三話:オーク討伐
2025/7/30 追記)内容を再考して若干変わっているので、是非第一話から読んでみてください!
チュンチュン───
「ええっと…?ここら辺だっけ?」
見たことのない鳥の姿を横目に、地図を頼りに俺は森の半ばまで進んでいた。
「それにしても、イベントって何が起きるのか見当もつかねえな。」
一本道が続く森の奥を進むと、大きな洞窟が姿を現した。
「ここ、だよな…?赤ピン。」
赤ピンが示す、洞窟はいかにも異質な雰囲気を醸し出している。
そもそも外からでもわかる、中を照らすために作られたであろう松明や
神殿の入り口を想起させる、作りこまれた装飾。
何よりもその洞窟からは、明らかに異臭が漂っていたからだ。
入口まで恐る恐る近寄ってみると、
「うわっ、臭っ!」
なんだ、この匂い。
何とも言えない異臭が鼻を刺激してくる。
俺は鼻をつまみながら、ゆっくりと洞窟に入っていく。
すると、
「キャ─────────────!!!」
洞窟の奥から、女性の声が聞こえた。
「!」
「ゲートボックス。出てこい。聖剣。」
走りながら、聖剣を取り出す。
誰か襲われているのだろうか。
松明が連なる道を目印に、一直線に進んでいく。
生臭さも一層に強くなってきていた。
「ここら辺か?」
松明の数が減ってきて、視界が見づらくなってきていた。
気を引き締めようとしたその時だった。
「ネチョッ。」そう足元で音がしたのは。
俺は僅かな光を頼りに踏んだ物を見ようとするが中々見えない。
しゃがんで見てみると、踏んだ物の正体は白い液体だった。
最初は石灰水みたいな物が流れていたのかと思い、先に進んだのが間違いだった。
しかし、その予想を上回る結果が帰ってくることになる。
「うっ....!」
角を曲がった先には、血と白い液の上に転がる沢山の女性の姿が。
何がここで起きていたのか嫌でも分かる惨状だった。
女性が皆、裸で亡くなっていたのだ。
なんとなく嫌な雰囲気はしていた。
目の前の現実を受け入れることができず、吐き気を催す。
すると、
「キャ─────────!」
また聞こえる悲鳴。
「この声、この奥だ!」
何とか気持ちを切り替えようと深呼吸をして、
歩きやすそうな場所を見極めつつ、走る。
そして、
「こ、来ないで…。お願い…。」
そこには、3m級のオークと、まだ生きている女の人が2人いた。
一人は必死に抵抗しており、もう一人は怯えて縮こまっていた。
(あれ、姉妹か…?)
多分、抵抗している方が姉で、怯えている方が妹だろう。
(どうにかして、助けないと)
幸い、オークは俺に全くと言っていいほど気付いていない。
今なら剣を握った事の無い、俺でもきっと倒せる。
何故か、そう確信していた。
「フッ─────────!!!」
空中で3回転してオークの首を叩き切る。
「GYAAAAAAA!!!」
オークは断末魔と共に横に倒れ、オークは俺に気付くことなく生涯を終えた。
「え…?」
抵抗していたほうの女の子は今目の前に広がっている状況を
まだ上手く理解できていないのか、口をパクパクしながら驚いていた。
「フゥ…。」
それにしても、凄い切れ味だなこの剣。
素人な俺があんな太い首をスパッと切れたんだ。
仮に剣豪が使いでもしたら俺は間違いなく成す術なく瞬殺だろう。
「あ、あの貴方様は…?」
「ん?」
ようやく落ち着いたのか、女の子が声をかけてきた。
「俺か…。」
なんて名乗るのが正解だろうか。
「俺はヤマト。」
「通り過ぎの転生者、かな?」
笑顔でそう答えた。
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