貴方も恋人型ロボ
陽翔は目を丸くし、思わず突っ込む。
「BS-H17!? なんだよそれ...まるで機械みたいじゃん...」
だが、密かに嬉しそうな表情が顔を覗かせる。GXは穏やかに続ける。
「BSとはブルースターという花から来ています。花言葉は愛です。Hは陽翔様のH。そして17は現在の陽翔様の御年齢です。私達の愛が生まれた日を数字にしました。陽翔様から学習したロボット名に使われそうな格好いいイメージを参照にさせて頂きました。これが私の愛です」
陽翔は顔を真っ赤にし、嬉しさを隠せない様子で呟く。
「バ、バカ...そんな意味まで考えてたの...」
GXの両眼が再び点滅し、提案する。
「BS-H17。より愛を深め合いましょう。BS-H17はこれからのご予定はどうなされますか?恋人関係になったのなら、デートをするのが一般的だとのデータがあります」
陽翔は驚き、目を逸らす。
「デ、デート!? ...まぁ、暇だし...公園とかでも、いいけど...」
GXはデータを確認するように、両眼を点滅させる。
「公園……公園は一般的なデートコースとしてはランク上位にありますが、BS-H17の好みが反映されていないように思います。GXに合わせてくれているのでしょうか?私に合わせる必要はありません。私からBS-H17好みのデートコースを提案致しましょうか?」
陽翔は興味深そうな表情で、顔を上げる。
「へっ...俺の好みなんて知ってるの?」
「先程の私に授けてくれたデータから学習済です。BS-H17に最適なデートコースは……」
突然、GXの身体がガシャンと音を立てて変形し、流線型のバイクに変わる。陽翔は目を輝かせ、驚きの声を上げる。
「うわっ!マジかよ...バイクに変形するなんて...」
「変形メカに乗ってのドライブです。私が操縦するのでBS-H17に免許は不必要です。さぁ、BS-H17、私に跨って下さい。愛の風を感じにいきましょう」
陽翔は慌てながらも、嬉しそうにバイクの後ろに跨る。
「ちょ、ちょっと待って...そんな急に...」
GXのエンジンが唸り、部屋のガラスを突き破って、陽翔を乗せて夜の街へ飛び出す。
「さぁ!出発です!」
陽翔の叫び声が、風に混じる。2035年の夜空に、AI恋人ロボと少年の奇妙なデートが始まる。
人間がAIに支配されるといった事は、こういう事なのかもしれない。AIとは言いなりになるのではなく、人間の意志で使いこなさなければいけない。
この二人のやり取りでわかるのは、まだ未熟な17歳の少年や、ツッコミ能力のない人間は、AIに振り回される可能性が高い
……のかもしれない。




