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ノスタルジア  作者: Hans
4/6

トルコにて

後は頼んだ。

お前だけがた....




やけにうるさい金属音が耳に鳴り響き声をかき消した。

生理的な不快感と眠い所を強引に起こされた事による倦怠感が体を重くする。


窓らしい窓も無いが、流石に少しは日の光が車内に差し込む。

鉄と油の匂いが鼻腔を突き抜け脳を揺さぶるようで、辛い。


鉄塊の運転を鉄の箱に任せキューポラから顔を外に出す。砂漠は既に絶えたようだが、荒野が砂漠に似ていて飽きたあの雰囲気を彷彿させる。


既にこの星最大の大陸、ユーラシアに渡ったらしい。

シュレディンガー曰く、トルコと言うのはこの星で最後に残ったまともな国家らしく、それは旧ヨーロッパからイスラム、アジアンユニオン西部を吸収し、そこそこの大きさだったという。

しかし領土自体は書面上の物で結局人が住んでいたのはトルコの首都たるイスタンブールにのみだったという。


しばらくほど荒野が続くとやがて海沿いに出て遠くにアレクサンドリアとは違った都市が見えてきた。

また道らしい道が現れ、道沿いには前に見掛けた何かしらの残骸が多数落ちていた。



昨日聞いた中国という国家について聞いてみた。


彼の国は人類史最大の国家だという。

近世から現代にかけ極東からユーラシア北部、南部、西部と順番に侵攻。近世より前まで栄えていたアメリカ、ヨーロッパ諸国も急激に制圧したと言う。

この国は急激な技術発展が起こり圧倒的武力を誇った。それが現代文明に繋がっていると言う。

最終的にアジアンユニオンと名乗り最大の国家としてこの星に存在していたが、なぜかある時内戦が起こり滅びたらしく、その後に残ったのがトルコ、アメリカ、イスラム、ヨーロッパの国々らしい。

トルコはさらにその後も存続し続けギリギリ今もその姿を留めている。


イスタンブールは中国の主要拠点であったのと人類最後の都市であり、周囲に転がっているのはそれらの時代の物で、どれも戦争の為の道具であるらしい。



イスタンブールと書かれた巨大な看板の下には3Dワークスが置いてあり、この国の歴史を解説していた。

オスマン帝国から中国占領下時代、そして最後の国家。

これ等の歴史は今もAIによって更新されているらしいが、人口0人となった年から建物が崩れたという記事しか載っていない。


人間が居なくなると言うのはとても悲しいものだと思う。


街は比較的綺麗に保たれている。

どうやら自動で掃除が成されているようで建物の一つ一つが輝いている。

が、いくつか建物が無い区画があり、中には掃除用ロボットが瓦礫を撤去してる区画もあった。やはり建物自体は人間が居ないと持たないと言うのを思い知らせる。

いくらうわべを綺麗に出来ても我々機械だけでは中身まではどうにも出来ないとシュレディンガーが嘆いた。

何故か機械の能力はすべて制限されていて人間がいないと上手く世の中を動かせないようにされていた。


どことなく何故それが行われたのかは解る。

そうしなければならなかった事情。




人間は自らが生み出したモノを恐れ、それを必死に制そうとしたのだろう。


イスタンブール中心部に近付くと道端にこの国の国旗とおぼしき旗を掲げた小さな屋台らしい建物があった。

中を覗くと機械が不思議な何かを練っていた。白く良く伸びる物体で甘い良い香りが辺りを漂う。

シュレディンガーが不意に屋台の主人という様相の機械に何かを見せた。

すると主人は練っていた物体を器に乗せ、私に差し出した。


主人は人間を見なくなって久しいと語った。自らのお客が来ないのは寂しくやっと久しぶりに自分が作ったトルコアイスを売ることが出来たと言う。

トルコアイスの情報はシュレディンガーも主人もよく知らないらしい。

私が目覚めて食べたまともな食べ物はカロリーメイトとやらだけで、まさかこんなおいしいものがあるとは知らず、主人を誉め称えようと思う。



しかしこのような食に会えたのは良いが人には会えない。

私が目覚めて以来ずっと人を見ていない。

最初に見た3Dワークスにも人口がある年に0になってしまっている。


私にはどうやら人を探すという行動が義務付けられているらしく、本能で体が勝手に人間の存在を確認し続けている。

何故このような行動が私の本能に刻み込まれているのかは知らん。

が、どうせまた夢の男やノスタルジアとかいう単語に関係したことだろう。

余計な労力は使いたくないが、本能がそうさせる以上諦めて周囲を注意深く観察しながら更に街の中心に向かっていく。



次第に建物が少なくなっていき、道路も丸々無くなっている区間が増えてきた。

それでも進んでいくとそこには大きな穴があった。

綺麗な縦穴で底は見えない。

ただ見える穴の壁は人口物らしく機械で出来ている。


ふと何かを思いだしかけた瞬間、シュレディンガーが早く行こうと私を急かした。

全く空気の読めないポンコツめと言うと、彼のポンコツはまるで私が絶対悪のように早口で反論を展開してきた。

面倒になり、それっぽくいなしながら鉄の愛しのマイホームへと帰った。


マイホームへと帰る頃には辺りは鉄の色というよりは、情熱的な赤に変わっていた。


こんな淋しい街でも見た目が綺麗なお陰か夕日が映えている。



鉄の箱が収まると猛々しい轟音とともに戦車は息を吐いて武者震いをする。

雄々しいその背中に飛び乗り、次の地について戦車を駆る友人に問い掛ける。

次の地はギリシャ。国家と呼べるものの原型がここにあると友人が語る。


さて、その地に人はいるのだろうか。




戦車はゆっくりと前進を始めた。


道中、私は考え、思いを馳せた。


人は完璧だとシュレディンガーが語ったのを思いだし、果たしてそれは事実なのかと考えていた。


何故完璧な存在は自らが恐れるようなモノを作り出したのか。

何故完璧な存在はここから消えたのか。


それを考えれば、考えるほど矛盾した答えに行き着いてしまう。



それは


完璧な存在は完璧な存在では無かったということなのだ。

いや、もっと言えば完璧であったが故に完璧では無かったのだ。


要は私が考えたのは完璧な存在など有りはしないのだ。




私はこの答えに辿り着いた時一つの既視感を抱いた。

何処かで自分がしたこの思考を会話し、この台詞を私に言われた。

その時は解らなかったが今ならば。




人類が完璧で無ければそれを完璧と言わしめる程の何かがあった筈だ。

それが何なのかも探してみよう。


トルコ、イスタンブールを出立し四時間程で辺りは完全な闇に包まれ先を照らすのは我が家のヘッドライトのみ。

流石に寝なくてはな。

考えすぎて疲れた。


色々書いてて説明不足気味な部分が多々あり心残りなHansです。


モチベーションが急降下爆撃を開始して以来墜落しそうですが、頑張っています。


出来れば感想が欲しいです...


続きは(ry


応援よろしくお願いします(悲しみ)

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