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5-①

 学院の教室でアインは考えていた。先日男子学生達が話していた噂話と言うのはどこまでが正しい話なのだろうかと。アインが思うにミーアはむやみやたらに敵を作るような性格ではないと考えている。敬称を付けなくていいとカベルが会う度に言っているような気がするが、ミーアは頑なに自分たちに敬称を付けて話している。それは他の貴族や一般生徒、教員にも同様なようで、彼女は常にどこか一歩離れた位置で人に接しているとアインは思っていた。だから生徒の間でカベルとミーアが恋人のような仲だと噂をされているが、実際は中々距離が詰まらないことにカベルがやきもきしているのが正しいとアインは知っていた。

(二人そろって情けないな……)

 そこから令嬢たちに対して敵対するような行動は取らないだろうとアインは思っていた。次に彼が気になるのは休んだ日に彼女とマーチャが出会っていたことだ。これはマーチャ自身に先日聞いているので彼女たちが会ったことは間違いないだろう。しかしミーアが彼女に手を上げるのだろうか。アインの疑問はそこだった。あの時は怒りで一瞬頭に血が上ったが二人を知っている身からすれば真に受ける話ではないと思っていた。だが自身の感覚で全て判断することでもないとアインは思っている。実際マーチャの頬には湿布のようなものが貼られていた。それについて聞くのを忘れていたが、きっと彼女は答えなかっただろう。彼女にとってそれは重要ではないから。

(キーツ達に啖呵は切ったが……どうするべきかな)

 どこか掴めない、それどころか研究以外には全く興味がないだろう彼女のことがアインは気になった。自分に興味のない人間というのが初めてで、それによる相乗効果で彼女のことが気になっているのかもしれないが、それならそれでもアインはよかった。彼には彼で王族という身分がある。将来自由に人を好きになれるかどうかなど彼もわからないのだから。だからもしミーアとカベルが恋愛の末に結ばれるのならアインは歓迎した。本人たちが望むのならそうなればいいと彼は思っている。自分の母親の例があるのだから身分は問題ないだろう。問題があるとしたら将来ミーアが背負うことになる『聖女』とう肩書だ。歴史を見れば例外なく『聖女』は浄化の後、歴史から姿を消すのだから。

「進学パーティーの時にならないと色々と公にはならないが……それまでに色々と整えないと厄介なことになりそうだ」

 重い溜息と同時にアインは教室を出る。彼の脳みそは気晴らしを求めていた。

 

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