五話:大きな決断
2025/8/1 追記)内容を再考して若干変わっているので、是非第1話から読んでみてください!
「もう、居場所がないんです!」
「お願いします!」
目の前で頭を下げている姉妹に、俺は大いに悩んでいる。
「う~ん…」
正直一緒にいたほうがいいとは思う。
仮にここで別れても、また危険な目にあうかもしれない。
だが俺は異世界人だ。
そもそも、この世界に来てまだ1日も経っていないこの状況で
色々と彼女たちに迷惑をかけてしまうかもしれない。
しかも彼女達はとても可愛い。
俺だって思春期真っ只中の男子高校生だ。
別に襲うつもりはないが、理性的に中々厳しいものがある。
どうすれば…
頭を抱えて悩んでいると、頭に直接声が響く感覚に襲われた。
この感覚は──
『聞こえるかしら…?』
『...ドーミナ様?』
やはり、声の持ち主は愛神だった。
『いきなり、どうしたんですか?』
今忙しいんだよなぁ。それに、早く決断しないと日が暮れてくる。
このまま夜になると、森の中で危険だ。
『ヤマト君。この子達を拾いなさい。』
『え?』
いきなり何を言い出すんだこの人。
『今はその時じゃない。でもいつか必ず貴方の助けになるはずだわ。』
『....』
『それに考えてみなさい。貴方、この世界のこと何も知らないでしょう?』
『た、確かに!』
盲点だった。確かに地図やチートスキル等は持っているかもしれないが、この世界自体のことに関しては無知だ。このままだと生活することすらも危ういかもしれない。
『その分彼女達はこの世界の住民だから、貴方が知りたいような情報を知っているはずよ?』
『...』
『貴方にとって不利益になることはほぼ無いと思うけれど?何をそんなに躊躇っているの?』
躊躇っている理由。
それは───
『そういうことね。仮にそうだったとしても、貴方はその約束を果たす前にこのままだと死んでしまうわよ?』
背に腹は代えられない、か。
『分かりました。彼女達と一緒に行こうと思います。』
『なら、早く伝えてあげなさい。』
その言葉を残して、声は聞こえなくなった。
「ごめんね、遅くなって。良いよ、一緒に行こう。」
「そこを何とか!!って、え…?」
「だから、良いよって。」
「...良いんですか?」
恐る恐る聞いてくる。
「勿論。それに俺もこの世界のこと知らないからさ。よければこの世界のことを教えてよ。少しずつでいいからさ。」
その言葉に彼女たちは目を合わせて「やったー!」なんて言いながらぴょんぴょん飛び跳ね始めた。
可愛いかよ、此畜生...!
「ありがとうございます…。」
「ありがとうございます!」
転生1日目。いきなり美人姉妹がパーティーに加わりました。
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