最初
たくさん書きたい。変なところがあったら教えてください。
「よっしゃぁぁぁぁー。」
僕は高跳び140センチ飛べたことに喜びの声を上げる。
「そんなの普通だろ。」
笑いながら僕を横切るのは、頭良し!運動神経良し!性格良し!なてつやくんだ。
「なんだよ、僕にとっては普通がいいんだよ。」
「まあ、普通もできないからな東は。ふっ」
また笑った。性格良いは取り消そう。
「笑うなよ、自分は人より出来るからわからいんだよ。」
本当に僕の気持ちが分かる人が近くにどれだけいるか。はあ~。
長い溜め息をつく。
「どうしんご?」
暑苦しいやつがやってくる。
「いや、なんか出来なさすぎて。」
「わかんご。僕もスポーツでないから…」
なんか同情されてしまった。この暑苦しいデブくんは、秋人。秋人という名前には痩せているという印象があったけれど、初めてこいつを見た瞬間それが偏見だったと感じた。
「お前どのくらいとべた?」
「んーと、130ぐらいんご。」
よっしゃとガッツポーズをとる。こいつにだけは負けたくない。教室に戻り、特にやることもなく本を開く。
ドゴーン!とてつもない打撃音がなった。ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!音は鳴り続ける。次第に教室の中も騒がしくなる。
「なに、うるさいんだけど。」「すげーな。」「オーまだ鳴る。」
この時すぐにトイレにでも逃げればよかった。それなのに僕は提出物を持ち職員室にいってしまった。
「どこに行くんご?」
秋人が僕に尋ねる。職員室、僕はそう答える。
「じゃあ一緒に行くんご。ついでにトイレに行くんご。」
「嫌だよ。連れしょんなんて、トイレに行きたいとも思ってないし。一人でいけよ。」
「行こんご!行こんご!行こんごー。」
クラス中に秋人の声が響く。ドゴーンとまだ鳴っているのに。
「分かった。でも届けてから。」
「ありがうんご。」
語尾のせいでありがうんこみたいになっているありがとうと言われ、余計一緒に行きたく無くなる。職員室に行く間もドゴーンという音が鳴り続けていた。教師が鳴る方向に行くところを何回か見た。届けたあと秋人はよほど迫っていたのか僕を置いてトイレに駆け込んでしまった。僕は一人になり階段を降りる。すると、人が角から急に現れた。危うくぶつかりそうになったことに腹が立ち、どんなやつなのかと良く見る。長い髪にセーラー服、一見うちの学校の生徒のようだ。しかし、うちの普通の生徒とひとつ違う点がある。それは、大きいハンマーを持っていることだ。彼女の背丈よりでかいのではないかというハンマーを彼女は振り回し僕を殴った。
■■■
トルルルルル、電話がなっている。机が一つあり、その上に電話がある小さな部屋。
「なに?」
座っている状態で目が覚める。状況が把握しきれない。確実なのは僕はハンマーで殴られたということ。今もハンマーの感触が腕に残っている。殴られたんだと再度実感する。まだ状況がいまいち把握できないまま呼び出し音が鳴る電話を取った。
「あ、すいません。こちら正永協会の通です。」
どこかで聞いたことがある名前が言われる。
「はあ…自分、東です。」
「はい、東さんですね。早速ですが東さんは天国に行けます。少し時間が経ったらそちらに係員が行くので待っていていただけますか?」
なにを言っているんだ、この人は。
「あのすいません僕って死んだんですか?」
「はい、死にました。残念です。ですけど運がいいことにこの国では天国にいけるんですよ!信じるものは救われるってやつですね。」
運がいいことにって…死んでる時点でいいことでもなんでもないだろ!しかし、自分がなんとなく死んだことは分かっていた。あれで殴られたらさすがにね。だから僕はここはどこの国なのか知りたい。天国でも地獄でもないここのことを。
