初めての夜
私達も就寝する時間が近づいてきた。
ウォルフは一人で眠れるかな?とウォルフのベッドへと誘う。
急に膝から降ろされて一人になったことが寂しいのかキュンキュンと鳴き始めた。
そうよね。一人は寂しいよね。めいぐるみでは親兄弟の代わりにはならないよね。
じゃ、眠るまで一緒に居るよ。大丈夫。一人じゃないからね。とウォルフに声を掛ける。
ウォルフをベッドに寝かせて眠るまで背中をトントンする。と、落ち着いたのかスヤスヤと眠り始めた。
私はそれを見て安心し自分達の寝室へ向かうことにした。
今日のウォルフの様子を思い返してみる。
ご飯をもう少しゆっくり食べれるように工夫した方が良いかも。躾も。お座りぐらいはできた方が良いよね。後はおトイレか。
まだ3回目のワクチンを打ってないからお散歩は出来ないし。明日からやる事を整理する。
明日からウォルフの観察を始めようと心に誓って夢の世界へと旅立った。
夜中。
ふと目が覚めると、寝室の外から小さな鳴き声が聞こえてきた。
「キュゥン、キュゥン……」
ウォルフだ。やっぱり一人では心細かったのね。
静かに寝室を出てリビングに向かうと、そこには小さな体でベッドの縁に前足をかけ、じっとこちらを見上げているウォルフがいた。
大きな瞳が潤んでいて、まるで「どうして一緒に寝てくれないの?」と訴えているようだ。
抱き上げると、体温がじんわりと胸に広がる。まだあどけない温もり。
「仕方ないなぁ、今日は特別ね」
そう言って、リビングのソファに毛布を持ってきて、ウォルフと一緒に横になることにした。
ウォルフは私の腕の中で安心したように小さくため息をつき、あっという間に眠りに落ちていった。
その寝顔を見つめながら、私は心の中で呟く。
――これから、あなたと一緒にどんな日々を過ごしていくのだろう。
胸の奥に小さな決意と、大きな愛おしさを抱きながら、私も再び眠りについた。