二十八話:別れ
「あ、アネット…?」
ヤマトの表情に曇りが見える。
「ヤマト。お前はここから立ち去れ。」
「は…?何言ってんだアネット。」
すると…
「異世界転移。」
アネットは詠唱をし始め、ヤマトに手を向ける。
「お前、何してるんだ…?」
「…」
ヤマトの問いかけにアネットから返答は帰ってこない。
「おい、アネット!」
「…」
再びヤマトが問いかけるが、返事は返ってこない。
「ヤマト。お前は帰れ。」
「え…?」
いきなり口を開いた矢先、意味深な発言をする
アネットに対し、ヤマトは疑問しか浮かぶことは
なかった。
「おい、どういうことだよ!」
「お前はこの世界に来てはいけなかったんだ。この責任は私が身を持って償う。だから、元の世界に帰れ。」
アネットから告げられた突然の別れ。それを突きつけられたヤマトは、言葉を失うことしか出来なかった。
「ふふ、そんな素直に帰すわけ無いじゃないですか〜?」
すると、今まで遠くから眺めていたドーミナが、
デストラクタを構え、こっちに向かって来ていた。そのとき、
「…理を打ち壊し、世界を繋ぐ時空を作りたまえ!!」
アネットの詠唱が完了したのか、ヤマトのすぐ
後ろに人一人分通れるくらいの穴が出現した。
「これは…?」
ヤマトは恐る恐るそれの中を眺める。
それの中は「無」だった。何もなく、どこへ繋がっているかも分からない。
ヤマトは一歩後ろに下がる。
「ヤマト!!その中に入れ!」
アネットが大きな声で叫ぶ。
しかしヤマトは足がガタつき、動けなかった。
「君はここにいるから存在価値があるのよ〜?
いなくなるなら、殺してもいいわよね?」
「え?」
ドーミナは地面を蹴り、もの凄いスピードで
ヤマト目がけて剣を振りかざした。
「?!」
ヤマトは怖くなり、思わず目を瞑る。
「…」
切られた感覚がなく、ヤマトは恐る恐る目を開けてみるとそこには…
「あ、アネット───!!!」
自分を庇うように立つアネットの姿があった。しかし、
「アネット、その傷…!」
「チッ、私としたことがこんな形で傷を負うとはな。」
肩から脇腹にかけて切り傷があり、地面が血に染まっていた。
「アネット…。」
「お別れだ。ヤマト。」
「え?」
その言葉と同時に、アネットはヤマトを穴の中に突き落とした。
「アネット────────!」
ヤマトの声が穴の中から響いてくる。
アネットがヤマトに向けた最期の言葉は
「ありがとう。」
だった。
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