「ひとつ質問なんですが。」
「はい、なんでしょうか。」
「ここってどこですか?」
「ここは□□□ですよ。」
名前がよく聞こえなかった。そして僕は名前を聞けずに目が覚める。
東、東、東と呼ぶ声。目を開けるとボヤッとした視界が広がる。頭が痛く吐きたくなる感覚に襲われる。
「う、う、げーーー。」
実際に吐いてしまう。それから10分ほどでやっと楽になり目線を上げる。
「お、大丈夫んご?」
独特な語尾で秋人ということが分かる。「あー秋人か?」
「そうんご。」
「なんで、ここに?」
「東がそこで倒れていたんご。だから僕はここにいるんご。ただ、それだけんご。」
かっこいい台詞になりそうなのに秋人の太ったキャラと語尾のせいでかっこ良くない。そんな秋人のキャラに思わず笑ってしまう。
「ふっ。」
「なに笑ってるんご。今すんごいことになってるんご。現実とは思えないんご。皆倒れてるんご。」
秋人の言葉に耳を疑う。
「え?倒れてる?」
そう言い僕は立ち上がる。壁の塗装がところどころ剥げた学校。なにがあったんだ。いや、なにがあったかは予想がついているな。
「すんごいんご。女の子が全部やったんご。」
僕は髪の長い女に殴られた。ハンマーで殴られた。そして、気絶ですんでいる。自分の体の頑丈さに感謝する。自分以外の人は、
「なあ、みんなどうなってる?」
僕は秋人に尋ねる。
「みんなすごいんご。僕見た瞬間に意識失うかもってぐらい気持ちが悪かったんご。」
「へぇー。」
自分で調べよう僕はそう思った。強引に秋人を引っ張り学校中を回る。廊下には死体、教室にも死体、酷い有り様だった。廊下なんてガラスの破片が飛び散っていて歩くたびじゃりじゃりと鳴る。何回か吐きそうになったが起きる時に吐いたので吐くものがない、胃酸が口の中にたまり酸っぱい。酷い匂いから逃れるために外に出たい気持ちを抑え探索を続ける。階段を下がり保健室に差し掛かる。そこで、こののっぺりと鼻につくような匂いを軽減することを目的にマスクを取りに保健室に入った。
ガラッ。ドアを開くとベッドのカーテンに人影が、しかも二人。
「誰ん…」
秋人が声を上げようとしたので口を手で覆ってやる。しーっと指を口に付ける。カーテンから聞こえる声は男女二人。これは、もしかするとと思った僕は声を出さすカーテンに近付く、
「誰だ!」
カーテンが開き中の人影の正体が.露になる。そこにいたのはてつやと知らない女子生徒。
「なんだ。東か。」
「お、おう東だよ。」
そう返事をして動揺した自分を落ち着くのを待つ。正直カーテンが急に開いた瞬間僕はビビった、とてもビビった。秋人のほうもビビったようでまだ口をぱくぱくとさせている。変な期待をした。こんな状況なのに、恥ずかしい。健全な現実を見て安心したのと落胆した気持ちが混ざり合いなかなか声が出ない。少しの時間沈黙があり、イスに腰掛けてつやが僕に問いかける。なにしてんだと。僕も聞きたいぐらいだか、てつやの近くに女子生徒がいる。ここで僕のシャイな感じを出したくなかったので僕は素直にてつやに言った。
「のぞきをしようと…」
素直に答えすぎた。てつやが僕に疑惑の目を向けた。やめて、恥ずかしい。結局自分で恥ずかしくないようにしたのに最悪な展開になった。もういっそ開き直ろう、そう思いてつやに僕も問い掛けた。なにをしていたのかと。こんな時になにをしていたのかと。てつやは真面目に答えた。倒れそうな彼女を見つけここまで運んであげたと。グレートなてつやの答えに感心する。僕みたいな邪な気持ちはないのだろうかこいつには。そう僕が少し劣等感を抱いているとてつやが言う。
「なあ、東たち髪の長い女見てないか?」
「今のところは見てないよ。」
