表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/46

大丈夫………………?―望乃夏

………………な、なんとか間に合った………………ボクは教室の自分の机でぐでーっとする。………………雪乃、ボクが散々時間が無いって言ってるのに、『朝ごはんは毎日きっちり食べないと調子が出ないから』とか言い張っておかわりしまくるんだもん………………うっぷ、中身が出そう………………

「よ、よぉ………………墨森ちゃん………………」

端っこの席から、こっちもよろよろしながら声をかけてきたのは、

「………………ふ、文化………………どうしたの、なんかそっちも、やつれてるけど………………」

「………………………………あー、多分、墨森ちゃんと同じ理由………………だと、思う………………」

「なるほど、雪乃が原因か………………」

おおかた、昨日の当てつけに厳しいメニューでもやらせたのかな。ボクは心の中でそっと同情する。

「………………………………墨森ちゃん、何か食べられるものもってない………………?雪乃にしごかれたせいで、メシなんも食ってないんだ………………」

文化がゾンビのように「めしぃ………………」とつぶやく。

「うーん………………何かあるかなぁ………………」

と、カバンの中をごそごそと漁る。すると、底の方からコンビニのクッキーの袋が出てきた。

「こ、これでいい?」

と、食べかけのクッキーを差し出すと、

「お、恩に着る………………」

と、袋ごと強奪して自分の席に文化が戻る。………………………………あれ、あのクッキーいつ開けたやつだったかなぁ………………………………?まぁ、文化だし………………大丈夫だよね?

ぐでーっと机に突っ伏したまま、いつものようにHRからお昼までを睡眠学習に費やした。………………いや、寝てるけど授業は一応聞いてるからね?………………ノートは取ってないけど………………………………


お昼の鐘を合図に身体を起こすと、雪乃を探しに行こうと席を立つ。………………あれ、文化はどこ行ったのかな。

「あれ、文化は?」

「あー、なんか授業終わる度にトイレ駆け込んでたけど………………」

………………………………ま、まさか………………ね?

とりあえず雪乃を探しに廊下に出る。………………えーっと、雪乃は今年も3組だったよね。3組、3組っと………………。教室の後ろのドアから首を突っ込んで様子を伺うと、雪乃の大きな背中はどこにも見えない。仕方なくその辺にいたストレートの髪の人に聞いてみると、

「………………あ、すいません。うちの雪乃………………いや、白峰さんはどこに行ったか知りませんか?」

「白峰さん? さぁ………………わたくしは存じ上げませんけど?」

「あ、ありがとうございます。………………雪乃、どーこ行っちゃったんだろ………………」

しょうがないから一人で食堂に向かおうと振り返ると、ちょうど文化とすれ違う。

「あ、文化。………………だ、大丈夫?さっきよりやつれてるけど………………」

「す、墨森ちゃん………………………………あのクッキーいつの………………?」

「………………ごめん。覚えてない。」

「や、やっぱり………………………………なんか酸っぱい味がしたからおかしいなぁとは思ったけど………………お腹すいてたし全部食べちゃった………………」

「いやその時点でやめとこうよっ!?」

更に顔色が青くなっていく文化を抱きとめると、そのまま保健室へと連行した。

………………この分だと、ゆっくり食堂でお昼は食べられそうにないや………………文化にお詫びのスポドリゼリー買うついでに、ボクもおにぎり買ってこよ………………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