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アルテの孤児院-2

 ギルド、とは人間の冒険者たちをとりまとめ、様々な任務に斡旋あっせんする事務所のようなもの。リーフの認識はそんなところだった。


「そうですか、行ってらっしゃい」


「なにいってんだ、一緒に行くんだよ」


「え?」と目が点になったリーフの首根っこを掴んで、アルテはひょいと持ち上げた。


「冒険者登録をしにいかねえとな」


「誰のですか!?」


「お前のに決まってんだろ」


 バカな! いつからそんな話に! リーフは浮いた足をジタバタさせてもがいた。冒険者というのは魔族を狩る者のはずだ。それを魔族が務めるなんて。


「冒険者にも色々あるんだよ。任務も荒事ばかりじゃない。リーフが入るのは《治癒師ギルド》だ。ヒーラーとしてのスキルがあれば誰でも入れて、怪我人を治したりとか、医者代わりの仕事も任される」


「え、そうなんですか」


「この街でちゃんとした生活をしようと思ったら、冒険者が一番手っ取り早い。お前の実力ならすぐに稼げるようになる」


 確かに、いつまでもこの家に厄介になるわけにもいかない。さっきアルテは、ギルドに入れば宿を借りられるというような話もしていた。


「お前のその力、必要とするやつらがたくさんいるはずだ。やらないか?」


 アルテのその言葉で決心した。うなずいたリーフに、アルテはこころなしか上機嫌になった。


「じゃあ、行く前にその肌をなんとかしないとな。そういうの得意なやつがいるから、ちょっと呼んで――」


 言い終わるより早く、ドタドタドタと騒がしい足音が近づいてきて、勢いよく部屋の扉が開いた。


「アルテぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! 本当だ、帰ってきてる!」


 騒がしく入り込んできたのは、十五歳くらいの茶髪の少年だった。深紫ふかむらさき色のローブを身にまとい、手には大きな木製の杖を持っている。ひと目見てわかる、魔術師のよそおいだ。圧倒的に女性率の高い職業ジョブであり、男の魔術師はリーフも初めて見た。


「ただいま、オト。騒がしいぞ、客人が来てるのに」


「帰ったなら声ぐらいかけてくれてもいいだろ!? もう一ヶ月近くぶ……り……」


 オトと呼ばれた少年の尻にしっぽがあったなら、高速で振り回されていたに違いない。子犬のように輝かせていた彼の目は、リーフの姿を視認した途端、急激に闇へと沈んだ。


「誰だ、お前。それにその肌……」


「魔族だけど、心配すんなあたしのトモダチだ」


「ど、どうもはじめまして。リーフと言います」


 ペコリと頭を下げるも、オトの目に宿る謎の敵意は消えないどころか、一層火力を強めて睨んでくる。


「トモダチ? 魔族と? アルテ、頭がおかしくなっちまったのかよ」


「トモダチどころか、命の恩人だな。こいつがいなけりゃあたしは少なくとも二回死んでた」


 オトは絶句して、品定めするような目つきでリーフを観察し始めた。アルテがそんな意味のない嘘を言う人間ではないと知っているらしい。


「こんなちんちくりんが?」


「こいつ十七歳だぞ」


「え!?」


 ギョッと身を引いたオトに対して、アルテは「丁度いいところに」と手を叩いた。


「お前の魔法で、こいつの肌を人間に見えるようにしてやってくれ。このままじゃなにかと不便だからな」

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