03.ご友人の水着とお悩み
で、プールサイドで準備体操しながら待っていると……
「お待たせー!」
「待ってないよー」
そう言って美華子君の方を振り向くと……
「ぷっ!」
俺は思わず拭いた。
美華子君の水着を見て驚いたからだ。
普通、小学生女子の水着と言えば、スクール水着だ。
もしくは下がスカートになっているワンピースとか。
だけど、美華子君が着て来たのは……
男用の水着だった。
……つまり、下しか履いていない。
しかもかなり小さいやつで、まるでビキニだった。
ちなみに、俺の水着は膝付近まであるボートショーツだ。
つまり、俺も美華子君も上半身は裸。
同い年の一花ちゃんより少し発育がいい美華子君の少し膨らんだ胸も丸出しだった。
「み、美華子君、その水着……」
「いいでしょ。さっきのプールバックの中の水着、女物の水着だったから、わざわざ届けてもらったんだよ」
「え、でも……」
「何?」
俺は美華子君を傷付けないように、言葉を選びながら言った。
「美華子君はさ、立派な男の子だよ。でもね、君の体は女の子だからさ……」
そう言うと、美華子君は泣き出した。
「分かってる……僕、女から逃げられないって。性転換したって女だった事実は消えないし」
「いや、そこまで気にしないでも」
「アニキ。おっぱい見てくれない?」
「え、でも……」
「いいから!」
美華子君の胸を見た。
彼の胸は、一花ちゃんより膨らんで、将来は大きくなりそうな綺麗な胸だった。
「最近、胸が膨らんできたんだ。こんな胸、いらないのに。胸なんかいらない。男になりたい」
美華子君は本気だった。
本気で悲しんでいるのだ。
だから、俺は……
「そんなにさ、体にこだわらなくてもいいんじゃない?」
「え……」
「可愛い服着ても、胸があっても、心が男だったらいいと思うよ。美華子君はさ、外見が男になりたいの?」
「……」
「違うでしょ?君が言う男って生き様とか、考え方とか、内面の話でしょ。だから、胸なんか気にしないでいいよ」
「そっか……そうだよね」
美華子君はそう言って笑った。
よかった、泣き止んでくれて。
ちょろい気もするが、まぁ、結果オーライという事で。
「でもさ、美華子君が望むなら、ここでは好きな格好してもいいよ」
「本当に?」
「もちろん。一花ちゃんもいいよって言うと思うし」
まぁ、本音では嫌だけどね。
美華子君を悲しませるくらいなら俺が我慢する。