事実本当に会わなかった。僕たち二人は一応会った時の対処方法は考え行動していたので拍子抜けだった。
「拍子抜けとか言うなよ。殺人者だぞ。気を付けた方がいい。」
注意されてしまった。確かにてつやの言う通りだろう。僕みたいな考えをしているとフラグが立つというものだ。
「ごめん。」
女子生徒のほうを見る。てつやが言うにはこの女子生徒は僕と同様に殴られたらしい。
「あの、名前…なんて言うんですか?」
女子生徒に聞く。
「私?私はあめ。」
なんか比喩を利用した詩のような自己紹介。
「名字は?」
「五月。」
そんな名字あるはずがない。そう思う五月?意図的に昔の人がそんな名字を作るだろうか?いや作らない。明らかに偽物名字をいわれ彼女が僕たちに持つ不信感が感じ取れる。
「本当の名前?」
「そう。」
彼女は短くそう答える。確かめる手段もなく、そのまま受けとることにする。
「へー、五月 あめかー。変わった名前だね。」
てつやが不信がる様子もなく言う。まあ別に、このさい案外うまく学校から出れそうだし、出れたら周りの人にでも庇ってもらえるだろう。おっと安心してしまった。たったねこれはフラグ。
「じゃあ、あめちゃんご。あめちゃんよろしくんご。」
秋人がそんなことをいうから、あめちゃん呼ばわりされた彼女は秋人に嫌悪の顔を見せる。目を細めて口をひきつらせている。あめちゃんはないよな。同情する。いきなり下の名前で呼ばれてた挙げ句なにかのパクリのようなあだ名をつけられたのだから。
「いや、いきなり下の名前も…」
てつやも察したらしく秋人の方を見て言う。五月さんでいいかな?てつやが聞く。いいよと言うあめちゃん。妥当だよな。僕が考えた五月雨はきっと却下されるしあんまり話たくないしで聞かなかった。案外通ったのかな?
「そういえばここから出ないのか、東たちは?」
「うーんある程度回ってしまったから、もう外に出て助けをこきたいところなんだよね。」
「そうか、それなら俺たちも一緒にいいか?」
「あ、うん。でも五月さん…歩ける?」
「歩ける。」
じゃあなんでベッドで寝てるだよ!っとツッコミたくなったが、考えてみると自分も起き上がった時は大分気持ちが悪かったことを思い出した。きっと気持ち悪かった時にてつやに助けてもらったんだろう。
「うん!じゃあ行こうか!」
イスからてつやが立ち上がった。五月雨もベッドから出て、てつやの肩に捕まる。まだよろめくのだろうか。二人を見ていいなと思ってしまう。彼女はショートカットで活発そうな体だちをしている。なかなかの美少女。この人と僕たちが来る前二人きりだったなんて羨ましい限りだ。僕なんて暑苦しい太った秋人と一緒だったんだ。なんだこの差は、二人と秋人を交互に見ながらため息をつく。はあー。
「どうしたんご?」
秋人が心配してくれた。優しい奴だなこいつは。ドゴーン。
外に通じるドアが壊される。恐い顔のロングヘアーの少女がそこにいた。外にいたのか!まずい早く逃げないと。くっ足が動かない。
「なにしてんだ!早く逃げろ!」
てつやが僕と秋人に言う。怖い怖い怖い。逃げたいけど足が動かない。
「畜生!お前手、貸せ!」
バッ、てつやが五月雨を掴んでいない方の手で僕の手を掴む。秋人の手を僕が掴む。
バンっとドアをおもいっきり開け保健室を出る。階段を上がり右に曲がる。ジャジャジャ、廊下を走るとそんな音が鳴る。ガラスを踏んでいるということは転んだら最後、手も足も顔も体全体が血まみれになる。手を引かれている状態でバランスをとるのが難しい。このままじゃいつか転ぶ。ドゴーン、ドゴーンと後ろで響いている。追い付かれたら潰される。
「てつや!トイレだ!階段上がってトイレに入れ!」
「わかった。」
階段を上がりトイレに入る。ハンマーを持った少女は一回僕たちの方を見て諦めたのか過ぎていった。みんな息切れをしている。
