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解決編

 ふぅむ、何と言うか、差が出たな。しかし少なくとも二人とも言いたいことは同じだ。

 犯人は相手。自分ではない、と。二人ともそれらしい理屈をつけてはいる。特に旦那は経緯まで勝手に妄想してくれている。

 難しいな。客観的にどちらが犯人かと言うと……不倫、かな?

 動機を考えれば、一番有り得るのは旦那だ。不倫をされ頭に来た、と考えるのが一番自然だ。不倫からすれば二股なのは当然なので怒る理由にはならない…が、奥さんの本命が自分だと思っていたのに実はどちらも同じ、みたいな態度をされて腹がたったのではないか。

 不倫が短気なのは明白だ。動機としては十分だろう。うん、これでいいだろう。

 僕は再び話を聞くとして不倫にまたイヤホンをつけさせ、旦那と話をすることにした。


「旦那、決めました。犯人は不倫です。間違いありません」

「やはり。いや、もちろんそれはわかっていたよ。だが私の味方ができて一安心だ。なにせ不倫は声が大きい。世の中、声が大きい方が勝ってしまう。しかし第三者がいるなら話は別だ。君が駆け付けてくれて助かったよ」

「いえ、当然のことをしたまでです。困った時はお互い様ですよ」


 と、警察を呼ぼうとしたその時。


「俺は、やってねーーー!!!」


 不倫が突然立ち上がり、般若のような顔で僕たちに襲い掛かった。

 しまった! さてはイヤホンをさしているだけで音楽を鳴らさなかったな!

 しかし僕は冷静だ。こんな時こそ普段鍛えている筋肉が唸るというものだ。


「ぎゃあ!」


 殴られた。よく考えたら僕は喧嘩をしたことがなかった。不倫は僕に馬乗りになる。

 こうなったら反撃!と思ったがそれより早く旦那が不倫を取り押さえた。


「早く警察を!」


 僕は急いで110番した。









 警察が来る前に、死んだ時間から少し時間がたった理由をどうするか旦那と決めた。

 旦那が部屋に入った時にはもう死んでいて、不倫が旦那に襲い掛かった悲鳴で僕が部屋に入り、不倫を押さえ付けるのに少々時間がかかったことにした。

 完璧だ。

 僕に思いっきり殴られた跡があるのも証拠だ。


「嘘だ! あいつら共犯だ!」


 不倫がそう主張したが、僕は全く旦那と面識がないのだ。僕が犯人なわけがない。

 僕の頬に自ら短気さを刻み付けたのだから、カッとなって殺したのだろうというのは誰が見ても明白だ。

 警察は一応僕にも話を聞いたが、警察に連れていかれることはなかった。旦那は事情聴取、不倫はとりあえず僕を殴ったことで逮捕、現場検証や聞き込みなんかをして帰って行った。

 簡単にまとめたが、すべてが終わったのは夕飯にしようかという時間だ。やれやれ。思ったより時間をとられてしまった。


「ふぅ…いたた」


 クーラーの聞いた自室に帰り、ミネラルウォーターで喉をうるおすと傷にすこししみた。

 災難だった。まさか殴られるとは、部屋を出た時には思わなかった。しかし仕方ないか。殺人の罪をひっかぶってもらったのだ。一発くらいなら軽いものだ。僕をわかりやすく被害者にしてくれたのだからむしろ感謝したいくらいだ。


 実は、奥さんを殺したのは僕だ。









−探偵の話−


 どこから話そうか。

 どうして殺したのか、その理由は簡単だ。よくある話。痴情のもつれ。嫉妬。そんなところだ。

 そう、僕は奥さんの愛人その2と言ったところだ。しかし僕はそれを知らなかった。

 彼女は僕に、いつか旦那と別れて一緒になりたいと言った。僕だけだと言った。

 僕はそれに騙されて、完全に舞い上がっていた。彼女はとても美しく、僕は彼女に首ったけだった。

 しかし今日、いつも旦那が出かける時間を過ぎたので、気まぐれに彼女の部屋を訪れようとした時、僕はすべてを知った。

 このマンションはセキュリティも万全という謳い文句だが、ダイニングとリビングにある長めのベランダは隣のベランダと薄い板で仕切られているだけで、簡単に入れる。

 僕は最初、ベランダ越しに彼女のゴキブリを見つけた悲鳴に驚き、ベランダから彼女の部屋に入って彼女と出会った。なのでその後僕はいつもベランダから彼女の部屋に入っていたのだ。

 だからこの日も当たり前のようにベランダを開けたのだけど、瞬間、隣から彼女の不貞の数々が聞こえてきた。僕一人ではなく、むしろ僕こそ最後の三人目だった。

 そのショックに僕は殺意を抱いた。会話を盗み聞いているとどうも彼女一人になったようなので、素早く侵入して彼女を殺した。僕の指紋がつかないようベランダに置きっぱなしにしていた軍手をつかっている。

 そこからは簡単だ。旦那の悲鳴をいいことに侵入し、発見者を気取る。都合のいいことに探偵役もできた。

 不倫は紐に触れ、指紋がついた。実は話を聞くなどと言ったが、紐をとった方を犯人にしてやろうと決めていたのだ。

 不倫は犯人役にうってつけだし、よかったよかった。もはや私を疑う人間はいないだろう。

 愛する人を失った悲しみはまだあるが、仕方ないことだ。

 明日からまた頑張ろう。


−ピンポーン


 ん? こんな時間に誰だ?


「××署のものですが」


 …あれ?







一番最初からおかしいところを色々いれたつもりですが、わかりましたかね。それともわかりやすすぎますかね。

推理というジャンルですが主人公は別に推理してませんが、一応。

主人公はマッチョです。だから不倫はびびって言うこと聞きますし、推理小説を読むようにも見えません。

素早く殺せます。ただその普通じゃない素早さと力強さ、あと二人の説明からあまりに怪しくて犯人とバレた。

不倫はできるだけ馬鹿っぽく書きました。


読んでくれてありがとうございました。


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