二十五話:推し
カイナと別れたあと、ヤマトとアネットは
二人で森の中を歩いていた。
「しっかし、どうやって現実世界に戻ろうかな〜」
ボソッとヤマトが呟く。
「お前、忘れていないか?」
アネットが目を細めて、ヤマトを見つめる。
ヤマトは全く分からなかった。
「え、何が…?」
「はぁ…、これだからヤマトはぁ…。」
「え…?」
「お前、転生世界に来たときに
渡されてただろうが…。あの女神に。」
「あぁ!」
アネットに呆れ半分にため息をつかれ、ヤマトは
ようやく思い出した。
「あの紙か!」
そう、あれは転生前に愛神に渡されたものだった。それは、愛神と
こちらの世界でも、自分から話しかけることができる能力らしい。
「これ使うのは実際、初めてなんだよな…」
「大体、アイツ側から話しかけてきてたからな。」
ヤマトは思わず、アネットのことをまじまじ見つめる。
「ん、どうした?ヤマト。」
「いや、この女子があの聖剣なんだなーって、改めて思ってさ。」
「姿を変えることだってできるぞ?」
「え、できるの?」
「あぁ。見ていろ。」
アネットが小さな声で詠唱し始める。
「聖女体装。」
この言葉と共に、アネットの体が光に包まれる。
「───ッ!!」
ヤマトは庇うように目を瞑る。
「おいおい…」
ヤマトは驚愕して、声が全然でなかった。
それもそうだろう。
さっきのアネットとは違い、今目の前にいるのは
白髪ロングの、自分と同じ身長位の女子だったのだ。しかも、服装は超お嬢様風。髪には簪がついている。
「どうだ?たまには、これもいいだろう。」
「可愛い……。」
「ん、何か言ったか?」
生憎ヤマトの失言を聞き取れなかったアネットは
不思議そうな顔をする。
「い、いやなんでもない。それより、さっさと愛神と連絡とろうぜ!」
「?そうだな。」
「ふぅ……。」
ヤマトは安堵のため息を出す。
それもそのはず。ヤマトがまだ生きていたころの
話。アニメ好きであるヤマトの推しには、共通点があった。そう、お嬢様風の白髪だったのだ!
ヤマトは焦った。大いに焦った。
まぁ、そんなことはほっといて。
ヤマトはポケットに入っていた紙を握り、
心の中で話しかける。
(ドーミナ…。)
(…何かな?)
柔らかな声色と、優しそうな話し方。
(!!)
「久しぶりだね。ヤマト。何日ぶりかな?」
愛神が目の前に現れた。
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