表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/48

破壊と創造-2

「よぅ、おかえり」


『ギギィ!』


 街の外に出たリーフを、物陰で待ってくれていたアルテたちが迎えてくれた。


「やり残したことってのは、片付いたのか」


 リーフの服にかかったおびただしい返り血を見ても表情を変えず、アルテは気楽な調子でそう言った。


「はい」


「そうか。で、どうするか決めたか?」


「はい。アルテさんについていきます。僕を、人間の世界に連れて行ってください」


 そうこなくっちゃなと、アルテは嬉しそうに指を鳴らした。ギギも飛び跳ねて喜んだ。


 人間の世界に足を踏み入れることに、抵抗がないわけではない。恐ろしいところかもしれないし、すごく不便なところかもしれない。殺されるかもしれない。


 だがリーフは、もうこの空間にいることに疲れてしまった。気のいいこの人たちと一緒にいられるなら、どんな世界でもいいと思えた。


「で、どうやって行くんですか? すごく遠いんですよね」


「おう、お前ら私に掴まれ」


『ギ?』


 ニッカリ笑ったアルテの差し出した手を、リーフとギギは首を傾げながら握った。


「じゃ、行くぞ。――【転移魔法】!」


「うわぁっ!?」


 ダンジョンから外の世界に飛んだときのように、七色の光が弾けた。


 体重が消える。内臓が全部なくなってしまったみたいに体が軽くなり、妙な浮遊感がリーフを襲った。まばゆい光に目がくらむ。数秒で光がおさまり、こわごわ目を開けると――


 リーフは何百という人間が行き交う露店街のど真ん中に、立ち尽くしていた。


「わぁぁ……」


 前を、後ろを、すごい数の人間が横切っていく。露店を広げた商人たちの客引きの声が入り乱れ、硬貨のぶつかり合う音と、果物や焼きたてのパンの匂いが飛び交う。魔族の世界からは想像もつかない活気だった。遠くには見上げるほど高い尖塔せんとうが見える。魔王城の、白いバージョンみたいだ。


「あぁっ、《剣聖》だ!!」


「帰ってきたのか!」


「ステキー!!」


「アルテちゃん結婚してくれええええ!!」


 アルテたちに気づいた群衆が騒ぎ始めた。人間の街に感動しているリーフの顔を指差して、誰かが呟いた。


「あれ、あの隣りにいるやつ……あの肌の色、もしかして」


「しまった!」とアルテの手が素早く伸びて、凄まじい力でリーフを引き寄せ、魔人特有の灰色の顔を自分の胸に押し当てて隠した。


「わぶっ!」


「自分の部屋に飛んだつもりが、こんな大通りに出ちまうとは! やっぱ【転移魔法】は繊細だな! あたし向きじゃねえ! ギギ!」


『ギ!?』


 ギギの肩に飛び乗ったアルテは、ギギの頭に掴まると一点を指差した。


「あたしの家まで全速前進!」


『ギギー!』


 土煙を上げて猛進する巨大ゴーレムに、人々が悲鳴を上げて道を開ける。ギギに揺られながら、リーフはどうにかアルテから離れて呼吸できる隙間を作ろうともがいた。


「ん? お前、そんなに力強かったか?」


 馬鹿力をアルテを辛うじて引き剥がして顔を出したリーフを至近距離から見下ろして、アルテが首を傾げる。


「なんだか分かんないんですけど、ダンジョンを出たあたりから体の調子がいいんです」


「ほう」


 アルテはなにか察しがついたように含み笑いを浮かべた。


「そいつは面白いことになってきたな。もし本当なら、前代未聞だぜ」


「何がですか?」


「また説明してやる。それより顔隠してろ」


「わっ!」


 またもアルテに頭を押さえつけられ、リーフはしゃべることもかなわなくなってしまった。アルテの指示でギギは右へ左へ舵を切り、数十分後、一行はアルテの暮らす家に到着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白かった・続きが気になる・応援したい! そう思っていただけましたら、一日一回下のリンクを↓ポチしてみてください。ランキングサイトでこの作品にポイントが入ります! 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