表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/46

出会い、そして。―望乃夏

雪乃と並んでお弁当のパッケージを開ける。................それにしても雪乃、お弁当の他におにぎり5個ってどうなのよ................

「それにしても雪乃、よくコンビニ弁当二つも取れたね。けっこう争奪戦なのに。」

「ああ、同級生でニアマートの系列でバイトしてる子がいるの。それは昨日の余りだけど、食べても問題は無いって言ってたわ。」

き、昨日の残りって、それ賞味期限大丈夫なのっ!?................なんてツッコミは雪乃に鼻で笑われそうだから気にしないことにして、私は黙々と箸を進める。................うん、このヒレカツはなんかしんなりしてて、あんまり美味しくないなぁ................

そんなことを考えているうちに、雪乃はお弁当とおにぎり2つを平らげていて。

「そうね、何かおやつでも欲しいわね。」

と、こっちをチラチラと見てくる。................はいはい、作ればいいんでしょ作れば。戸棚の中からザラメと割り箸を取り出して、いつものようにお玉の中で火にかける。

「望乃夏、早く早くっ」

「................もう。うちだって部費そんな多くないんだよ?食べたかったら次からは自分でザラメ買ってきてよ?」

「そんなケチケチしないで望乃夏が買ってきてよ。」

「................雪乃、気付いてないかもしれないけどさ、雪乃が食べるようになってからもう、ザラメ5kgぐらい部費で落としてるんだけど?流石にもう部費じゃあ計上できないからね?」

「................わ、わかったわよ................買ってくればいいんでしょ?」

雪乃は不満げながらもちゃんと約束してくれた。................うんうん、聞き分けのいい雪乃は大好きだよ。思わずお玉をじっと眺める雪乃の頭をぽんぽんと撫でると、「もっと撫でて」とばかりに近寄ってくる。................うん、そこまで近いとちょっと危ないかな。

「雪乃、もうちょっと離れてくれるとありがたいんだけど。」

「................へぇ、望乃夏から手を出しておいて、それはないんじゃないの?」

「................わかったよ、じゃあこれが完成したら、ね。................ん、さっきの続きと、そうじゃない方、どっちがいい?」

「あら、決まってるじゃない。................どっちも、よ。」

「相変わらず欲張りだねぇ。」

................ん、ちょうどいいかな。重曹を投げ込んで膨らませると、手早く濡れ布巾の上に載せる。 待ちきれなかったのか、横から雪乃が手を出してくる。それを空いた方の手で払い落として、スプーンでこそげ落とした欠片を紙皿へと載せていく。

「はい、お待たせ。」

その返事は、紙皿へと伸びた手。あっという間にお皿はカラになって、雪乃のほんわかした顔が続きを待ち望んでいた。

「................なら、さっきの続きからね。」

おずおずと差し出された雪乃の頭を、二、三回ぽんぽんと撫でる。それから、そっと「なでなで」してから抱き寄せる。ちょっと制服が汚れたかもしれないけど、まぁいいや。

「................どうする、続ける?」

「................その先を、お願い。」

「えぇ................ザラメ食べたあとの口でするの?」

雪乃はハッとすると、バツが悪そうに立ち上がる。

「................歯、磨いてくる。」

「いや、その必要はないよ。」

へ?と振り返る雪乃の白いほっぺたに、そっと口付ける。そこから雪乃が真っ赤になっていくのを眺めると、

「................こっちじゃ、ダメだった?」

「................ううん、全然大丈夫。」

仄かにとろんとした雪乃を抱きしめようと手を伸ばした瞬間...........扉がガタンと鳴る。慌てて雪乃と距離を取ると、雪乃はもういつもの仏頂面に戻っていて。

「................扉の外に誰かいるわね。捕まえてくるわ。」

「え、ちょっと雪乃?」

止めるのも聞かずに、雪乃は物音のしたドアを開ける。そして、扉の前にいた大きめの子を睨みつけていて。

「................こらこら雪乃。ダメじゃない、そんな怖がらせたら。」

雪乃を押しのけて間に入る。................あ、ちっちゃい子も居たんだ。

「................その校章の色は................新入生かな?どうしたの?」

そう声をかけると、大きい方の子がオドオドと答え始める。

「あ、あの................」

「美味しそうな匂いを辿ってたらここに着きました。」

大きい方の子が言いよどむ間に、小さい方の子がスパッと答える。

「あー................やっぱ外にも匂い漏れてたかぁ。」

................だよねぇ、こんないい匂いがしたら、そりゃ引き寄せられるよね。ちょうどお昼時だもん。

................ま、しょうがないか。テーブルの上からザラメを持ってきて、扉の外の凸凹コンビにニヤリと提案する。

「................バレちゃったらしょうがないね。君たちもおやつ食べてかない?」

はてさて、誰なんでしょうねぇ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