刺客
森の中を1人は空を飛びもう1人は歩いて進んで行く。
この森にある異変を解決するために、
少し前目の前の少女フェリシアが勇者だと知りその事実は土屋神楽土屋神楽の体にとって途轍も無い衝撃だった。
土屋神楽にとって勇者は、
生前いや前世?元の世界ではずっと空想や夢の中の存在だった憧れの存在が今喋り協力してくれないかとこちらに語り掛けているその光景に脳が揺れ視界が暗転し倒れ込みそうになるところをいや実際崩れた体制をなんとか持ち直す。
「大丈夫?さっきの私の剣の影響がまだ残ってたりしてないかい?」
「大丈夫です。いや最初に見た時からなんとなくそうなんじゃないかと思ってましたけど、実際に言われるとこんなに衝撃的なんだな...」
「うん?どう言うこと?」
その言葉にフェリシアは首を傾げていた。
そんな首を傾げる彼女を見て息を吐き冷静になる。
本当はなら彼女の力を見せて貰ったり彼女の冒険の話を聞いてみたり彼女に鍛錬をつけて欲しいと思っているがだがその気持ちは今は目を逸らす。
彼女が自分が勇者だと明かしたのは、そんなことをしてほしいからではないことくらいはわかる。
フェリシアはただ自分についてきて欲しくて話を聞きたくて自分の素性を明かしたのだ。
ならそんな事は今しなくていいそれに小さい頃から憧れた勇者と言う存在が本当に存在していたその事実だけで今の自分は満足なのだから。
「貴方に会えて嬉しいって意味ですよ。」
と正直に伝えると彼女は気になるところがまだある様子だったがとりあえずは納得したようだった。
「君を連れてこの森を直ぐに出たいところなんだけどその前にこの森の問題を解決しなきゃね」
「目的って言うのは?」
そう神楽が聞き返すとフェリアシアは自分の目を指差し
「この森の魔物達が問題を起こしてる原因赤い目を解決しにきたの」
その言葉にこの森で起きている事がやはり異常なのだと納得しながらも勇者が1人でこの森にくるほどの重要なのかと驚く
「今赤い目の魔物達を倒しながらこの森にある魔法陣を壊して回ってるの後は一つだけの筈なんだけど見つからなくてね」
「魔法陣は見たことはないですけど場所はわかるかも知れません」
その言葉にフェリシアは神楽の肩を掴み
「わかるの?!」
と聞き返してくるその勢いに驚きながらも
「はい、俺がこの森で空を飛んでいる時ある洞窟から赤い目の魔物が出てくるのを見たんだけどその洞窟を守るみたいに魔物がいるのを見たので」
「なるほど確かにそれは怪しいね」
「この近くなんで案内しますよ」
手伝いたいと思い案内を申し出るとなぜか呆気に取られた表情をフェリシアがしており
「どうかしました?」
「いや、うんそうだねおねがいできる?」
その様子のフェリシアを見ているとなぜかはわからないが彼女がまるで何かを隠しているように感じ聞いてみるか迷うただこれ以上踏み込めばフェリシアが目の前からいなくなってしまうように感じ躊躇してしまう。
「じゃあ行こうか!」
彼女は、神楽の手を取り微笑みかけ行こうとするフェリシアをにつられてその場を後にするその小さな疑問を残しながら。
神楽が言った通り先ほどまでいた場所から近く
件の洞窟が見えるようになるまで時間はかからなかった。
その洞窟に近づく途中赤い目をした魔物にやはり遭遇するフェリシアはそんなものでは止まらない剣すら抜かず素手で魔物を相手し振るうだけで魔物が両断されて行く。
その強さに驚き逃げようとする魔物をポルターガイストを使い妨害するだけで周りの魔物が倒されて行くところを見て改めてその力を再認識しながらもさの技術をなんとか再現できないか考えつつ洞窟の入り口へ
2人は辿り着く。
「此処からは敵がどこから来るか分からないだから十分気おつけてねカグラくん」
「了解です。フェリシアさん」
フェリシアが前を歩きそれを土屋が後ろでついて行く
先程の洞窟までの道中もこちらの様子を伺いながら敵を倒していたいつでも土屋を助けれるようにそして土屋が消えてしまわないよう剣を使わず素手でそんなフェリシアの負担を出来るだけ減らせるようこちらも
ポルターガストで大剣を浮かせつつ低めに飛びいつでも地面に触れ魔法を発動させられる状態でついて行く
