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9話 勇者アリスの寝言 『そんなに食べられませんよ~』

精霊の魔剣を求め、俺の実家へと向かっていた。


現在、俺とアリスは馬車で揺られている。

正確にはアリスだけが馬車に揺られている。


何故なら俺は精霊の姿となって漂っているから馬車の揺れは関係ないからだ。


「……アレクさん、ずるいです」

「諦めろ」


アリスは乗り物に弱い。

馬車に乗って1時間ほどだが既に3度ほどリバースしている。


「人魂になれるなんて、ずるい」

「変な事を羨ましがるな。と、いうか人魂ではなく精霊だ」


俺は何度も人魂ではなく精霊だと言っているがアリスは聞く耳を持たない。

頑固なアホとは最悪だな。


「どう見ても……ウッ」

「馬車を止めてくれ」


俺は馬車を操る御者に伝えた。

アリスは4度目のリバースが来たようだったから。



~リバース後~


再び馬車は走り出した。


できれば実家には近づきたくない。

だが精霊の魔剣を手に入れようとするアリスは必死だ。


だから実家に行かないという選択肢は無い。

どうせ行くのなら早めに行って用事を済ませたいが……難しいな。


アリスのリバースに何度も止められているため時間だけが無駄に過ぎていっているから。


「アレクさん……」

「もう何も言わず寝ていろ」


既に限界なのだろう、アリスは顔が青くなっている。

黒い髪は乱れており、目も虚ろとなっている。


ハッキリ言って幽霊みたいで怖い。


「もう歩いていきましょうよ」

「何日かかると思っているんだ」


普通に歩いていこうとしたら何日かかるか分からない。

しかもアホな娘のアリスが旅をするんだ。

掛る時間は普通の人間が旅をするのとは比べ物にならないだろう。


「諦めて寝ていろ」

「うぅぅ……」


己の宿命さだめに絶望したかのような表情をするアリス。


だが俺は気にしない。

どうせ明日には忘れているのだから。


………

……


それからしばらくしてアリスは深い眠りに着いた。

口からは涎を垂れ流しにしてアホな寝顔を晒している。


さらに……


「そんなに食べられませんよ~」


ベタな寝言をほざいており、アホな娘としての本領を発揮している。


「アレクさん……」


俺は自分の名前を呼ばれ少し驚いた。

まさか寝言で俺の名前が出るとは。


俺はアリスが次に言う寝言に注意を向けた。

何となく悔しいが男のさがだから仕方ないと思う。


「アレくさん……街で服を脱いじゃダメですよ~」


アリス、お前は俺をどんな人間だと思っているんだ?

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