10.メイドのお仕事その6。お嬢様と添い寝
そして、夜。
「疲れた……」
夕食後も、俺の仕事は続いた。
専属メイドとしての仕事の勉強他様々。
将来の秘書としての能力も求められているらしく、資格の勉強まで命じられた。
そして、他の人の手伝い下働き。
「まったく。初日からこんなハードなのか」
一花ちゃんの専属メイドとして言う事聞いてればいいなんて簡単な仕事じゃなかった。
体力もいるし、頭の良さも重要っぽい。
もっと契約書きっちり読めばよかった。
まぁ、一花ちゃんはいい子だし、資格勉強は仮にここで首になっても役に立つような資格も取れる。
勉強を教えてくれる人は厳しいけど教え方は上手だし。
大学に行っていると思えば安い物だ。
給料もいいし。
だけど、問題は……
「一花ちゃんの事だよな」
一花ちゃんに脱衣所であんな事をしちゃったせいで、一花ちゃんには距離を取られてしまった。
そもそも、黒川さんが止めてくれればよかったのに。
いや、そもそも俺と黒川さんへの最上位命令権を持つのは奥様だ。
黒川さんだって、奥様が怒るような事をしようとしたら、俺を止めるだろう。
……つまり……考えたくはないが、これは奥様が許しているってことか?
だとしたら、奥様。
あんたいったい何考えているんですか!!!
それでも彼女の親ですか!!!!!
俺は内心で思いっきり叫んだ。
そんな風に俺が一花ちゃんの事を考えてモヤモヤしていると、
トントントン
鍵無扉をノックする音が聞こえた。
一花ちゃんが呼んでいると思った俺は、大慌てで扉の方へ行った。
そして、扉を開けると予想通り一花ちゃんが立っていた。
「い、一花ちゃん……」
「入るね」
そう言って、一花ちゃんは問答無用で部屋に入ると、俺のベッドに横になってしまった。
「命令」
「はい!」
一花ちゃんの落ち着いた、かつ反論を許さないような言葉に、俺は思わず背筋を正してしまった。
「一緒に……寝よ」
「へ?」
今度は間抜けな声を出してしまった。
「それで許してあげる」
「ええっと……」
「一緒に添い寝するのだって、メイドの務めでしょ。いいからやる!」
「あ、はい」
有無を言わさない迫力の一花ちゃんの命令に俺は思わずしたがい、彼女の隣で横になった。
幼くしてこういう人を無理やり従わせる迫力を持っているというのは、さすがお金持ちの上級国民の娘という所だろうか。
俺が横になると同時に、一花ちゃんが抱き着いてきた。
「ちょっ、一花ちゃん」
「だーめ、罰として、お兄ちゃんは当面一花の抱き枕」
「当面!?今日は涼しいからいいけど、熱くなったらどうすんの?」
「?エアコン入れればいいし、いざとなったら裸で寝ればいいし」
「ちょっと、それは!」
「いいよ、もう。全部見られちゃったし。第一、裸族っていう家にいるときは全裸って人もいるんでしょ」
裸族って聞いたことあるけど、そんな事するの?
「だから、抱き枕。後、いーっぱい勉強して、将来一花の役に立ってね」
「は、はい」
「勉強さぼったら許さないから。言っとくけど、一花、頭いいからね。一花の未来のパートナーなんだから、超優秀にならないと許さない」
「かしこまりました。お嬢様」
「もぉー」
「あはは」
一花ちゃんが楽しそうに頬を膨らませ、俺は笑ってそう答えた。
その後、俺達は一緒に色々話をした。
そして、一花ちゃんが眠った後、俺は一花ちゃんの頭を撫でた。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なに?」
一花ちゃんは、いきなり俺にキスしてきた。
俺は驚いたけど、一花ちゃんは目を閉じて、口の中に舌を入れて来た。
そして、俺の下と絡ませて来た。
俺は気づいたら彼女を抱きしめ、彼女の舌と俺の下を絡ませていた。
そして、しばらく俺と彼女の舌が交わる音が響いた。
そして、一花ちゃんが唇を離すと、
「お兄ちゃん……好き……」
「俺も、好きだよ」
「一花の事、離さないでね」
「もちろん」
俺の言葉を聞くと、一花ちゃんは俺をギュッと抱きしめた。
それからは、お互いに無言だった。
しばらくして、一花ちゃんの可愛らしい寝息が聞こえて来た。
俺は一花ちゃんが好きだ、大切だ。
その言葉に嘘はない。
だけど、愛しているかと言えば分からない。
一花ちゃんは、俺を好きだと言ってくれた。
多分、一花ちゃんは愛してくれているのだろう。
でも、きっと一花ちゃんは俺より素敵な男性に出会うだろう。
その時まで……
俺は彼女のそばに居続ける。
その為に俺は頑張り続ける。
俺の可愛くて素敵なお嬢様の為に。
はじめて一章完結まで行けました。
わが事ながら感動です。