洞窟に入ると冷えた空気が頬を撫で目の前に広がる石と宝石で出来た巨大な空間だったこの森の洞窟には入ったことはなかったがここまで大きいとは思っていなかった奥に続く道が幽霊のお陰か暗闇でも見えるようになった土屋でもどこまで続いているかわからないくらい広くここにある宝石は人の背丈ほどありみる場所を変えるだけで様々な色に変化し輝いている
「綺麗でしょそれ魔硝石って言うのこう言う魔力に満ちた場所で生成されて武器や防具装飾に使われるの。」
「なるほどじゃあその剣にもこれが含まれてるんですか?」
「いやこの鎧には含まれてるけどこの剣は違うね
ある人が調べた事はあるらしいんだけどこの世界にある物じゃないらしいよ神からの賜り物だとか言われてる」
「そうなんですね防具や武器の素材か」
「気になるならここから出た後買ってあげるよ」
「いいんですか?」
「もちろんお話しをまた聴かせてね」
「ええ勿論」
「でもその剣があるから買ってあげるとしたら鎧かもねーでもうーんちょっとその大剣見せてくれない?」
そう言いながら手招きをし近づいて剣を見せてくれないかとゆうお願いを聞きポルターガイストを解き手で持ってフェリシアのそばへ行く充分近づき大剣を見ると
「あれこれやっぱり結構古い剣だね誰かから貰ったのかな大事に使われてきたみたいだけどここら辺とかやっぱりガタがきてるよ見てごらん」
フェリシアが剣の根本の部分を指さすのを見て見るためにフェリシアの顔が横に来るくらいの距離に近づくと彼女は周りに聞こえないような小さな声で
「敵が近くで隠れてるからもし気づいても相手を見ないようにね」
と耳打ちをし注意するように伝えて来るその情報に神楽は
「...なるほど。」
とこちらも小声で返す
「気づいてた?」
「いや、なんとなく気配がしたのとフェリシアさんが何か気づいたように感じたので数だとか正確な位置は分かりませんけどこれからどうします?もう少し会話なりして隙を作って相手が食いつくまで待ちます?」
その提案にフェリシアは一瞬悩んだ表情を浮かべ
「うーんいやこれ以上待つとまずい気がするからなー」
「そうですか...じゃあおおまかでいいです位置わかります?」
小声での作戦会議が終わりフェリシアが小さく指差した場所にある石や魔硝石が揺れ巻き上がる
ポルターガイストによる炙り出しその索敵に耐えられなかったのかある影が何もない空間から飛び出す。
その存在は黒い羽と鋭い牙を持ち吐き気を覚えるほどの血の匂いがする人間程の大きな蝙蝠の魔物だった。
姿を見せた魔物は身を翻し洞窟の出口へと逃げ出す。
それをフェリシアは見逃さない逃げ魔物に瞬時に追いつき手刀を喰らわせる魔物も咄嗟に羽で守るが地面に叩き落とされ次の蹴りを躱す事ができずその体を両断された。
魔物が絶命し直後洞窟が大きく揺れ小さくなっていく
先ほどまで先が見えないほど大きかった洞窟は小部屋ほどの大きさまで縮み真ん中に怪しく光る魔法陣が現れた。
「幻惑魔法かかなり高度なやつだねあのまま気づかなかったら不味かったかな」
フェリシアは自分が倒した魔物の魔法を評価する。
「この魔物がこの一件の首謀者なんでしょうか?」
幻惑魔法とやら遠発動させていた魔物を指差し土屋がフェリシアに尋ねると
「どうだろう確かに魔法の技術は確かな物だった私が魔力で抵抗できずに一度は掛かったくらいだからでも私がこの森に来る前にも王国の騎士団がここにきてるこの魔物の実力でやられるような人達じゃないだから....」
彼女の言う王国の騎士団がどれほどの実力なのかはわからない
もしフェリシアの言うとおりまだ首謀者がいるとしても今やるべきことは、
「まずは魔法陣を壊しましょう」
「そうだねもしそんなやつが居たとしても洞窟の中にはいないみたいだし」
フェリシアは神楽の言葉に思考を切り替え手刀に魔力を纏いつつ頭の上から魔法陣に向け振り下ろした。
轟音と共に魔力が放たれ地面に描かれていた魔法陣が消え去る。
魔法陣の影響だったのか洞窟内に充満していた魔力が霧散する。
「よしとりあえずはこれでここは大丈夫あとはいるかも知れない首謀者を探そうか」
「分かりました」
そう言うフェリシアの言葉に促されこの洞窟を出ると
