08.美華子君の兄弟兼〇〇宣言
「う、うん……」
俺が起きると、二人はもうすでに起きていた。
というか、着替え終わっていた。
「お兄ちゃん、おはよ♡」
そう言って、一花ちゃんは俺の頬にキスしてきた。
「お、おはよ」
よくしてくれる事だけど、やっぱり緊張する。
「ねぇ、アニキ。僕ね、アニキに着替えさせてほしかったんだけどさ、一花ちゃんが駄目だって言うんだよ。兄貴に僕のパンツ選んでほしかったから、家からパンツいっぱい持ってきてもらったのに」
美華子君のその言葉に、俺はちょっと驚いたけど、内心で安堵した。
けど、ちょっと残念とも思ってしまった。
「あーあ、僕も兄貴に下着履かせてほしかったのに」
「……し、下着は一花だってまだなのに」
一花ちゃんは恥ずかしそうに小声でそう言った。
「あのー。俺服を取りに行きたいからさ、いったんあっち向いて……」
「服持ってきてあるよ!」
そう言って足元にあった服と下着を美華子君が渡してきた。
「あ、ありがと」
俺は服をベッドの中で着替えた。
「兄貴の体じっくり見たかったのにー」
美華子君はそう言ってたけどね。
その後、俺は二人と一緒に朝食を食べた。
その最中に、美華子君の家の使用人が迎えに来たと言うので、食後に彼をそこまで案内する事になった。
で、案内の最中、俺と美華子君以外誰もいなくなった廊下で。
「ねぇ、アニキ。ちょっと手を貸して」
「え、いいけど」
そして、俺が右手を彼の前に出すと、美華子君は急に手を掴んで、俺の掌を自分の胸に押し付けて来た。
「え、美華子君?」
「ねぇ、アニキ。男の人はおっぱいが好きって言うけど、アニキはおっぱいが好き?」
「え、その……」
「好きなんだ。よかった」
「へ?」
美華子君は何を言っているんだ?
「僕ね、一花の事が好きだったんだ。将来は、彼女と結婚したいなって思ってたんだよ」
「そうなんだ」
まぁ、彼は体は女でも心は男だからそういう事もあるんだろう。
「でもね、もっと好きな人が出来たの」
「へぇ、誰?」
「アニキの事を好きになっちゃった。だからね、僕の恋人になってほしい」
「え」
「僕とアニキなら、男同士の裸の付き合いも出来て、赤ちゃんだって産めるんだからね」
つまり、美華子君は心は男で体は女で、でも好きな人は俺、つまり男で。
そういう人もいるって聞いた事があるけど……
「僕、初めて自分の体が女でよかったって思えたんだよ」
「いや、でも」
「僕、一花よりおっぱい大きいよ。恋人になったら、僕の体もおっぱいも、ぜーんぶ、好きにしていいんだよ」
出来るわけないでしょーっ!
俺がそう思って困っていると……
「そっか……アニキには一花がいるもんね。だけど、僕は負けないよ。いつか、アニキを僕の旦那様にしてみせるからね」
旦那様なんだ。
花嫁じゃなくってよかった。
そこは安全。
じゃなくって!
「でも、なるべく早く恋人にして欲しいな。今の子供の体を楽しめるのは今だけだから」
「ちょ、ちょっと、美華子君!」
「そうだ!一花は奥さん。だから、僕は愛人ね。これから兄弟兼愛人として、よろしくね」
何、その兄弟兼愛人って!
「じゃぁ、行こ。アニキ!」
美華子君はそうって楽しそうに笑った。
その笑顔は、一花ちゃんに負けないくらい可愛かった。
これで二章は終わりです。
没ネタを二話入れた後、
三章に入る予定です。