「よかった。」
安堵する。
「はあー助かった。急に来たな。」
「ほんと、ほんとつっかれたー。」
「トイレあってよかったな。ありがとうな東。」
「いやーまあよかったよね。」
「あの殺人鬼はトイレに来ないのかそうか、そうか。」
本当にトイレの近くを逃げていてよかった。きっとあのまま逃げていても追い付かれていただろうから。
「どうするの?」
五月雨が聞いてきた。
「どうするったって…」
気付かされる。まだ逃げないといけないことに。
「んー。」
トイレの中で1人の女子と3人の男子が集まって考えこんでいる。異様な光景だ。僕たちがトイレで考えた時間合計20分ほど。
「出るしかないよね。」
てつやが口を開く。う…ん…曖昧に頷く。嫌だな。怖いな。エガティブ思考で考えてしまう。秋人は10分ほど前に大に入ってしまった。
「あの秋人くん?大はでたかい?」
出ているはずがない。そうに違いない。ていうかそう願いたい。こんな近くで大を出されたうえ10分も同じとこにいたなんて考えたくもない。
「ねぇ、どうすんの?」
そう聞かれても答えることは出来ない。秋人ほどでないけれど僕も怖い。
「しかたがない、私は一人で出る。こんなところにずっといたら気が狂いそうだから。」
勝手なことを言ってくれる。だが自分から行動しようとしている五月雨に対してなにもいえない僕は最低なんだろう。下唇を噛んだ。
「じゃあ僕も一緒に行くよ。」
まじか。お前も行くのかてつや!お前…しかたがない。
「僕も行くよ。」
「あぁ。」
ガタッとトイレの中で音がする。しかし、言葉が帰ってくることはない。
秋人を置いていくことに気を引くが自分は生きたい。そう思う。だからこの暑苦しいデブとはおさらばだ。
「じゃあ秋人くん後で助けに来るから待ってて。」
守れるはずもない約束をするてつや。主人公か貴様は!そんなかっこいいこと言いやがって。容姿もかっこいいんだよ!
ちょっとだけ嫉妬する。
「じゃあ外出よっか。」
廊下に出る。さっきは夢中で気が付かなかったのか、時間がさっきよりも経ったからなのか、匂いがひどい。死体というのは本当に気持ちが悪いな。気がめいる。
「大丈夫?」
てつやが心配してくれた。優しい!
「ねぇこんな酷い有り様だったの?よくあなた探索なんか出来たわね。」
どうだ!見直したか!っと心の中で自慢する。
「気持ち悪い人。」
ええええええ。そんなこと言うか普通。素直に誉めてくださいよ、五月雨さん。ジャリジャリジャリジャリ、階段を上がる。そこを曲がれば玄関がある廊下。
すっと女の子が横の特別教室から出てくる。ロングヘアーだ。
ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。ロングヘアーだ。
目が合った。僕は固まる。
「畜生!」
てつやが僕の手を引き階段を上がる。すぐに階段だったからか手を引いた状態で走るとバランスが悪かった。足がもつれて遅い。すぐに追い付かれてしまう。
「ごめん。」
僕は、てつやに謝り階段の踊り場でてつやの手をはずす。
「なっ!ばか!」
次の瞬間ハンマーを持った彼女は足を振りかぶり僕を殴った。
野球だとパコーンっと鳴りそうなほどいい当たりだった。ふっとばされる。パリンパリンっと窓ガラスが僕の背中に当たって割れる音がする。外に吹き飛ばされる。2階から落とされ激痛が襲いかかる。
「うっ。」
□□□
「あ、あの~。」
また声が聞こえる。
「うあっ。ぐっあ。」
「ひっ。」
変な声を出しながら起きる。呼ばれた方を見る。
「あ、東さん…ですよね?」
「あっはい。」
その人を見ている内に思い出す。そういえばさっき電話で誰かが来るっていってたな。
