00.少女との出会い
「あー、楽しかった」
高校三年生ももうすぐ終わる。
そんな今、俺は今興味がある事の大規模イベントが終わって帰る所だ。
ちなみに、周囲には誰もいない。
あまり人に知られていない近道を通っているからだ。
「ん?」
廃倉庫の傍を通っている時、変な事に気付いた。
ここは何度も通っているんだけど、倉庫の中に人の気配がするのだ。
「誰かいるのか?」
そう思ってちょっとだけ空いていた入り口の隙間から中を見て見ると……
「ひっ……お母様、たすけて」
「このガキ、お母様だってよ。どうせだったらママーとかいって欲しかったな」
「そうそう、せっかくこれから可哀そうな目にあっちゃうんだからさ、その方が楽しいんだよね」
倉庫の中に居たのは、複数の男性と、一人の子供。
……スカートを履いているから、恐らく少女。
彼女の顔は見えないが、背丈からして恐らく小学二、三年生くらい。
腰まで届く長髪もとても綺麗だ。
「おい、ガキ。どうせだからこれからどうなるか見せてやるよ」
「しっかり見ろよー」
そう言って男の一人が、傍にあったノートパソコンを操作しだした。
事前に用意していたのであろう、壁掛けスクリーンに動画が映し出された。
『いやー!パパ!ママ!助けて!!』
写っていたのは、小学五年生くらいの女の子と、あの男達だ。
そして、その少女が男達に暴行……婦女暴行されている映像だった。
画面の中の少女は男たちの次から次へと男達に暴行されていった。
「ほらほらー、次は君がこうなるんだからねー」
捕まっている少女は怯え、男が少女の白パンツに手を伸ばした瞬間……
「お巡りさん、こちらです!!!!」
俺は思いっきり叫んだ。
実は、まだ警察は呼んでいない。
と言うか、通報すらしていない。
思わず動画を見てしまったため、呼ぶのを忘れていたのだ。
「やばい、サツが来るぞ!」
「げ、逃げるぞ!」
しかし、そんな嘘でも男達には効果てきめんだったようだ。
男達は傍にあった物を持って倉庫の窓から逃げて行った。
「君、大丈夫?」
俺は、少女に駆け寄ると、優しく声を掛けた。
「うん……大丈夫」
少女はそう言って俺の方を見た。
その顔は赤く染まり、俺の方をボーっと見ている。
うわー、この子、まじで美少女。
身長はさっき思った通り小学二、三年生位。
胸は無い。
まぁ、この年齢ならなくて当たり前、か。
でも、この愛らしく可憐な美少女は、ぱっちりした目鼻立ちをしてるし、芸能人かもしれない。
いや、さすがにこんな美少女が芸能人だったらもっと大騒ぎになっているだろう。
「ごめんね、すぐ助けられなくて」
「うん、大丈夫。私、桜宮 一花」
「一花ちゃんだね、初めまして。俺の名前は……」
俺は自己紹介をした。
「お兄ちゃんって呼んでいい?」
「あ、うんいいけど……って言うか、早く逃げないと。あいつらまた帰って来るかもしれないし」
「……」
「一花ちゃん、立てる?」
「うん」
そう言って一花ちゃんは立ち上がった。
「じゃぁ行……うわっ」
一花ちゃんが急に俺に抱き着いて、俺のズボンの股間に顔を埋めて来た。
「い、一花ちゃん?何を」
「お母様の言う通りだった。運命の人はいきなり現れるって」
「な、何を」
「ううん。何でもない」
一花ちゃんはしばらく俺にくっついた後、俺から体を離した。
「お兄ちゃん、行こ♡」
「う、うん……」
そう、これが俺の運命を変える出会い。
俺と一花ちゃんの出会いだった。