表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

1話 美少女勇者の叙事詩 『私の名前はアリス』

 ~ある草原にて~

 

 黒い髪を風にたなびかせながら少女はモンスターと戦っていた。

 

 少女が戦っていたのはバルムという赤い狼の姿をしたモンスター。

 本来であれば人の手に負える相手ではない。

 

 だが少女は風のように動きモンスターを次々に葬っていた。

 

「はあっ」

「ギャウッ」

 

 少女が振るう剣は、最後のバルムの体を容易く刻んだ。

 

「大丈夫?」

「……はい」

 

 剣を振っていた少女は、腰を抜かしている村娘を笑顔で気遣った。

 村娘の頬は心なしか赤くなっているように見える。

 

「これからは気を付けてね」

 

 少女は村娘に微笑みを向けたあと、その場を去ろうとした。

 だが彼女を村娘は呼びとめる。

 

「お礼を」

「いいわ。勇者として当然のことをしただけだから」

「勇者……様?」

 

 少女は微笑みを消さずに村娘に自らを勇者だと伝えた。

 この世界において勇者は何人かおり、この少女もまたその1人である。

 

「じゃあね」

「あっ……せめて、お名前を」

 

 村娘は勇者と名乗る少女を知りたかった。

 その思いは憧れや尊敬、はたまた別の物であるのか?

 当人ですら分からない気持ちだった。

 

「私の名前は……」

 

 立ち去ろうとしていた少女は振り返り自らの名前を名乗った。

 彼女の背後には太陽が輝いており神々しさすら村娘は感じた。

 

「私の名前はアリス」

 

 これは勇者アリスの物語。

 後に最高の勇者と称され多くの偉業を成し遂げる彼女を称える叙事詩。

 

 ………

 ……

 …

 

 ~某宿屋の食堂にて~

 

「と、いう夢を見ました」

 

 1人の少女が椅子に座り自慢げに昨晩見た夢の話をしている。

 彼女の名前はアリス。

 

 通称『最弱の勇者』

 

 彼女の話を聞いている俺は元勇者でアレクという名前だ。

 今は力を失くしてアリスと共に行動を共にしている。

 

「それは良かったな」

「はい。きっと正夢ですよ」

 

 アリスはドヤ顔で正夢だと言い張っている。なんかムカつく。

 

「知っているか?」

「何がです?」

「正夢は、他人に喋ると外れるって言われているんだぞ」

「えっ……」

 

 アリスは固まった。

 他人に喋ってはいけないのは初夢だが、まあいい。

 

 すでに朝食を終えていたので俺は食堂を出ることにした。

 アリスは、放っておけば立ち直るだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