「あなたが僕を呼びに来た係員?」
「あ!はい!私あなたを天国に連れていくことを任された道です。」
道さんか。髪は長くないな。肩程度、前髪は短く顔が良く見える。20代ぐらいかな。スーツを来ていていかにも仕事って感じをかもしだしている。んーなかなかタイプ。
「ねえ道さんどうやって天国まで行くんですかー。」
「あ、えっとですねー。まずこの部屋を出てエントランスまで行きます。エントランスについたら書類があるので生年月日と名前、あと正永協会申請書に東さんの血印をつけてもらいます。そのあと外に出てくれれば私が天国住宅地3番に連れていって差し上げます。」
道さんがドアを開ける。部屋から出るとそこはマンションの通路。薄暗くコンクリートで出来ている。何階なんだろうか。階段がありそこを降りる。
「あれ?ここってエレベーターとかないんですか?」
「そこまで高くないですからね。」
結局五階分の階段を降りた。このくらいならいらないかな。一番下までくると一際明るい場所についた。ここがエントランスか。
「あっじゃああそこに紙があるのでさっそく書いてください。」
「わかりました。」
僕はカウンターのあるところまで行く。なるほどここに書けばいいのか。しかしまあ短い人生だったな。もうちょっと生きたかったな。でも、なんか人生が終わったって感じじゃない、いま同じ姿で天国にいるせいだろうな。ていうか死んでみて気付いたが感覚的にはあっちとこっちってなんら変わらないな。自分が変わっていないせいなのだからなんだろうけど。
「あの書き終えましたか?」
「はい、出来ました。」
道さんに紙を渡す。これで僕も天国に行けるのだろう。そこになんの迷いもない。しかし、この世界には問題がある気がした。
□□□
ボヤーっと視界が開ける。また夢だったのかと思う。なんで夢って気が付かないんだろう?現実じゃないってことは分かるのに。僕は意識が戻ってからそんな考えをしていた。
「うーん、頭が痛いなー。」
また頭痛だけがする。きっと吹き飛ばされたあとなんだろうけど体の痛みは消えていて頭痛だけ。変な気分。普通内臓とか破裂しないのか?口から血は出ないのか?あのずたぼろになった生徒達みたいにならないのか?そんなことが疑問だった。
「うーん、立てないなぁ。」
少し眠い。寝よう、寝てから考えよう寝れば気持ち悪いのもおさまる。
夜。寝る前は夕方だったので妥当だ。僕は立ち上がり周りを見る。人影は無さそうだ。寒い、9月下旬。時期的には寒くない日の方が少ないだろうに今日は寒かった。というか、普通だった。ただ汗がべとべとに付いた服だから体が冷えている。
「ぐわぁ。気持ちが悪い!」
服をひっぺがした。校舎に入るため玄関に向かう。あの少女は帰ったのだろうか?静まりかえった学校。これほど怖いものはない。しかも死体つき。幽霊が出てもこれ文句言えないだろ。
「おーい、秋人~。秋人~。いねーのかー。」
秋人を呼ぶために校舎に入った。学校から出た可能性も考えたが下駄箱に靴があった。学校指定のサンダルで出ることも考えられるが、あんな走りにくいサンダルで外に出ないだろう。僕は、玄関から保健室は近いこともあり、走りやすい靴に履き替え秋人の靴も持ち秋人を呼ぶ。
「いないな。」
まさか本当にあのサンダルで外に出たのだろうか。あの秋人が?そんなことが出来るやつだとは思わなかったが意外と行けたのかもしれない。そんなことを考えながら僕は外に出る。
「家に帰ろう。」
きっとてつやも五月雨さんも帰ったのだろう。僕は一人校庭に出る。
「オーーーーーーーーーーーー。」
校庭のど真ん中で泣き叫ぶ。溜まった気持ちが爆発する。 校舎の中に誰もいなかったことを確認した。恥ずかしくはない。僕は校門をくぐり校外へ出る。