様々な魔法と斬撃が彼らを襲った。
彼らがいたはずの場所には土埃が巻き上がる。その土埃から飛び出すように空へ飛び出す人影へ向け先程の
攻撃がもう一度襲う前に先程の蛮行を咎める様に光が敵たちを薙ぎ払った。
土埃をが消え去りその場に純白の鎧に包まれた少女が光り輝く剣を携え現れるその姿に傷は無く
静かな怒りに燃えるフェリシアの姿だけだった。
「何者だ!姿を見せなさい!」
その声に答える様に魔物達が姿を表す。
蜘蛛の姿や顔が馬の魔物巨石でできたゴーレムの様な魔物などが現るそのどれもが目が赤く光っていた
そしてその後ろからある人物が姿を表す白く短い髪と右が白く左目が赤い目をした獣の耳を持った少年だった。
その姿を見てフェリシアは驚くその少年の年齢がどう見ても10代かそこらその幼い姿をしながらもフェリシアが警戒するほどの魔力と殺気を放っていたからだ。
彼女が神楽を遠ざけ剣を抜かなければ行けないほどに
「....何者か?そうかユウシャはオレの事知らないのかそうか....だがオレはオマエをオマエたちを忘れない」
その言葉に自分自身の記憶を探ってみるが覚えが無いフェリシアにとって彼は初めて合う人物の筈だ。
そのように思考し黙り込む彼女の姿を見て少年は言葉を続ける。
「でも仕方ないかオレがユウシャとあったのはオレがもっと小さい時だそれにオレは最近出てきたから知らないだろう」
そう力無く言葉を口にしながら彼は一歩魔物達の前に出る様に踏み出し宣言する。
「オレは魔王軍幹部 ムーニア・フッサム ユウシャ達が殺した幹部その後継者だ。」
その発言にフェリシアは驚愕しすぐさまあり得ないと
ムーニアの言葉を否定するなぜなら
「信じられないのか?」
「それはそうね魔王軍幹部はそう簡単になれる物じゃないその強さだけでなく重要な役割をもっているからこそそう直ぐに後継は現れない」
だが確かにこの少年は自身の魔力で証明している実力だけであれば彼は確かに、
「まあでもオレが幹部なことはそこまで重要じゃない
重要なのはユウシャがここにいてオレの目の前に立ってる事だ」
彼は魔力を解放し殺気を携え両手に片方が白片方が黒の色の違うナイフを構え
「だからユウシャが奪った仲間の命をお前の命で払って貰う」
そう言った彼の姿が消えた。いや違う目の前に手が届く位置までフェリシアとの距離を一瞬で食い千切り放たれた一撃が死闘の開始を宣言した。
遥か上空土埃から飛び出し空に留まりフェリシアと
自分達を攻撃してきた張本人たち獣の少年と魔物達を見ていた。
数の有利連携があるとはいえフェリシアが防戦一方に追い込まれている。
その理由としてはあの戦場にいる全てが強く自分の役割をこなしているからだ。
蜘蛛の魔物は糸を張り巡らせフェリシアの行動を制限しつつ味方の足場を形成し魔法を発動させフェリシアの力を弱らせながら拘束用の糸を飛ばしている。
馬面の魔物は二つの魔法を同時に展開し味方の支援とフェリシアへの同時攻撃を行い。
巨石のゴーレムは、味方の盾とその質量攻撃を行い彼女の退路を絶っている。
そして何よりもあの獣の少年凄まじいスピードで翻弄し味方の攻撃と合わせ攻撃を繰り出しつつフェリシアの攻撃を味方に当たらないように割り込んでそらし彼女が対応できないスピードで傷を与へて行く
その全てをなんとかいなし立ち回るフェリシアはまるで何かを待っている様な準備しているように見える。
「わかっているわかっていた。」
彼女の剣がだけではない敵の攻撃全てが一撃でも食らえば致命傷になる威力。
今あそこに割って入れる実力は自分には無い神楽には無いそれはよく理解していた。
「だけど何も出来ないわけじゃない」
あの場所から離脱し近づけば消える存在だったとしても、
あの場から共に離脱し近くに漂う大剣を手に取る
「あの人達に追いつく為に力を貸してください。」
コンバルがその言葉に答えるようにやってみろと言った気がした。
「俺は、何が出来る?」
大剣を放がてから離れ重力に逆らわず落下していく
魔法が舞い剣戟が披露される戦いの渦中、勇者の動きを制限し続けいなされながらも攻撃しその復讐に燃える短剣が鎧へと届く寸前空からの横槍がその視界を遮った。
