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スキル-3

「えぇっ!?」


 なんてことないように手を挙げたオトに、リーフは耳を疑った。


「生まれつき2つの魔法を持ってる魔族と違って、人間は魔法を後天的に習得するんだよ。ほら、こんな風に魔法の本を読んだりして、練習して少しずつ自分のものにすんだ。冒険者じゃなくても、簡単な生活魔法を含めたら10種くらいは魔法を使えるぜ」


 オトは部屋に持ち込んできていた古びた本を掲げて見せた。そういえば、そんなようなことをオトがギルドで言っていた。


「お、オトは、何種類くらい使えるの……?」


「たぶん500くらい」


「ごひゃっ!!?」


「たいしたことねえよ」と言いつつ鼻をかいて、リーフの反応にまんざらでもなさそうだ。


「この本はな、《魔法百科》って言って、珍しい魔法が100種類も載ってるすげー本なんだぜ。特殊な魔法がかかってて、めくってもページがなかなか減らないんだ。ここにでけえ家が建つくらい高価な代物なんだけど、俺が冒険者になった祝いにって、アルテが手に入れてくれたんだ」


 オトはなにかを思い出したようにしまりのない表情になって、その本をまた大切そうに抱えた。リーフもなんだか心があたたかくなる。


「オトはどうして《魔導師》になろうと思ったの? 男の魔導師って珍しいよね」


「……俺が冒険者を目指そうと思った頃には、一つ年上のアルテはもういっぱしの剣士になってた。だったら俺は、アルテを援護してやれる魔導師になろうって思った。そんだけだよ。大変だったんだぜ、俺、魔法の才能なんてまったくなかったからな。しかも結局、まだ一度もパーティー組んでもらえてねぇし……でも、今度こそ入れてくれるって約束してくれたからな! ははは、ついにこのときが来たぜ!」


「オトは本当にアルテさんが好きなんだねぇ」


「は、はぁ!? 好きじゃねえよ、あんなやつ!」


 顔を真っ赤にして焦るオトを、リーフはかわいいなぁと思った。


「と、とにかく! 【鑑定スカウト】してほしいんだろ!? 見てやるよ」


 そう言って、オトは居住まいを正し、互いにベッドの上で正面に向き合った。じっとリーフの顔を凝視するオトの目が、瞬間、銀色に輝いた。


「――【鑑定スカウト】」


 オトの魔力が、彼の両目に集中していく。真剣な眼差しで、なにやらリーフには見えない文字の羅列を追っていくように、虚空をじっと見つめる目がゆっくり右から左へ移動しながら下がっていく。


 それにつれ、オトの表情がみるみる変化していく。信じられないものを目の当たりにした――そんな顔に。


「なんだ、こりゃ……おい、紙とペン!」


「は、はい!」


 紙とペンを創造して手渡すと、オトは自分の本を下敷きがわりに、その場で虚空を睨みながら一心不乱になにやら書き写し始めた。


 やがて書き終わったのか、目の色を元に戻してオトはひたいの汗をぬぐった。手渡された走り書きのメモに、リーフはどきどきしながら目を通した。


「こ、これは……」

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