このマンションのような学校。僕の母親も住む学校を出る。この正永協会が立てた正永高校兼マンションの敷地から。
□■□
もう手と足ともに筋肉痛である。涙が出る。ついにやって しまった自分が死ぬほど憎んだ正永協会の一部をぶっ壊した。生存者は一人だけのはず、最後まであの女は倒せなかった。記憶にあるのはあの女だけだが、私が本気を出したんだ。ほかは全員倒せた、そう思っていいはず。私はいつも通り登校することは出来ないだって自分の学校は壊れてしまったのだから。屋上で考える自分は次に私がいくべき場所を。
「家…だな。」
屋上から飛び降り校門を出る。もう昼になった。腹が減った。
□■□
五月雨私がつけた私の偽名。姉がこの学校の制服をどこからか奪いとってきたのはついこの間のことだった。暴走した姉はきっと妹の私でさえわからなかった。吹き飛ばされ、吹き飛ばされ。仲間一人を失い命からがら生き延びた。私達は特別な人間なのだろう。怒るとなにも見えなくなり破壊衝動にかられる。私は姉が帰っていくのを見計らい学校を出る。いつも通りの私であるために。歩道に横たわった人を見た。
「あぁ、東だっけか。」
この生きているのが不思議な少年は姉の被害者だろう。一人ぐらい救わなければ姉のためにも。
私は少年を担ぎ上げ自分の家へと戻った。
「ただいまー。」
ボロボロになった体で帰ってきた。ショートカットの髪もぼさぼさだ。姉さんが迎えに来ない寝ているのだろう。これはチャンス。私は自分の部屋へと入ると男を自分のベッドへと投げ捨てる。
「えいやっ。」
ヒューーストン。ボフッボフッ。風呂に入ろう。後であいつの体を洗ってあげねば。ぐふふふふ。
□■□
朝。光が差し込む。ベッドに寝ている僕。
ベッド???なんでベッド?僕は歩道で倒れたはず。夢だった夢だっか????いや、違う。だって部屋が僕の部屋とはまるっきり違うじゃないか。
「すーすー。」
横でかわいい寝息が聞こえる。五月雨!?なんで!?ヤバイ、かっかわいい。抱き締めたい!抱き締めたい!抱き締めたい!抱き締めたい!欲望が僕の頭をいっぱいにする。
そっーと近付けばばれないんじゃないかそっーと、そっーと。近付くと分かるいい匂い。もっと。
「んがっ!」
うおっ。僕は飛んだ。あっぶない、あとちょっとで欲望に負けるところだった。ここがどこか確認しないと。机の上を見る写真立てがあった。
そこに写るのは二人。二人。五月雨と姉とおもわしき人物。その人物を見た瞬間その人物はにかっと恐ろしい顔になった。
「うわあああああ!」
僕は叫び声を上げる。
「うえっ!なになに!」
五月雨が起きた。思わず五月雨に抱き着いてしまう。
「え?え!あーーー。」
五月雨が僕をひっぺさがそうと夢中になる。
「五月雨、あれ、あれ、ど、ど、どうイゥコト。」
後半声が裏返る。
「え?え?えーと。」
五月雨も僕に抱き着かれたことに困惑していて説明しようとしているができないらしい。そんな時に。
「ねぇ。ここで男の人がでかい叫び声を上げたのが聞こえたんだけど。」
殺人鬼がやって来た。
「ぎゃあぁあぁぁぁあー」
僕は叫ぶ。五月雨が目を見開く。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁー」
殺人鬼が叫ぶ。
相当カオスな状況となった。か手を引いた状態で走るとバランスが悪かった。足がもつれて遅い。すぐに追い付かれてしまう。
「ごめん。」
僕は、てつやに謝り階段の踊り場でてつやの手をはずす。
「なっ!ばか!」
次の瞬間ハンマーを持った彼女は足を振りかぶり僕を殴った。
野球だとパコーンっと鳴りそうなほどいい当たりだった。ふっとばされる。パリンパリンっと窓ガラスが僕の背中に当たって割れる音がする。外に吹き飛ばされる。2階から落とされ激痛が襲いかかる。
