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七話:攻略・ヴァルゼノア神殿 ~交易都市グラン=フェルダ~

バサバサバサ!

鳥が羽ばたく音が聞こえる。

「ん~」

ゆっくりと背筋を伸ばす。どうやら朝が来たようだ。

周囲を見渡しても雰囲気的にはまだ2人は起きていなさそうだったので、

昨日寝る前に疑問に思っていたことを聞くために神様と話をすることにした。

入口からこっそり抜け出し、茂みに隠れる。

「この紙だよな…?」

ポケットから取り出したのは、昨日神様から貰った心話用の紙。

「念じれば良いのか?」

紙を持って念じてみる。

『もしもし~( ゜∇^)] 繋がったわね。』

『ドーミナ様。お久しぶりです。』

『そんな堅苦しく無くても良いのに~』

『そんなことより、一つ聞きたい事があるのですが…』

『ん~何?』

『ダンジョンって聖剣持って行けますか?』

そう、俺が一番危惧していたのは「武器」だった。

前に読んだ異世界系シリーズの本の中に出てきたダンジョンでは、一時的に異空間系の魔法が使えなくなっていたことがあり、不安になったので聞いてみることにした。

仮に聖剣が持って入れないとなると俺は素手で戦わなければならなくなるので、

どうにかして新しい武器を見つけないといけないのは面倒だ。

『いけるわよ~』

『本当ですか?』

『本当よぅ~。』

『はぁ良かったぁ…』

思わず安堵を浮かべる。これで基本何とかなるだろう。

『さっき迷宮神に確認したから、OKよ?』

『分かりました。ありがとうございます。』

『じゃーね。』

それっきり声が聞こえなくなった。

そういえばさっきドーミナ様が"迷宮神に確認した"って仰ってたが、様々な神がいるんだな。


神様との心話が終わり、洞穴の中に戻ると

彼女達も起きてきたのか声が聞こえる。

「あ、ヤマトさん!おはようございます。」

俺に気付いたリンネが笑顔で手を振っている。

「おはようリンネ。よく眠れた?」

「はい!お姉ちゃんと一緒に寝たので大丈夫です!」

彼女は朝型なのだろうか。朝から凄い元気でテンションが高い。

その勢いに圧倒されていると

「ぉはよぅご、ざいます…」

リンネの後ろから掠れた小さな声で挨拶してきたのは、姉のスズカだった。

「おはよう、スズカ。」

笑顔で挨拶すると、ポッ!と顔が赤くなっていった。寝起き姿を見られて恥ずかしかったのだろうか。それだったら申し訳ない。

それにしても、妹のリンネと違って夜型なのだろう。体感時計的にもう8時くらいだが、まだ眠そうだ。

この後俺達はリンネが朝から釣った魚を食べて、洞穴から出る準備を始めた。


「今日の予定を決めよう。」

一通り準備が終わり、ここを出る前に3人で情報の擦り合せを行う。

「俺はダンジョンに行ってくる。二人は?」

俺は勿論、金を稼ぐためにダンジョンに潜る。二人はどうするのだろうか。

「私達は冒険者ギルドに行って、簡単な依頼を受けてこようと思います。」

「依頼?」

「はい。私達これでも冒険者ギルドに冒険者登録を行っていまして。」

「ギルド登録者だとギルドが発行する依頼を受けることができるんですよー!」

姉妹からギルドについての説明を受ける。

この世界だと登録員とフリーの、二種類の冒険者がいるのか。

「私達も多少は自分でお金を稼げますので、ヤマトさんはそこまで無理せず自分の安全を第一でお願いしますね?」

確かに彼女達に頼り切るのも良くないが、彼女達もお金を稼げるならそこまで危険な階層まで降りなくてすむだろう。

「分かった。よし、予定はある程度決まったから出発の準備をしよう!」

「「了解です!」」



先程まで過ごしていた洞窟を出発した後、近くに舗装されている道を見つけたので、

その道を頼りに俺たちは町まで向かうことにした。

それから約二時間後。

ようやく念願の町が見えてきた。

「それにしても大きな街だな。」

城壁がある程度見える高さの丘で見て改めて実感した。

総敷地でいえば、前世の東京にあった夢の国を凌駕するレベルじゃないだろうか。

「あそこは"交易都市グラン=フェルダ"。東西の国々が運んできた貿易品が集まる、近隣の町の中でも一番大きい都市ですね。」

いつの間にか横にいた、スズカが教えてくれる。

「交易都市...」

一国の国王や貴族、大手商会の会長から冒険者に至るまで。様々な人が姿を見せる、この世界でもトップクラスに位置する都市らしい。

「何といっても、ここは3ヵ国の領地の分岐となる大切な場所でもありますから。」

「3ヵ国?」

「はい。人が主に暮らしている、勇者召喚の国:アレストリア王国。

神リオナスに絶対的信仰をしている主教国家:リオネクス聖国。

古代文明が発達しており、知識と研究で時代を築いた国:ネビリス=アーク合衆国の3つです。」

いきなりよく分からん国名がいくつも出てきたぞ...

前世みたいに分かりやすい国名にしてくれマジで。

情報量に頭がパンクしているのもお構いなしに、スズカは追い打ちをかけるが如く追加で情報を話し始めた。

「この都市は先程名にあげた、3ヵ国から独立して国政を行っているんです。何故かというと、この場所は3ヵ国の...」「ストーップ!!!!」

スズカの熱弁を止めてくれたのは、途中で「ごめん、少し用があるから先に行ってて!!」と別行動をしていたリンネだった。

「お姉ちゃんが歴史とか好きなのは知ってるけど、これ以上はヤマトさん困っちゃうよ?」

正直思考停止するくらいには困っていたので、リンネには心から感謝したい。

「それにこのままだと、また野宿する羽目になっちゃうよ?」

そう、まだ俺たちはあの町に辿り着いていない。時間的にはこの世界が地球と同じ時間軸なら、太陽がまだ真上には来ていないので11時くらいだろうか。

「ヤマトさん、すみません。またご迷惑を...」

スズカが終始謝りっぱなしで、逆に俺とリンネが慌てて謝る羽目になるというよくわからないイベントはあったものの、無事に昼頃には町の城門までたどり着くことができたのだった。

登場周辺国説明 part1:アレストリア王国

アレストリア王国は、剣神:アレストリアを信仰している騎士国家。人族が人口の約9割を占める。

世界一とも言われる、王族直轄兵:アレス騎士団を保有しており単純な武力ならトップを争うレベル。

緑豊かな大地と温暖な気候を生かし、農業も盛ん。

政治自体は王政だが、貴族議会と市民議会の二重体制が執られている。

またこの世界で記録上唯一、勇者を召喚したことのある国である。

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