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LASTArk   作者: O3
7/27

LASTArk past at Iniquity 1

過去パート挟みます

ベットの上でぼうっと天井を眺める。先ほど窓から入る光で目を覚ました。

だるい体を起こし部屋を眺める。

いつもの机と椅子。机の上におかれている読みかけの本。特に代わり映えもないのにぼうっと眺めている。

「はぁー……死ぬまで寝てたい……」

ロウディアはため息をついてまたベットに倒れた。このまま眠りたいところだがしなければならないこともあるし、なにより頭が冴えてきて眠れそうにない。

仕方なくベットからおりた。窓の外をみても村の景色はいつもと変わりない。

こんなことを繰り返しながらどんどん年を食って死んでいくのかなとポツリと思った。

カップに水をいれ、食パンをかじりながら本の続きを読み始める。別に本が特別好きというわけでもないのだがいつもこの状態で朝を過ごす。

パンのくずがポロポロと本に落ちる。それを払い次のページへと進む。

この本ももうじき読み終わる。次はどの本にしようか。

そうしているうちにパンを食べ終わった。きりのいいところまで本を進めそこに栞を挟んだ。

ロウディアは背もたれにぐっともたれた。

今日もいつもと同じようにやることをやるだけだ。なにも変わったことはない。

ふと見ると、窓からニャア、と。

野良猫が顔を覗かせていた。

窓の方へ歩いていき猫を抱き上げた。

猫はゴロゴロと喉をならし頬をすりよせる。

「いいなぁ君は気楽で」

笑いながら猫を撫でてやる。猫は気持ちよさそうだ。

「私と変わってくれない?」

猫にそう言った。猫はくりっとした目でこちらをじっとみるだけだ。

「…………なんてね、冗談だよ」

ロウディアが猫にそう言うと、猫は「にゃあ」と、返事をした。

猫を外にでて離してやった。

猫は「にゃ」と、鳴いてどこかへと去っていった。

***

外での作業を終え、一旦休憩へとはいる。

木の下に腰掛け本を開いた。

が、そこに何人かの人がやって来た。やって来るなりいきなりロウディアが読んでいた本を取り上げたてしまった。

「邪魔だわ、どっかいきなさいよ」

金髪の少女、ユーリがロウディアにそう吐き捨てた。

別に本を取り上げる必要はないと思うのだが。けどそれをいうといろいろめんどくさい。

ロウディアは新しい本をどからか取り出すとため息をついて立ち上がった。

「ちょっと何よ!先住民族の分際で!!」

その態度にユーリはカチンと来たのだろう。血相をかえて怒鳴り付けた。

ロウディアの髪は真っ青なのだがこれはこの地域の先住民族の特徴らしい。

その昔、ここにいた先住民族は部外者により他の地方に追われたり、奴隷にされたりといろいろひどい目を受けたようだ。

どうやら自分はそのなかでも生き残った人たちの子孫らしい。その昔の影響からかどうやら青髪は認められないもののようだ。

町のほうにいけばはもうこういった差別はほとんどないし、農村部でもだいぶ減った。

しかしこの金髪の少女のように酷く青髪を嫌う人もまだいる。

「この村において貰えるだけでも感謝しなさいよ!さ、いきましょ」

ユーリはこの村を取り締まっている地主の娘だ。ユーリの両親も青髪を好ましく思っていないようだが、ロウディアがいなくなれば収益が減るという理由だけでロウディアのことを気にかけない。

ユーリはそう言うと子分を引き連れ、どこかへといってしまった。本は返してくれなかった。

まあ一回もう読んだことあるからいいか、そう言い聞かせまた木に持たれかけた。

「なんであんな子分を引き連れてまでくるんだ……あー、考えるのもめんどくさ……」

ああやって群れをなしてくるやつの頭がどうも昔からロウディアは理解できなかった。

ため息をつきながら新しい本を開いた。

「ロウディア!」

自分の名前を呼ばれて顔をあげる。そこには黒髪の少女が立っていた。

にこにこしながら「何してるの?」と問いかけてくる。

「ノエルか…………別に、本を読んでいるだけだけど」

「何の本?」

黒髪の少女、ノエルが本をみる。

「まあ、物語かな……」

本のタイトルをノエルに見せる。

ノエルは「へぇー」とロウディアに答えた。

「どう?畑作業進んでる?」

「まあ、ぼちぼちだけど」

ニ、三日雨で作業ができなかったため草がだいぶ生えてきてしまった。今日はそれをぼちぼちとむしっていた。手から草の臭いがする。

「けど、農具がだいぶダメになってきた」

「あ、ほんとだ………」

ノエルがロウディアの鍬をみて言った。

鍬先にヒビが入っているのがわかる。

「まあ貰ったのが最初からボロだったんだけどね」

ロウディアがため息をついた。あのユーリの家のせいでいい農具が使えないのだ。

ロウディアがノエルの方をみるとノエルはなにかを考えているような素振りをみせ、思い付いたような声をあげた。

「あ!家に余っている鍬が一本あったような…」

そう言うとノエルは走ってどこかへといってしまった。

暫くすると帰ってきた。手には鍬が抱えられている。

「はい、これ使ってよ!」

ノエルがロウディアに鍬を差し出した。

「いいの?別にそんな私に構わなくても………」

「いいの、誰かが困っているなら助けたいの」

ノエルがそう言った。昔からノエルはそうだった。こうなると何を言っても引かない。

「……ありがと」

ロウディアがそう言うとノエルは嬉しそうな顔をするのだった。


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