「うっ。」
□□□
「あ、あの~。」
また声が聞こえる。
「うあっ。ぐっあ。」
「ひっ。」
変な声を出しながら起きる。呼ばれた方を見る。
「あ、東さん…ですよね?」
「あっはい。」
その人を見ている内に思い出す。そういえばさっき電話で誰かが来るっていってたな。
「あなたが僕を呼びに来た係員?」
「あ!はい!私あなたを天国に連れていくことを任された道です。」
道さんか。髪は長くないな。肩程度、前髪は短く顔が良く見える。20代ぐらいかな。スーツを来ていていかにも仕事って感じをかもしだしている。んーなかなかタイプ。
「ねえ道さんどうやって天国まで行くんですかー。」
「あ、えっとですねー。まずこの部屋を出てエントランスまで行きます。エントランスについたら書類があるので生年月日と名前、あと正永協会申請書に東さんの血印をつけてもらいます。そのあと外に出てくれれば私が天国住宅地3番に連れていって差し上げます。」
道さんがドアを開ける。部屋から出るとそこはマンションの通路。薄暗くコンクリートで出来ている。何階なんだろうか。階段がありそこを降りる。
「あれ?ここってエレベーターとかないんですか?」
「そこまで高くないですからね。」
結局五階分の階段を降りた。このくらいならいらないかな。一番下までくると一際明るい場所についた。ここがエントランスか。
「あっじゃああそこに紙があるのでさっそく書いてください。」
「わかりました。」
僕はカウンターのあるところまで行く。なるほどここに書けばいいのか。しかしまあ短い人生だったな。もうちょっと生きたかったな。でも、なんか人生が終わったって感じじゃない、いま同じ姿で天国にいるせいだろうな。ていうか死んでみて気付いたが感覚的にはあっちとこっちってなんら変わらないな。自分が変わっていないせいなのだからなんだろうけど。
「あの書き終えましたか?」
「はい、出来ました。」
道さんに紙を渡す。これで僕も天国に行けるのだろう。そこになんの迷いもない。しかし、この世界には問題がある気がした。
□□□
ボヤーっと視界が開ける。また夢だったのかと思う。なんで夢って気が付かないんだろう?現実じゃないってことは分かるのに。僕は意識が戻ってからそんな考えをしていた。
「うーん、頭が痛いなー。」
また頭痛だけがする。きっと吹き飛ばされたあとなんだろうけど体の痛みは消えていて頭痛だけ。変な気分。普通内臓とか破裂しないのか?口から血は出ないのか?あのずたぼろになった生徒達みたいにならないのか?そんなことが疑問だった。
「うーん、立てないなぁ。」
少し眠い。寝よう、寝てから考えよう寝れば気持ち悪いのもおさまる。
夜。寝る前は夕方だったので妥当だ。僕は立ち上がり周りを見る。人影は無さそうだ。寒い、9月下旬。時期的には寒くない日の方が少ないだろうに今日は寒かった。というか、普通だった。ただ汗がべとべとに付いた服だから体が冷えている。
「ぐわぁ。気持ちが悪い!」
服をひっぺがした。校舎に入るため玄関に向かう。あの少女は帰ったのだろうか?静まりかえった学校。これほど怖いものはない。しかも死体つき。幽霊が出てもこれ文句言えないだろ。
「おーい、秋人~。秋人~。いねーのかー。」
秋人を呼ぶために校舎に入った。学校から出た可能性も考えたが下駄箱に靴があった。学校指定のサンダルで出ることも考えられるが、あんな走りにくいサンダルで外に出ないだろう。僕は、玄関から保健室は近いこともあり、走りやすい靴に履き替え秋人の靴も持ち秋人を呼ぶ。
「いないな。」
まさか本当にあのサンダルで外に出たのだろうか。あの秋人が?そんなことが出来るやつだとは思わなかったが意外と行けたのかもしれない。そんなことを考えながら僕は外に出る。
