リーフ-3
その後の顛末について。
全ての力を失ったレンは、勇者の称号を剥奪され、職を失い路頭に迷うこととなった。それでもレンは、自分の命がまだあることに感謝している様子だった。
今はギルド酒場でバイトをしながら、エリナに弟子入りしてギルド事務員になるべく勉強しているらしい。
勇者パーティーのエリシアは、ユイ同様【魅了】をかけられていたようで、すっかり数カ月分の記憶を失ったかわりに、正気を取り戻した。元は勤勉な銀級ヒーラーだったようで、ティアが引き取って面倒を見てくれている。
ティアといえば、彼女は輪をかけて熱心にリーフを誘惑するようになり、しばしば孤児院にまで姿を見せるようになった。毎度毎度アルテとの舌戦が繰り広げられるため、リーフは居心地が悪くて仕方がない。
強烈な失恋をしたオトであるが、ダメージが強すぎて一周回ったのか、彼の優しさなのか、リーフの前ではごく普通に振る舞っている。一度、孤児院にやってきたティアに「失恋者同士慰め合わないか」と冗談めかして誘われたらしく、そのときは顔を真っ赤にして逃げ帰ってきていた。そう言えばエルフは幼い少年が好きだと言っていたな……と、リーフは思い出して苦笑いした。
リーフが人界にやってきて、2ヶ月が経過していた。ダストタウンの大掃除は、早朝5時から大勢の住人が集まるようになった。
ゴミをなくすだけでなく、古い建物を新しく【創造魔法】で(ついでにちょっぴり豪華にして)建て直したりして、ダストタウンは見違えて美しい街になりつつあった。町の人々に活気が戻り、商売を始める人まで出始めた。今までダストタウンにゴミを投げ入れていた人たちも、何やら最近は捨てるのが憚れるみたいだ。
そんな美しい街のほとりに建つ、古びた孤児院では、今日も賑やかな子どもたちの「いってらっしゃ~い!」が響き渡る。
「気をつけてね、3人とも」
『ギギィ!』
ユイとギギにも見送られて、3人の冒険者は今日も元気よく出発した。それぞれの首元で輝く、3つの白金。
「最近、上位の魔族たちが血眼になってお前を探してるらしいぞ? リーフ、何したんだお前」
「あー……たぶん"同族殺し"の件だね。錆竜を殺しちゃったから、いつかは追手が来ると思ってたけど、ついにこの辺まで捜索の手が伸びてきたかぁ……」
「返り討ちにしていけば、そのうち四天王クラスが来るかもな。魔族の幹部と話せるチャンスじゃん」
憂鬱な顔をする2人に対し、アルテだけが楽観的である。
「四天王ってめちゃくちゃ強いんですよ? 勇者よりずっと」
「マジ? やべーなそれ。まぁ、でも、あたしら3人なら大丈夫だろ」
アルテの笑顔を見ていると、本当にそんな気がしてくるから、この人には敵わない。
「そうですね。じゃあ、今日は上位の魔族と会えるように、魔界近くまで足を伸ばしてみましょうか」
「いいね!」
「マジかよ……」
野望は、2種族の和睦。そのためにリーフは、目指すべきモノを確立していた。
"最強"。
勇者を見て学んだ。強すぎる力は身を滅ぼすと。だが、世界中に自分の意志を伝えるためには、そして、強すぎる者たちを止めるためには、自分がもっと強くあらなければならない。
誰もが笑って暮らせる世界を創るため、リーフは最強へ至る。
どれほど強大な力を得たとしても、きっと大丈夫。
一人では無理でも、この人たちとなら、正しくあれる。
転移の光りに包まれながら、リーフは未来を想像した。
第一章――完
第一章、完結です!!
まずはここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
4月1日から書き始め、丸一ヶ月。4月30日、無事最初の幕を引くことができました。ひとえに読者の皆様のおかげです。本当に、本当にありがとうございます。
この作品は、「本気でなろう小説を書いてみよう!」という初めての挑戦作でした。テンプレを勉強し、長いタイトルを推敲し、追放モノというトレンドを取り入れ……
結局、僕には向いていなかったのか、単純なざまあや俺ツエーからは外れていってしまった気もしますが……今までにないほどたくさんの方に読んでいただくことができました。
実はこの作品について、明日、重大なネタバラシがあります。また、続編を書くつもりですので、ブクマは絶対にそのままで!! お願いします!
面白かった! と思ってくださる方は、ぜひ☆で評価をお願いいたします。また、これを機会に僕の他作品に興味を持っていただけた方は、『ドルフィン・デイズ!』というエンタメ小説を角川文庫様から出版しておりますので、四年前の作品のため在庫が少ないかもしれませんが、ネットショップなのでポチっていただけると嬉しいです。カクヨムでウェブ版が途中まで読めます。
それでは、また物語の続きを楽しみにしていてください!!




