液体を浴びた感覚は確かにある。


「あぁ……? 何も起こってないが、なんだこれ」


「そうか、お前は神の授けし装束を身に纏っているのか。であればこの攻撃が効かないのも道理」


 アリサの身には何も起こっていないようだった。シグマの言葉を聞く限り、彼女の衣類がギフトであることに何か関係があるのか?


「ディアベル、大丈夫か……あっぁあぁ!?」


「どうしたのだ」


「服が!」


「服……?」


 我は下を見る。

 そこには下着姿の我の体が……え?


「なんだこれはぁ!?」


 あの液体を浴びたからか。いや十中八九そのせいで、我の服が透明と化している。

 服を纏っている感覚は確かにあると言うのに、奇麗に透明になっている。我の裸体がありありと曝け出されており、すぐさまその場にしゃがみ込んでしまった。


「この変態がぁっ!! 一体何の目的があってこのような攻撃をした!!」


「うーん、これは失敗だ。本来は溶かすはずなのだが……」


 どちらにしろ問題である。


「おい! ディアベルにこんなことをして、ただで済むと思ってんのか……?」


「こんなこととは言うが、一糸まとわぬ姿こそが真の美しさだとは思わないのか? これだから人というものは……」


 シグマは自分が著名な芸術家であるかのようにそう語った。

 だからと言って、それを当然のように周りに押し付けるのは迷惑以外の何物でもない。


 もしやシグマに否定的だった神の使いも、策では無くシグマ自体に嫌悪感を抱いていたのでは……。

 そしてそんなヤツに取り込まれ今も一部として生かされているのだと言うのなら、それはもう生き地獄であろう。


 ヤツは今ここで、倒さなければならない。

 

「これは失敗だったか。ならば次の攻撃を使うまでだ」


 ヤツは同じように液体を噴出させた。だがその量は先ほどよりも遥かに多く、ギリギリで避けるのがやっとだ。


「同じ手は食らわねえよ! ……ってこれ酸じゃねえか?」


 液体のかかった地点が黒く変色し溶けて行く。

 間違いなく浴びると不味いものだろう。


「今度の攻撃は本格的に殺しに来ているようだな」


「ああ……」


 ディアベルは我の方を見ようとしない。わかっている。アリサは我の裸体を見ることになれていないのだ。

 我に求婚した時は勇ましく振舞っていたくせに、実際我の裸体を見ると大人しくなってしまうのだ。

 これは先日、風呂に一緒に入った時に確信に変わった。


「このまま避けているだけではジリ貧だな……。よし、一度戻って対処法を探ろう。イータなら何か知っているかもしれないからな」


「わかったぜ」


 我とアリサはシグマの攻撃を避けつつ撤退する。


 この行動が後に大きな問題となることを、我はまだ知らなかった。

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