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化け者交流会談記ES9.5

 


 ACT.1 その3


 いやまさかな。まさか第三段までいくとはな。思ってもみなかったぜ。ええ思ってませんでしたとも。世の中何が起きても不思議じゃねぇな。現実は小説よりも奇なり。全くその通りだぜ。

 は?何だ?二度あることは三度あるでござる、だと?何言ってんだお前?アホか!あれは悪いとき限定の格言なんだよ、覚えとけ。実際いいことなんてもんはな、そもそも二度目がねぇんだよ。

 だから俺は第二段が出来た時、内心では死ぬんじゃないかと思ってたね。最期に花持たせてやろう的なアレだと確信してたな。

 ところがどっこい。それがどうした第三段だと?サプライズ過ぎて素直に喜べねぇよコンチクショウ。

 だってそうだろ?何すりゃいいんだよ。こちとらネタ切れなんだよ。何も思いつかねぇんだよ。俺はどうすりゃいいってんだ?いい案を思いついた奴がいたら今すぐ俺んとこまで来い。三十分くらい延々と語らせてやる。

 っつても、もう時間切れみたいだがな。


 完。



 番外編:化け者短編会談記



 ACT.2 打てるのか?


 俺様がなぜダメなのか?それは気持ちが足りねぇからだ。本当にやってやろうという気構えが欠けちまってるに違いねぇ。

 というわけで今日は俺様の覚悟ってやつを見せてやるぜ!そこのお前!俺様の雄志をしかとその目ん玉に焼き付けな!

 まぁ何をするかというとだな、ここに閻魔様の超スーパーハイパーデラックスウルトラスーパー大切にしてる、魔法少女何とかっつう名前のよく分からんフィギュアがある。

 今日はこいつに犠牲になってもらうぜ!俺様のクリスタルガイザーを食らえば、このフィギュアは木っ端微塵になるはずだ。

 もちろんそうなりゃ閻魔様の怒りを買うことになるが‥‥‥、今日の俺様はそれくらい本気なんだぜ!!

 よし!じゃあ行くぜ!!


『クリスタルゥゥゥ!!!ガイ―――』


 いや待てよ?マジで壊れたりしたらシャレにならなくね?閻魔様、気持ち悪いくらいこのフィギュアを大事にしてたよな?

 そういや前、誤ってフィギュアを落としちまった家臣が、閻魔様の怒りを買ってもの凄い拷問を受けたという話を聞いたことがあるぞ?以来そいつは“タミフル萌え”とか訳の分からん言葉を発するようになっちまったって話だ。

 え?床に落としただけだよな?ちょっとゴミが付いただけだよな?それでそんな重罰ってんなら、壊しちまった域にゃあいったいどうなっちまうんだ?

 あれ?マジでヤバくね?このままだと俺どうなんの?死ぬのか?既に地獄にいるのに?

 いやいやいやいやいやいや!!待て待て待て待て待て待て待て待て!!!タイム!!たいむ!!ちょっ待った!!ちょっ!ヤバいヤバいヤバい!!

 止まれ俺の右腕ぇぇぇええええ!!!

 ウオォォォオオオオ!!ヘし折れろォォォオオオオ!!!

 ってダメだァァァアアアアア!!止まらねぇぇぇええええ!!助けてロォォォック!!!!


『落ち着け山田。どうせ撃てやしない』


 完。




 ACT.3 紳士


 私の名前は川流佐悟。日本紳士連盟の会長をしている者だ。新興勢力ニーソックス教との激しい攻防も先日ようやくの終結を見せ、今日の私は久々のフリーを堪能するつもりでいる。

