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冒険者ギルド-1

 転移した先は、賑やかで広大な屋内だった。


 3階ぶんのフロアが吹き抜けになっており、天井は見上げるほど高い。吊るされた暖色のシャンデリアが柔らかく照らす1階は、武装した冒険者たちが行き交うだだっ広い広間になっていた。壁際にいくつかのカウンターや掲示板が据え付けられ、受付嬢の前に冒険者たちが列を作っている。


「わぁ……ここが冒険者ギルドですか! すごい活気ですね!」


「ギルドと言っても正確には、ここは剣士も魔法使いも治癒師もひっくるめて面倒見てくれる、冒険者の総合案内所。《ゼネラルギルド》ってとこだ。まずはここで手続きをして、職業に合わせたギルドに加入する。リーフの場合は《治癒師ギルド》だな」


「アルテさんは《剣士》ギルドですか?」


「そういうこと。ちなみにオトは《魔道士ギルド》な。こうやって分かれてるから、パーティーに必要な役割ロールを簡単に探せる。各ギルドに頼めば手頃なやつを紹介してくれるからな」


 職業や能力ごとに組合が組織されていることで、バランスの良いパーティーを簡単に作れるシステムとなっているらしい。魔族はあまり力を合わせて戦うことをしないので、目から鱗だった。


「なんで俺まで……」


「オト、あたしはちょっと今回の冒険の報告をしてくるから、リーフの案内頼んだぞ」


「えぇ!?」


 叫ぶオトを置いて、アルテはさっさと冒険者たちの列に加わってしまった。さっそくアルテの姿に気づいた屈強な冒険者たちにとり囲まれ、彼女の姿はたちまち見えなくなってしまう。


「くそ、それで俺を連れてきたのか!」


「わあぁ、オト君見て、あの壁にかけられてる剣、おっきいねぇ」


「おぉい勝手にうろつくな!!」


 物珍しくあちこち目移りしていたリーフの着ているボロローブのフードを引っ掴んで、オトが引き戻す。


「お前、魔族の自覚あんのか!? 俺の魔法を見破れるやつがいたら殺されるんだぞ!!」


「オト君……」


「なんで喜んでんだ!?」


 こんな自分を心配してくれることに感動し、じぃんと胸をおさえるリーフ。絶叫するオト。


「とにかく、一応顔は隠してろ!」


「うん、わかった」


 フードをすっぽりかぶったリーフに鼻を慣らし、オトは「こっちだ」と先を歩き出した。迷いなく歩き、アルテとは別のカウンターの列に並ぶ。


「これから手続きするけど、俺に話合わせろよ」


「え?」


「いいから」


 小声で口早に指示したオトに、質問する間もなく、リーフの順番が来た。前の冒険者が去ってひらけた視界に、カウンターの奥で上品に立つ美女が現れた。


「あら、いらっしゃいオト君」


 紺の制服に紫のリボンをきっちり着こなし、すらりと背筋を伸ばした美女が笑いかける。ホワイトベージュの柔らかいショートヘア。少し垂れた形のいい目。キリッとした美少女のアルテとは雰囲気が違うけれど、アルテに負けないくらい綺麗な人だ、とリーフは思った。


「こんちはエリナさん。こいつの冒険者登録を頼みたいんだけど」


「あら、お友達?」


「いや、知らないやつ。外国の人間っぽいんだけどさ、ギルドの入り口で困ってたから連れてきた」


 知らないやつ、と言われてショックを受けたものの、「話を合わせろ」と言われたことを思い出し、リーフは素直にうなずいた。


「ほんとだ、見かけない顔ね。いくつ? お名前は?」


「リーフ、17歳です」


 年齢を聞いてエリナも驚いたに違いないのに、表情一つ変えなかったところにプロ根性を感じる。エリナは幼い子どもに語りかけるような口調だけ改めて続けた。


「ようこそ、《ステイシア》の冒険者ギルドへ。どこか違う国で冒険者をしていたことは?」


「いえ、初めてです」


 この国はステイシアというのか、とリーフは頭の中にメモをした。


「どこか卒業した学園や、提示できる実績はございますか?」


 実績……アルテの話ではダンジョンマスターの錆竜を討伐したのは自分らしいが、そんなことを吹聴ふいちょうしては頭のおかしいやつだと思われるに違いない。そう考えて、リーフは首を振った。


「ないと思います」


「それでは、こちらをどうぞ」


 エリナがカウンターの引き出しから、穴をあけた石ころにひもを通しただけの首飾りを取り出してリーフに渡した。


「初級の石級ストーンクラスからスタートとなります。活躍に応じてわたくしどもギルド職員が査定をし、アイアンブロンズシルバーゴールド白金プラチナと階級が上がっていきます。といっても、アイアンになるまでがまず大変で、ブロンズにもなれば一人前の証です。シルバー以上は数えるほどしかいらっしゃいません」

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