04.メイドの仕事その2。一緒にお食事。
食堂に着いた。
俺は、当然奥様と旦那様がいるものだと思っていたが、いるのは壁に沿って立っている使用人達だけだった。
料理も、一花ちゃんの分しか用意されていない。
いや……一花ちゃんしかいないから当たり前か。
「あの、奥様と旦那様は?」
「昨日は帰るって言ってたのに……やっぱりいないんだ」
俺が黒川さんにした質問。
その答えは、一花ちゃんの悲しい独り言でわかった。
元気がなさそうな一花ちゃんの頭を、俺はそっと撫でた。
「では、私達も食堂に行きましょう」
「待って!」
使用人用の食堂に行こうとした俺達に一花ちゃんが声を掛けて来た。
「お兄ちゃんと一緒に食べちゃダメ?」
「ええ、構いませんよ。彼は、あなたの専属メイドなのですから」
黒川さんは一花ちゃんの質問にそう答えた。
そして、黒川さんが壁際のメイドの一人に目線を送ると、そのメイドが部屋から出て行った。
「ですが、本日は使用人用の食事になります。もし、同じ食事をご希望なされる場合は、今後は事前に連絡をお願いしますね」
「はーい。じゃぁ、お兄ちゃん。一緒に食べよ♡」
いいのかな?
いや、いいのか。
俺はお嬢様の隣(正確には斜め隣)に座った。
そうすると、先程部屋を出て行ったメイドが、食事を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「いえ、気にしないでください」
そうメイドさんは笑って言うと、壁際に戻っていった。
「ねぇ、黒川さん……」
一花ちゃんが、もじもじしながら何かを言いたげにしている。
そう言った表情も可愛いが、何を言いたいのだろうか?
「かしこまりました」
黒川さんがそう言って笑うと、
「皆さん、お嬢様は二人っきりで食事をしたいそうです。ですので、各々戻ってもらって構いません」
「「「「「かしこまりました」」」」」
そう言って黒川さん始め全員が出て行った。
「じゃぁ、お兄ちゃん。食べよ」
「う、うん……」
俺は、少し緊張しながら、一緒に置いてある箸を掴んだ。
食事の内容は、一花ちゃんの方が豪勢だが、俺の食事だって一般的な朝食に比べれば豪勢な方だろう。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なに?」
一花ちゃんは、恥ずかしそうにモジモジしながら、
「食べさせて……」
と言ってきた。
「う、うん」
本当は断ろうと思ったけど、一花ちゃんのあまりの可愛らしさに頷いてしまった。
「でも、一回だけだからね」
そう言うと、俺は椅子から立って一花ちゃんの隣に行くと、彼女の箸を借りると、卵焼きを掴んだ。
きっと使っている卵もいい卵なんだろうな……
そんな事を考えながら、俺は彼女の口へと卵焼きを運んで
「あっ」
緊張していた俺は、卵焼きを一花ちゃんのスカートの上に落としてしまった。
「あー、お兄ちゃん、いけないんだー!」
「ごめん!服汚しちゃった」
俺はすぐナプキンを手に取ろうとしたが、
「お兄ちゃん。罰ゲーム」
「え?」
「落とした卵焼き、口でとって」
「ええ?」
「で、一花に口移しで食べさせて♡」
「それは……」
「ご主人様の命令です」
「はい……」
俺は、食卓の下に潜ると、一花ちゃんの椅子の正面に移動した。
一花ちゃんは、スカートの上の卵焼きを取りやすいように、足を大股開きしている。
パンツが少し見えたけど、見なかった事にする。
俺は一花ちゃんに近づくと、スカートの上の卵焼きを口で咥えた。
「ん!」
いきなり、一花ちゃんが俺の頭を押さえた。
俺は一花ちゃんの股間に思いっきり顔を埋めてしまった。
「んんー!」
「お兄ちゃん、卵焼き食べちゃダメだからねー♡」
一花ちゃんは楽しそうにそう言いながら、俺の頭を撫でてきた。
何とか落ち着いた俺は、頭に一花ちゃんの柔らかい手の感覚を、そして、鼻ではスカートのかぐわしい匂いを嗅ぎながら、口では卵焼きをかみちぎらないよう注意しながら天国と地獄を楽しんだ。
しばらくして……
ようやく一花ちゃんから解放された俺は、机の下から脱出した。
卵焼きを落としたり食いちぎらなかったのは、奇跡に近い。
だけど、まだ仕事が残っている。
俺は、口を大きく開けている一花ちゃんに近づくと、口に含んでいる卵焼きを彼女の口に近づけた。
そして、彼女は卵焼きの俺の口から出ている部分をそっと咥えた。
彼女の柔らかい唇が、俺に触れた気がした。
彼女が卵焼きを口に含むのも見た俺は、そっと口を開けた。
一花ちゃんは卵焼きを食べ終わると
「ありがと♡」
と言ってきた。
恥ずかしかったけど、まぁ、この笑顔を見れたならいっか。