 そう、何を隠そう今日は青葉との数年振りのデート。舞い上がっているわけではないが、この心の高揚を抑え切れないのもまた事実。

 だがそんなことで失敗していてはレディに示しがつかない。今日の私は紳士に徹すると決めたのだ。備えあれば憂いなし。抜かりはない。

 上下は塵一つない紺のスーツで固め、彼女に捧げるプレゼントのネックレスも、しかと右の懐に忍ばせてある。

 髪よし、靴よし、ハンカチよし。デートプランも完璧だ。

 先ずは映画。これも事前に時間を確認し、チケットもここに二枚ある。映画の後はデパートでショッピング、彼女がどんな衣服を欲しがっても困らないようにクレジットカードは十二枚用意した。それをスリや引ったくり対策として用意した三つの財布に分配してしまう。そして頃合いを見計らって、予め予約を入れておいた夜景の美しい高級レストランへと彼女を誘う。



 >『この景色も美しいが‥‥‥‥、やはり私の目には、君が一番美しく映るようだ』

 >『バカなこと言わないで』

 >『実はこの後もう一ヶ所寄りたいところがあるのだがいいかい?』

 >『ホテルの部屋を用意した、なんてありきたりなことならお断りよ』

 >『違うさ。君をがっかりさせはしないよ』



 そして私は彼女をあの池へと導く。私たちの出会いの場所へ‥‥‥。

 事前にチェックした天気予報によると、今日の夜の天気は晴れ。そして月は満月。月の淡い光が水面に揺れる幻想的なシチュエーション。



 >『ここで君に出会ってから‥‥‥‥いったいどれほどの月日が流れたのか‥‥‥‥』

 >『‥‥‥‥』

 >『君を失ってからどれほどの月日が流れたのか‥‥‥‥』

 >『‥‥‥‥』

 >『流石の私も、どうやらもう限界らしい‥‥‥‥』

 >『‥‥‥‥』

 >『青葉‥‥‥‥』

 >『‥‥‥‥何よ?』

 >『私ともう一度、一緒になってはくれないか?』

 >『‥‥‥‥』

 >『嫌‥‥‥なのか‥‥‥?』

 >『バカね‥‥‥‥、言うのが遅過ぎよ』



 これだ!!これしかない!!完璧だ!!我ながら自分の紳士力が恐ろしくなるほどだ!!

 よし、抜かりはないな。では、いざ青葉のもとへ!



『青葉、今日の君は一段と綺麗だよ』

『それで?何の用事かしら?』

『私とデートに行ってくれないか?』

『お断りするわ』


 完。




 ACT.4 紳士その2


「なあ佐悟さん」

『ふむ、何かね霊能君?』

「佐悟さんはさっちんのこと好きなんだよな?』

『もちろんさ。愛していると言っていい。彼女ほど心を強く惹き付けられる女性に、私は会ったことがない』

「でも青葉さんのことも好きなんだろ?」

『愚問だね。彼女こそ、私が心から愛した唯一の女性だよ』

「どっちなんだよ‥‥‥‥。んじゃさ、さっちんの身体測定の日と青葉さんの誕生日が重なったらどうするんだ?」

『身体を二つに裂いてみせるさ』

「その発想はなかったぜ‥‥‥‥」


 完。




 ACT.5 婆さん


「ばぁさんやー、爪きりしらんかー」

「ばぁさんやー、買い物のついでにボラギノール買って来てくれんかー?」

「ばぁさんやー、今夜は飲んでくるで、晩飯はいらんでのー」

「ばぁさんやー、ちょっとそこの新聞取ってくれんかー」

「ばぁさんや!ここに置いといたワシの燐子'sベスト知らんか!?」

「ばぁさんやー、愛しとるぞー」


 おばあちゃんて‥‥‥‥、いつもどこにいるんだろう‥‥‥‥。


 完。




 ACT.6 ダメ絶対


『店長さんて、彼氏とかいるんだぎゃ?』


 禁句。


 完。




 ACT.7 兄妹


『いやー、いい湯加減でござった。惜しむらくはあの家にコーヒー牛乳がなかったことでござるな。果てさて、今夜はいったいどこの家でご馳走になろ‥‥‥‥おや?あれはツキミ殿では?』