その横槍いや大剣を短剣で弾きできた隙を他の魔物に守らせる。邪魔を排除し攻撃へ戻る前に彼らは気付く
弾いた剣が落下せず。馬面の魔物へ攻撃を始めたことを咄嗟に魔法を唱え迎撃しようする標的へ接近し距離を取らせない。魔法を避け続け馬の魔物を釘付けにする。
この状況に即座に対応し魔法の攻撃の代わりをするように蜘蛛の魔物と獣の少年は勇者に接近し攻撃の手を緩めない彼女を少しでも自由にさせないようにその勇者にゴーレムの巨大な拳が上から迫り直撃する。
圧倒的な質量による攻撃による一撃によって勇者であってもまともに受ければただでは済まないはずだった
そうまともに受ければ、拳のした潰した筈の場所から何かが爆発するような音が聴こえ拳を起点として地面が割れる巨人の拳によってか違うそれは下の人物が十分な空間を作り出すために地面を蹴り割ったのだ剣を振るうその為に光が見えるそれは魔を滅する光だ極限まで凝縮され空間を歪めるほどの重みを持った必殺の一撃それはたとえ巨人からの攻撃を受けたとしても揺らぐようなものではなかった。
剣が振るわれる。魔力が斬撃となって飛ばされ邁進する。今も空を飛ぶ大剣の対応に追われようやく大剣を弾き戦闘に参加する直前だった馬面の魔物に光が巨人の片腕と共に光に飲み込まれ消失する。
凄まじい威力巻き込まれた片方は腕がなくなり体制を崩しもう片方は体事全てが消え去った。
それでも残った攻撃から逃れた2人の敵は攻撃を続ける。
絡めて取ろうとする糸を剣を振うそれだけで霧散する
攻撃を横目に勇者は蜘蛛の魔物の至近距離まで接近する逃れる術はない剣に体が触れ一撃で体の半分が消し飛び絶命する。
その彼女の隙をつくように背後から獣の少年が短剣を携え高速で迫る。反応を許さない速度とタイミングを狙い短剣が届く寸前勇者は振り返り少年の片方の短剣を捉え叩き落として見せた。
その芸当に少年は驚きありえないと落とされた短剣を捨て置き彼の最高速で勇者を襲うだがその全てが弾かれ彼の驚きは恐怖へと変わる。
先程までこの勇者は、少なくとも少年の速度に対応できていなかった筈だなのにどれだけ速度をあげても全て弾かれる何故!?
「君が唯一厄介だった。君の速度は凄くて攻撃を防げなかっただから慣れるまで待った。」
そうその勇者は言い放った。
この短時間で複数を相手にしながら、この勇者は少年のみに標的を絞っていたのだと。
「君の攻撃は届く前に全て叩き落とす。」
その宣言にその笑みに少年は
「届かない?これだけ近くにいてようやく目の前に来てオマエを切り刻めるその直前で!そんな事認められるか!!」
感情を爆発させ殺意と憎しみをこめ目の前の勇者を睨みつけありったけの激情をぶちまける
「ふざけるな。ふざけるなお前が憎いお前達が憎い全て壊しておいて何もかも奪って傷つけてやり直そうとしてそれをもう一度消し去ったお前を全てを奪ったお前達を俺は絶対許さない!!!」
一息に有り余る感情に支配されるように言葉を吐き出し目の前の勇者に叫ぶ言葉で呪うように目で刺すように相手を傷つける為に声が枯れるような大きな声で
その激情に勇者は押されるように少年の視線から外れようと後退る勇者はこの少年のことを思い出せない。
この少年に何があったのかが分からないだが彼の奪われたそして仇と言う言葉にこの少年に何があったのかは、想像できた。それに自分がどのように関わり何をしたのか少女には分からないただ少年が抱く怒りをその殺意をフェリシアは痛いほど理解ができその目には
その少年に幼い少女の姿が被って見えた。
「殺す」
短いだが確かな意思を持って言葉を放ち少年は勇者の目の前からかき消えその代わりに地面を蹴り空気を切るような音が聞こえる
「その腕が上がらなくなるまでまでオマエを切り続けてやる!」
少年は森を縦横無尽に飛び回り自らの最高速度で勇者を襲い続ける。
何度弾かれてもその命を奪うまで、
少年の刃を弾き続けフェリシアは思考を続ける
先ほど自分が言った彼の攻撃はもう届かないそれは誇張でもなくただの事実だ。
彼の最高速度は理解した彼の力の理解したし彼が何か策を立ててきたとしても彼を見失うことはしない。
このまま攻撃を続ければ先に潰れるのはムーニアの方だ。
だが問題は彼の攻撃を弾けても自分の攻撃がムーニアに当たらないということだった。
