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劉禅戦記  作者: Ravenclaw
第4章 張飛
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第61回 17-3

 立ち上がってあらためて両軍のようすを見渡していると、張苞がこちら側の布陣を、手折った枝で指しながら教えてくれた。

 いま作業をしている最前線が陳式と高翔の軍。

 その後ろに張飛、馬超、黄権の軍。

 増援軍五千の大半はここに編入され、しばらく特訓を受けることになるという。黄権の軍はともかく、ほかの二将軍の軍に入れられる兵はなんだか気の毒な気がした。

 その後ろが劉備の陣で、山腹に散らばっている。

 いくつか名前をあげられた中に孟達の名があった。

 わたしはいそいで劉禅にいった。

「孟達? どこです」

「ふむ。どうした」

「もう一度、場所を聞いてみてください」

 劉禅が張苞に聞いた。

「孟達はどこといったかな」

「裨将軍ですか。ここからくだったところです。来るときにも横を通りましたよ」

 わたしは劉禅にささやいた。

「会いにいきましょう」

「知りあいか」

「そんなわけはないでしょう。とても重要な話があるのです」

「そうか。しかしわたしは趙雲どのに会いたいのだが」

 おお。それはそうだ。

 趙雲だけではなく、張飛にも会いたい。

 なんといっても三国志のメインキャストだ。

 自国の中をちょっと移動するだけでもこれだけ大変なのだから、この機会を逃すと、ほんとうに二度と会えないかもしれない。

 昔の人が一期一会といった意味がよくわかる。

 携帯もテレビも写真もないので、一度会う機会を逃したら、二度と顔を見たり、声を聴きいたりする機会がないのだ。

 手紙という手はあるが、確実に届くかどうかはわからない。いつになるかもわからない。

 この機会に、馬超や法正とも話をしておきたい。

 とくに馬超は、まもなく病死するのではなかったか。 法正の寿命もあまりない。

 劉備が漢中王を戴冠するさいに、成都の宮中で会えるのかもしれないが、先のことはわからない。これだけ有名人が集まっているのだから、逃す手はない。

 しかしまず孟達だ。しかも一番近いところにいるようだ。

 劉禅から皆に伝えてもらって、孟達の幕舎に向かうことにした。

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