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元彼と私とラーメン

作者: ふゆ


目の前にはラーメン、そして2ヶ月前に別れた元彼。

今私は夢を見ている。



別れた理由は何だったか、

取り敢えず向こうから言い出したことは確かだ。


私は大学一年目、初めて化粧なんかしたりして、

高校では味わうことのなかった青春を経験している様だった。


心地良かったのだ。

「可愛い子」と認識され異性には意識をされ…

特に異性からの好意を感じる事が。

だから私は大学で彼氏の存在を隠した。


彼は私より1つ年下で、高校3年生で、受験生だ。

受験真っ只中、邪魔してはならないという大義名分を掲げ、連絡が減った。


彼氏を不安にさせるかもしれないなんて考えはなく、

大学で多数の男に言い寄られるうちに、

私には価値がある、彼でなくとも男はいる。

そういった考えが強くなり、

既に私は彼に魅力を感じなくなってしまっていた。


飽きてしまったのだ。


人に対して飽きるだなんて冷たい人間だな、と自分でも思う。しかし飽きてしまったものは仕方がないのだ。


飽きた事に自覚してからは酷いものだった。


好きだよという言葉に形式的に私も好きよと返す。

そういったことが無意味に思え、全てうんだのありがとうだので誤魔化した。


「好きって言わなくなったよね。」


別れる時に言われ、ドキリとした。

気付かないだろうと思っていたから。


高校という会う機会を無くした今、

連絡を断てばすぐに繋がりなど無くなってしまう。


暫く経った時だった。

久々のデート、彼は微笑んでいた。

それでもいつもと違うのは、彼は私に触れることはなかった。



あぁ、別れ話だな、と思った。



彼の事は嫌いじゃない。楽しかった思い出も沢山ある。

けれど、会う機会も減り他の人接する機会が増えるにつれ、気持ちが薄れていった。それだけ。


「好きでいると、僕は辛い。」


彼はそう溢した事もあった。

今思えばその頃はまだ、やり直せたのだろう。

きっと彼は愛してくれていた。


でも私は、態度を変える事はなかった。


私は冷たく接する事で、いずれ彼が別れを切り出してくれるだろうと思っていた事に気付いた。

思惑通り事が進んだ訳だ。


なんて非道いやつだろう。


「別れよう。」

「友達に戻ろう。」


そんなありきたりな台詞で私達の関係は終わった。

とてもあっさりと。


その時私はというと、笑っていた。

ああ円満に別れる事ができた、という安堵からなのか、予想していた通りだったからなのか。


やはり別れ話だったな、と思った。


既に大学で好い人がいたし、別れる事になって良かったと思っていた。


「久しぶりに笑った顔見た気がする。」


そう言って彼も笑い、お互い笑顔で解散した。



そうやって、別れたのだ。


いつかラーメンに行こうなどと言っていたが、

叶わぬ約束だ。



そう。だから夢なのである。

もう2度と会う事はない彼とラーメンを食べる。


少しだけ、夢から醒めたくないと思った。


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