六話:初夜
2025/8/1 追記)内容を再考して若干変わっているので、是非第1話から読んでみてください!
流石に目の前の洞窟で夜を過ごすのは良くないと思い
森の中を進み、過ごせそうな場所を探している。
「取り敢えず、寝る場所を確保しよう。」
「そうですね。」
「小さい洞窟とかないかな~?」
当初は、本来なら、スズカ達の住んでいた家に泊まろうと思ったんだけど。
無理そうなのでやめておいた。
何故かって?村の周辺がゴブリンの住み処になってました。はい。
つくづく運無いわ。俺。
─────────20分後─────────
「やっと、見つかったね…」
「そう、ですね。」
「疲れたぁ~。」
あれから20分くらい経過しただろうか。獣道を進んでいると、念願の洞穴を見つけることができた。
(ちゃんと魔物はいないか、確認しました。)
とっくに太陽は沈み、月明かりが近くの水たまりを照らしている。
太陽が沈めば、魔物が多くなったり強くなったりすると、スズカが話していた。
「辺りも暗くなってきたし、急ごう。」
「「はい!」」
それからは、リンネが洞穴に入る際に頭を何故かぶつける、という事故(?)以外は何も起きなかった。
「ヤバっ、これ旨っ!」
「ありがとうございます。」
無事寝場所を確保したため、俺達はスズカが調達してきた魚を食べている。
「驚いたよ~。まさか洞穴の中に、大きな池があるなんてね。」
リンネがそう呟く。
「ひとまず食糧問題は解決出来そうだね。」
「はい。ですが…」
スズカは気まずそうにしながら俯く。
「ん?どうした?」
「やっぱりこのままだと危険が伴いますし、街に出るべきです。」
「あ~。」
俺が納得したような声を上げると、スズカが慌てて、
「いや、別に不満があるわけじゃないんです!
すいません。居候という形なのに…」
家で暮らしてないのに、居候っていうのも何かおかしいな。
でも、確かにこんな危ない暮らしを永遠にするわけにはいかない。
「ん~。」
「ねぇ、スズカ。どうやってお金って貯めるの?」
唐突に疑問に思ったので聞いてみた。この世界も前世と同じような雇用なのだろうか。
「お金、ですか?」
「お金なら一番簡単なのは冒険者だよね~。」
リンネが笑顔で返す。
「冒険者?」
冒険者、か。何とも異世界らしい響きのある職業だ。
男子高校生からしたらロマンしか感じないだろう。
「そうそう。ここからなら近くにもダンジョンあるし、すぐに稼げるよ。」
「そっか。」
テンプレだと冒険者ギルドに登録しないと入れないイメージだが、そんなことはないのだろうか。
「どうしたの、いきなり?」
「リンネ、スズカ。あと数日だけこの暮らしに我慢できる?」
「大丈夫ですけど、どうしたんですか?」
「明日、早速ダンジョンに潜ってお金を稼いでくるよ。」
スズカの顔から血の気が引いていく。
「そ、そんなこと!危ないですよ?!」
心配してくれたのだろうか。それだったらとても嬉しいな。
「大丈夫大丈夫。それに、このままだと生活的にも厳しいしね」
まだ寝床と食糧問題が解決しているからいいものの、衛生的な面や防犯的な意味も込めて
やはり、街で暮らすほうが安全だろう。
「…ならちゃんと帰ってきてくださいね?」
「勿論。」
するとスズカが笑顔になり、
「じゃあ良いです。」
スズカの笑顔にほっこりする俺だった。
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