第一話〜胡散臭い神様と怪しい転生権〜
あの日ー正しくは始まりの日、私は混乱していた。
その時は普通に目覚めたから、いつも通りの日常が始めると思っていた。でもそこは覚えのない空間だった。
私の記憶では昨日は、物凄くショックなことが起きて、やけ酒というものをして倒れるように眠ったはずだ。う〜ん。それから……、…あれ?私は私の人生を思い起こそうとしてみて、記憶がほとんどないことに気がついた。私は私がどういった人間なのか思い出せないのだ。う〜ん、これは由々しき事態だぞ…!やたらキラキラした目に悪い建物のような所にいること事態、何かが物凄くおかしいのに。
「おや、いらっしゃい。」
悩んでいる私に声をかけてきたのは、ふよふよと宙に浮いている発光している白い球。しかもよりにもよってこう宣った。
「私は神です。貴女は死にました。昨夜、地球時間でいう◯◯億年◯◯◯◯◯◯日、現日本国でいうと2023年、つまり令和5年4月1日にお亡くなりになりました。ち〜ん。壊れた端末機器ー正確にはiPadと呼ばれる物の破片に額を貫かれ死亡しました。…ぷっ!」
あ、今こいつ笑った。なんとなくわかる。これは馬鹿にした笑いだ。
「正確には破片が前頭葉の重要な部分を損傷し、ほぼ即死でした。殆ど苦しむ間もなかったので良かったですね。…くふふっ…www」
なんかその態度はムカつくなぁ…。
「くふっ…くふふふっ!その珍しい死に方ゆえに、私的ポイントが高かったので、転生する権利をあげます。いぇ〜い。」
「…ポイント…?」
「正確には爆笑ポイントですね。歴代最高記録と同等の高い爆笑ポイントでした。恋人のゲイ確定浮気が発覚してやけ酒をした拍子に、思い出が詰まったiPadを落としてぶっ壊して、仕事に使う用のメモも諸々使えなくなって、泣きながらやけ酒し、そのまま馬鹿みたいに寝転がって眠り、寝返りを打つタイミングで額を貫かれ死亡。…ぷっくくくっ…wwwいやぁ〜、最期がそれとは惨めですね〜w。」
…こいつ、ぶん殴って良いかな?
「さて、嬉しいお知らせに戻りましょう。貴女には転生する権利をあげます。具体的には、私が管理支配する世界、豊穣と繁栄の栄光なる三大大陸を有する名無しの星への転生権です。わーいぱちぱち。」
「…あ、あのっ!死んだら皆が転生するんですか…?」
「いいえ。貴女がたまたま私の目にとまって、とても滑稽だったからです。転生の権利獲得おめでとうございます!…そして何故、私の星なのか…それは、私たちの星が今だけ受け入れ可能だからです。要は転生する方にこの優れた星を選ばせてあげようと思って!泣いて喜んで良いですよ。」
こんなムカつく神のいる世界は嫌だなぁ…。
「他に選ぶことのできる星はないんですか…?」
「……何故ですか?むしろ転生の権利以外は何も持ち合わせてない貴女が、特別な権利なしで優れた星に魂を移住できるんですよ?感謝すべきなのでは?」
…そこだけきくとそうなんだけどさぁ…。
「……分かりました。その星で転生させて下さい…。」
「勿論です!では、何か対価を下さい。」
「…はい??」
「それがない限り、人格はそのままといっても、貴女は何に生まれ変わるか分かりませんし、あの世界に弾かれる可能性があります。虫となってただ無限に続く虚空を彷徨いたくはないでしょう…?」
思わずゾッとした。なんて恐ろしいことだ。この神の言い分は悪質な商売のようにしか思えない。…でも、言うことを聞く以外にどうすれば良いのかなんて分からない!
「何故、対価が必要なんでしょうか…?」
「あくまで星への転生権は売り物だからです。…貴女の住んでいた地球の先進国の人間たちで言うスーパープライスとやらの状態ですが。」
「…なんか、釈然としませんね…。」
「…あ、私への信仰心とやらでも対価の代わりになりえますよ。」
「…あ、じゃあそれで。」
「それでは、星について説明しましょう。」
名の無い偉大なる神がつくりし4つの大陸。
1つは、もはや何者もどんな強力な魔物でさえ住めないという暗黒の大陸。これは、大陸としてカウントしない。
一つ目は、神が豊穣を願い創りたもうた黄金の大陸。
二つ目は、繁栄を願い、その為のヒントを散りばめたダンジョンが乱立する、金の大陸。
三つ目は、神の栄光を常に示さんとするための神器や未知なる神秘が眠るとされる、銀の大陸。
一つ目の大陸である黄金の大陸には、多くの普人種が住み、覇権を握ろうとしている。
二つ目の大陸である金の大陸には、多くの獣人やドワーフが住んでいる。
三つ目の大陸である銀の大陸には、多くのエルフや龍人が住んでいる。
暗黒の大陸の左側の近くにある大きな島、そこには、人類の不変の敵であるキメラが住む。大陸に縛られることなく自由に移動する小人族。どの大陸にもいる様々な魔物に魔獣。
キメラ:平均数種類の魔物や魔獣の特徴を持った敵。意思疎通可能で知能があるが、人類だとみなされない。独自の生態を築く。人間を見ると食欲がとめどなく湧く生き物。
旧神と呼ばれる存在がいる。それはこの星にとっては禁忌の存在なので、よく覚えておくように。
「ひとまず教えるのはここまでですね。質問は受付ません。…それで、転生先の希望はなんでしょう?」
「え…っと、能力が欲しいです。」
「三つだけお渡しましょう。」
「少なっ!!」
「当然、あまりに破格のものは却下です。」
「ええええ…?…じゃ、じゃあ、アイテムボックス、それと鑑定…。…あ、あと!ステータス閲覧もできるようにして欲しいです!」
「分かりました。では、良い旅を。」
「良い人生を」の間違いじゃあ…?と思ったその時、パカッと床下が開いた。それこそ、箱のように開いた。私の立っているところが。びゅうびゅうと下から荒れ狂う風が私の身体の叩き付けられる。
「え……っ?ええええええええええっっっ!!!?」
舌を噛むと死にそうな程の強風が顔面に叩きつけられながら、私はスカイダイビング状態になった。周りは極彩色の世界。
『さぁ!新たな挑戦者だぁぁ〜っ!!果たして運を掴み、転生先をいいものにできるのかぁ〜っ!!?』…なっ…何この声!??
『…さぁっ!目指せ!1等転生!!』いっ1等!?何!??
ああああああもうっ!!分からないけど、掴むっ!!1等来い!!1等来い!!1等来い!!私は、より良い人生にしたいんだーーーーーっ!!!
びゅゅぅぅっっ…より一層強い風が叩きつけてきた後、風が止んだ。そこで、私の意識は途切れた。
主人公 (…ところであの神って何の神だったの?)