「今だ~必殺釘バット~♪狙うは相手のふくらはぎ~♪」

『随分と上機嫌でござるな』

「あっ、小次郎さんっですか。お久しぶりっです!」

『何かいいことでもあったのでござるか?』

「そんなことないっですよ。むしろ落ち込んでるっです」

『どうしたんでござる?』

「実は今日、お寺の人たちがみんな原因不明の病で倒れてしまって、大変なんっですよ」

『ほほう、では夕食も作り過ぎていたりするでござるか?』

「そうなんっです。それも、とても一人では食べ切れないくらいあるっですよ。どうしたら‥‥‥」

『分かったでござる!ここは拙者が一肌脱がせてもらうでござるよ!』

「本当っですか!ありがとうっです小次郎さん!」

『いやいや何のこれしき。(渡りに船とはこのことでござる)』


  ◇


『それで、夕食はどこにあるのでござるか?(一つ先に摘み食い、もとい味見をしたいでござるからな)』

「それならキッチンに置いてあるっですよー。私はちょっとこの荷物を置いてくるっです。適当にくつろいでて下さいっです」

『承知仕った。(ではさっそく。キッチンはどこで‥‥‥おっ、料理のいい香りが。この部屋でござるな。おー!いかにも美味しそうな料理が沢山ならんでいるではござらんか!ではさっそく‥‥‥)』

「あれ?小次郎さん何やってるんですか?」

『っ‥‥‥!つ、ツキミ殿!?後ろから不意打ちとは卑怯でござるよ!』

「何がっですか?‥‥‥あ、さては摘み食いしようとしてたっですね。ダメっですよ。夕食まで待って下さいっです」

『くっ!拙者、一生の不覚でござる!』

「そんなにお腹が減ってるなら、これなら食べてもいいっですよ♪」

『やや?何でござるか?はんぺん‥‥でござるか?』

「私が作ったっです♪自信作っですよ♪」

『ほー、見た目といい香りといい、実に美味しそうでござるな。(これは是非とも食べてみたいでござる!)』

「良かったらどうぞっです♪」

『では一つ。(む!噛んだ瞬間に広がる鼻を刺すような強烈な香り!そしてこの舌がとろけて、ついでに喉もとろけていくような強い酸味!爽快なハーモーニーを奏でながら拙者の歯を削り取ってゆくレアメタルの触感!まるで地獄へ落ちていくかのような感覚に拙者意識が‥遠‥‥‥く‥‥‥)』

「こ!小次郎さん!どうしたっですか!!大変っです!小次郎さんも原因不明の病にやられてしまったっです!!」


 ※注意:ツキミはゴンザレスの妹。


 完。




 ACT.8 非核三原則


 ふっふっふ!やっぱり取りを飾るのはこの僕!自他共に認める正真正銘の紳士!蘇我入鹿しかいないってことだね!!佐悟さんなんて僕に言わせればエセ紳士さ!大人の女性にまで手を出す人は、たとえお天道様が認めようとこの僕が認めない!

 僕は真の紳士道を極めると決めたんだ!!そのためならどんな試練だって乗り越えて見せる!!

 そう!たとえこんな状況だとしても!!


『蘇我はん、最期に言いたいことはあるどすか?』

「さっちん、とりあえずその危なっかしいもんを置け。この家がなくなる」


 完。




 ACT.9 トイレは洋式


 残念だったな幽霊。取りを飾るのはどうやら俺の仕事みたいだぜ?

 俺が誰かって?オイオイ本気で言ってるんじゃねぇだろうな?

 第一話から登場しているこの俺を、よもや忘れたとは言わせねぇぞ?

 そうだよ。泣く子も黙る大妖怪、トイレの赤紙青紙様とは俺のこ―――嘘デース。マイケルデース。アメェリカではトイレはバス言いマース。


 完。




 ACT.10 囚人番号8519番


「出セ!!出スのダ!!今スグにワタシをここから出さないト!貴様らは明日の日の出を見れなクなるゾ!!」


 完。



 完

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