「家に帰ろう。」
きっとてつやも五月雨さんも帰ったのだろう。僕は一人校庭に出る。
「オーーーーーーーーーーーー。」
校庭のど真ん中で泣き叫ぶ。溜まった気持ちが爆発する。校舎の中に誰もいなかったことを確認した。恥ずかしくはない。僕は校門をくぐり校外へ出る。
このマンションのような学校。僕の母親も住む学校を出る。この正永協会が立てた正永高校兼マンションの敷地から。
□■□
もう手と足ともに筋肉痛である。涙が出る。ついにやってしまった自分が死ぬほど憎んだ正永協会の一部をぶっ壊した。生存者は一人だけのはず、最後まであの女は倒せなかった。記憶にあるのはあの女だけだが、私が本気を出したんだ。ほかは全員倒せた、そう思っていいはず。私はいつも通り登校することは出来ないだって自分の学校は壊れてしまったのだから。屋上で考える自分は次に私がいくべき場所を。
「家…だな。」
屋上から飛び降り校門を出る。もう昼になった。腹が減った。
□■□
五月雨私がつけた私の偽名。姉がこの学校の制服をどこからか奪いとってきたのはついこの間のことだった。暴走した姉は妹の私でさえわからなかった。吹き飛ばされ、吹き飛ばされ。仲間一人を失い命からがら生き延びた。私達は特別な人間なのだろう。怒るとなにも見えなくなり破壊衝動にかられる。私は姉が帰っていくのを見計らい学校を出る。家に帰ってたらいつも通りの私であるために。校門を出て少し行った歩道に横たわった人を見た。
「あぁ、東だっけか。」
この生きているのが不思議な少年は姉の被害者だろう。一人ぐらい救わなければ何をやったか分かっていないだろう姉のためにも。
私は少年を担ぎ上げ自分の家へと戻った。
「ただいまー。」
ボロボロになった体で帰ってきた。ショートカットの髪もぼさぼさだ。姉さんが迎えに来ない寝ているのだろう。これはチャンス。私は自分の部屋へと入ると男を自分のベッドへと投げ捨てる。
「えいやっ。」
ヒューーストン。ボフッボフッ。風呂に入ろう。後であいつの体を洗ってあげねば。ぐふふふふ。
□■□
朝。光が差し込む。ベッドに寝ている僕。
ベッド???なんでベッド?僕は歩道で倒れたはず。夢だった夢だっか????いや、違う。だって部屋が僕の部屋とはまるっきり違うじゃないか。
「すーすー。」
横でかわいい寝息が聞こえる。五月雨!?なんで!?ヤバイ、かっかわいい。抱き締めたい!抱き締めたい!抱き締めたい!抱き締めたい!欲望が僕の頭をいっぱいにする。
そっーと近付けば、ばれないんじゃないか?そっーと、そっーと。近付くと分かるいい匂い。もっと。
「んがっ!」
うおっ。急な寝返りに驚き僕は飛んだ。あっぶない、あとちょっとで欲望に負けるところだった。ここがどこか確認しないと。冷静になり、机の上を見る写真立てがあった。
そこに写るのは二人。二人。五月雨と姉だとおもわれる人物。その人物を見た瞬間その人物はにかっと恐ろしい顔になった。
「うわあああああ!」
僕は叫び声を上げる。
「うえっ!なになに!」
五月雨が起きた。思わず五月雨に抱き着いてしまう。
「え?え!あーーー。」
五月雨が僕をひっぺさがそうと夢中になる。
「五月雨、あれ、あれ、ど、ど、どうイゥコト。」
後半、声が裏返る。
「え?え?えーと。」
五月雨も僕に抱き着かれたことに困惑していて説明しようとしているができないらしい。そんな時に。
「ねぇ。ここで男の人のでかい叫び声が聞こえた気がしたんだけど。」
殺人鬼がやって来た。
「ぎゃあぁあぁぁぁあー」
僕は叫ぶ。五月雨が目を見開く。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁー」
殺人鬼が叫ぶ。
相当カオスな状況となった。
読んでくれてありがとうございました。