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二十九話:無

ヤマトがいた場所は何もなかった。

周りを見渡しても、木の一本すらも生えていなかった。

いつからいるのかすら分からない。

今まで何をしていたのかも分からない。

「おーい───!!」

思いきり叫んで見ても、音の一つすら聞こえない。

昔のことを思い出そうとすると、頭痛が襲ってくる。すると、

「な、なんだ?!」

いきなりヤマトの目の前が歪み始めた。

そう、空間が歪み始めたのだ。

「え、何が起こってるんだ……?」

恐る恐る近づいてみると、そこにはある光景が

頭に浮かびあがってきた。

「これは…?!」

ヤマトの脳内にどんどんモノクロ映画のように

写真が流れてくる。

それは、一人の少女が神と戦っているものだった。

どんな攻撃をしたとしても全て効果は無く、

ボロボロになっていた。

同じようなものが3分くらい流れ続ける。

そして、終わったとき。

ヤマトの目からは一筋の涙が流れていた。

「あれ、これ…なんで?」

知り合いでもないのに、涙がとまらない。

そのときだった。

「え──?」

ヤマトは落ちていた。

急にヤマトの下に穴が出現し、ヤマトは真っ逆さまに落下していった。

「ウワァァァァ─────!!!!!!」

ヤマトは恐怖で叫ぶ。しかし、終わりは見えない。

その瞬間、ヤマトの周りは水平線が見える

浜辺になっていた。

「なんなんだよぉ…………!!」

ヤマトは地面を叩きながら声を荒げる。

「はぁはぁはぁ………。」

息が切れながらも地面を叩いていると…

「荒れてるねぇ〜。ヤマトくん?」

不意に名前を呼ばれ、振り返るとそこに立っていたのは──

「お前は、いったい誰なんだ……?」

先程、ヤマトの頭の中に流れてきたものに

写っていたボロボロになった女子だった。

しかし、違う点といえば先程とはボロボロではないということだ。

「ん〜。その反応からして、記憶を一時的に失っているんだね。」

「は?」

いきなりの発言に耳を疑う。

「ヤマト君。君には何も言えないけれど、もし

昔の記憶を思い出したなら───」

プツン。

それと同時にヤマトの意識は暗闇へと落ちていった。

読んで頂き、ありがとう御座います!

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