第1章「再開」
俺の名前は松岡光弘。大学生で…作詞家。
俺が作詞を始めたのは中学二年生の時。色々諸事情があって。
俺は歌詞を通して前向きに頑張れと背中の押すような曲になればいいなと思ってる。
この物語は俺が作詞家になり、作詞家を引退するまでを描いた話になっている。始まりか終わりか。世界中の人が感動しますように――
第一章「再開」
大学一年生の春。今日『中杉大学』に入学した。と同時に、プロの作詞家となった。プロの作詞家の中で、全然プロじゃない位置にいる。
まだね。中学時代からいる友達に言ったら驚かれた。
入学式が終わり、俺は家に帰った。
「ただいまー。」
返事は…あるはずがない。俺は大学生になって一人暮らしを始めたんだ!これで自由になれるんだっ!少し寂しい感じもあるけど気のせいだ。
「何も思いつかん!」
歌詞が思いつかない。どうしたら人の心を掴む歌詞になるか。特にプロになってはじめてだから緊張する。これで認められなかったとしたって『初めてだから。』で済まされるだろうけど認められたら『すごいじゃ~ん!』ってなるから。贅沢かもしれないけど俺は誰からも認められる作詞家になりたい。今日は手に負えないので仕事をするのをやめにした。
――翌日――
一本の電話がかかってきた。
「松岡君ごめん!どうしても今日中に歌詞を送ってくれないとだめで!」
早く言えや。学校に行っても頭の中は作詞のことでいっぱい。タイトルは…『Let’s Go!』。
次にタイトルに合ったニュアンスのフレーズを並べていく。そしてそのフレーズを接続詞で繋いでいく。簡単そうで難しいんだこれが。
完成した歌詞を編集部に送った。授業中に考えてたことは内緒。でもしょーがない。するとインターホンがなった。
玄関アを開けるとそこには…誰?
「中杉中学校2年3組の飯田聡子です!」
俺の知り合いに飯田さんなんていたっけ?中杉中学校も行ったことねぇからしらねぇよ。
「覚えてませんか?8年前の出来事。お兄さんが作詞活動を始めるきっかけになった出来事。」
「あっ!」
とっさに思い出した。
――8年前――北山十歳――飯田五歳―――――――――――――――――――――――――――――――
俺が小学四年生の時、当時年長だった飯田聡子というまあまあ美少女である方と仲良くしていた。俺もまぁ思春期だし、愛感情はなくとも意識はしていた。すると飯田が紙を見せてくれた。そこには幼稚園児らしいひらがなの字がずらりと書いてあった。
「きょくをかいてみたの!」
タイトルは『Be Front Scream』。直訳すると『前向きに叫べ』的な。幼稚園児がこんな立派なもん書くのか。すげーな。感動してしまった。
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それがきっかけ。単純にかっこいいと思ったから。もう一つは、聡子の夢が『作曲家』だったから。覚えてねーけど、当時聡子に『おにーちゃんがかいたきょくをわたしがさっきょくしてあげる。』とでも言われたのだろう。でもなんで聡子が今ここに?俺の家に?訳が分からん。
「お兄ちゃんが、北山光弘が…作詞家になったってお母さんから聞いて…。」
俺の母と聡子の母は俺が産まれる前からの友人関係らしいから、今も何かで繋がってたのだろう。というか正確には『プロの作詞家』になったんだよ!
「ってことは母親から聞いたってこと?」
聡子はゆっくりと首を縦に振った。
「言ったでしょ。昔。作曲してあげるって。」
俺の予想は当たったっぽい。そんな約束をした覚えは正直ないけど…。
「その夢…叶えたくて…。」
女の子からそんなこと言われたらドキッとするなぁ…。向こうがその気がなくても
「悪いけど今日はまだ仕事があるんだ。また明日、この時間に来てくれ。」
「え?あ、はい…。」
何か言いたそうな聡子を置いて俺はドアをバタン!と閉めてしまった。その時聡子の顔は…分からないけど分かる気がする。昔からの付き合いだし、俺が中学生になってから疎遠になってたけどね。
次の日。入学3日目。授業も本格的になってきたところ。しかし今度は聡子のことで頭が持ち切りだった。謎が多すぎる。実は聡子じゃないんじゃないか!?とか考えてしまう自分が情けない。そして本人に申し訳ない。
帰ってきたらまた聡子がきた。今度はちゃんと家に入れてお茶を入れてあげた。
「お兄ちゃんの夢ってなに?」
突然だな。
「俺の夢は表題曲を書くこと。」
「そうなんだ。」
俺は今までカップリング曲しか書いたことがなかったから、いずれは表題曲とかアルバムリード曲とかとりあえずMUSIC VIDEOを作ってもらえる作詞家になること。
「私の夢はね…。」
「俺の書いた歌詞を作曲すること、だろ?」
「なんで分かったの!?」
昨日言ってたから。
「私実は…お兄ちゃんのこと…。」
え?なに?この空気感。まるで…――
ピンポーン♪
「あ、はいハーイ!」
俺は玄関へと向かった。…そんなことはどうでもよくて、告白されるのかと、思った!!…な訳ないよな。聡子がインドア派作詞家を好きになるなんて。作詞家と作曲家が結婚するのも珍しくはないけど。
「ごめん。でなんだっけ?」
「い、いいの。何でもない。」
一番気になるやつじゃねーか。
「もう十九時だぞ?家、帰らなくてだいじょ――」「いいの!」
即答。家庭の事情があるんだな、色々。こういう時は聞かないのが模範解答だろう。
「実は去年両親が飛行機事後で亡くなったんだ…。」
自分から答えた。すげーメンタルだなってそういうことじゃなくて!いけないことを聞いてしまったみたい。
「両親がいなくても兄弟はいないの?」
「社会人になって外国へ行った。」
兄弟以外にも父母の兄弟とか祖父や祖母もいるだろうけどそこらへんもなんかあるんだろう。そこも聞かないのが模範解答なのである。
「なんか、色々ありがとう!今日は帰るね!」
「まって!」
「何?」
「俺の歌詞を…作曲してほしい。」
俺は昨日、『Let’s Go!』という曲を作詞した。それを是非目の前にいる飯田に作曲してほしかった。だから編集部に頼んで許可をもらった。
「…事情があるならいいよ。」
ダメだと言われても作曲してもらうつもりだったけど。
「明日には作曲してくるから。」
果たしてどんな曲になるのか。俺は明日が待ち遠しかった。
皆さん初めまして。yuzu-Kitaと申します。中学2年にして初めて小説を書いてみましたがいかがでしたでしょうか?次はどのような展開になるのか楽しみに読んで頂けると嬉しいです。