確かに彼の動きは見切りその上で弾いている。
だがこちらから仕掛けるとなるとこの剣はフェリシア自身の魔力を与える事で絶大な魔力を放つことができる。
だがその関係上攻撃の瞬間を魔力での感知される。
彼はその感覚が私と同じように恐ろしく鋭い。
攻撃の前に彼に気づかれ避けられてしまっている。
彼との戦いを長引かせるつもりはないなんとかして彼を捉え一撃を加えなければならないそれに彼が、
本当に魔王軍幹部に選ばれたとするならば、彼はまだ何か力を隠している筈どうにかして彼を止めることが出来ればその糸口を探しながら彼女達は膠着状態に陥った二人の横を一本の大剣が横切った。
その大剣は宙を舞い森へ入りそこにある木を伐採し切られた木々がムーニアの動きを阻むように
襲い始めた。
神楽は彼の動きが見切れている訳ではない勇者すらも捉えきれない速度で縦横無尽に動き攻撃を続けている。存在にまずポルターガイストの操作速度では追いつけない。それでもこの森で訓練し戦いを経る中でその力は増大している最初は棍棒一本を浮かすことにも苦労していたが今では、数十本の木を浮かし自由に動かすことができるようになった。
彼の動きを見切ることができずともそれだけの手数そして神楽は、追い詰められた獣がどう動くのかそれを知っている。
幾つもの木々が宙を舞い地面へムーニアの行く手を遮るように突き刺さる避け躱し続けるこの攻撃が自分に当たることはない速度があまりにも遅く捉えられていないその筈なのに行く手を遮るように速度を殺すように木々が突き刺さって行く
「邪魔をするな!」
空に浮かんでいる木の本数を確かめ数が減り数本になった瞬間を狙う
目の前に突き刺さった木を蹴り方向転換をし今も木を切り続けている大剣に狙いを定め駆ける。
あれを潰せばこの部外者は戦いに参加できないとわかっていたから。
故に読み易い
目の前に20本もの木が突き刺さった
減っていたはずの木は、近寄ってきた獣を迎撃をするために大剣の近くに置いてあった木だ
即座に姿勢を変え木を蹴り離脱を測ろうとするムーニアの退路を残った木々で塞ぐまあとは言えムーニアにとっては本来木など障害にすらならない切り刻み突っ切ることなど造作もないだろう。
だがそれは最高速では入れないほんの僅かだがそれを勇者は見逃さない。
捕えられたムーニアを勇者の剣が捉え振るわれる
そこへ割り込むように半身を消し飛ばされ動けなかったはずの巨像が唸りをあげもう片方の腕を割り込ませる様に叩き付ける勇者の行く手を遮ろうとする直前勇者は見た。
苛立ち追い詰められた。ムーニアの髪が伸び両目が紅く輝いて行くところを最大の警告音が脳内で鳴り響く。
あれは不味い経験と増えていく魔力が勇者に前進を選択させる
目の前に現れた。巨大な腕を剣を振いながら引き潰し前へムーニアへと至近距離まで近づきぶち当て彼を吹き飛ばす瞬間腕の部分に痛みが走りながらも振り切った剣は。巨像に勢いを削がれながらも振るわれた剣はムーニアを吹き飛ばし大きな傷を負わせる先程の変化が邪魔された事で維持できなくなったのか元に戻って行く。
その様子を見て剣を構え直すと気づく剣を持つ腕に刃物で切られた様な傷がついていた。
かなり深いが動かせない程ではない問題はそれを今になって気づいた事
彼に当てた瞬間にもしや攻撃されていたのか?
私が反応すら許さない速度で
「完全に力を出す前でこれなら本当に危なかった」
完全に攻撃をくらいもう動けない少年はこちらを睨みながら未だ剣を握っている彼に話しかける。
「あの赤い目はやっぱり君の能力みたいだね死にかけていた味方すら無理矢理動かせるとは思ってなかったけど」
少年は舌打ちをしながら答える
「あの魔物達は仲間なんかじゃないオレの仲間は全員お前たちに殺されてる。あれはただの盾だ。」
「そう...君は、」
「フェリシアさん逃げろ!!!」
上空からの声を聞き咄嗟に後ろに下がる。
と何かが空から落ちてきた。勇者と少年の間に割って入るように、凄まじい衝撃と共にそこへ降り立った者を知ることになる。それは、
「何故貴様が此処にいる!魔王!」
「久しいな勇者よ」
全てを飲み込む闇がそこに立っていた。