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死想英雄譚〜死して始まる物語〜  作者: 亜化月
第一章 英雄への道
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夢の姿

コンバルとの戦いをおえ彼の遺体を埋葬した。

異世界にきた時からやっている儀式の様な物だが、

いつもよりも早く穴を掘る事ができた。彼を倒しそれによって得た魔法の知識と魔力が増えたお陰だろう。

まあコンバルのように土で津波みたいな物を作ることは出来なかったが、とりあえずはこれでいい


わかっている。最初から上手くいくわけではない修行し鍛錬し極めることでようやく物になったと言えるのだ。


「そのためにもっと多くの事を知らなきゃな知識があるのとないのじゃ大違いだ。」


そのためにはまず何をすべきかここで得た知識が役に立つ


「やっぱり先ずは鍛錬だな神様から人の事魔物そして

魔王の事を聞いてはいたが想像以上の強さだからな。この幽霊の状態でもし人と会っても」


その反応は決して友好的だけとは限らないだろう


「せめて逃げれるもしくは対抗できるくらいの力が欲しい」


そしてそれが彼コンバルが託した願いをかなえる事ができる方法だから



それから一週間後。

木々を躱し宙を舞う幽霊を捉えようと投石や先回りなどを画策し敵は小賢しい幽霊を地に落とそうとして来るその数20ただ種族や同じ魔物と言う訳ではなく

蛇や鳥ゴブリンやモグラの様な魔物までまるでこの森の魔物の見本市だ。彼らがここまで目の前の幽霊を追うだけの事を何かしでかしたのかと言われるとそんな事はない幽霊はただいつもの様に空を飛ぶ訓練をしていて近くを通っただけだ。

まあ勿論それだけで襲いかかってくる魔物もいるが

今向かって来ている全ての魔物がそれに該当するわけではない。

そんな彼らがなぜここまで徒党を組んでまでこちらへ来るのかその理由は彼らのただ一つの共通点


「赤い目想像以上に増えてるな」


今この森に起こっている異常。赤い目と呼んでいるそれは言葉通りこの森にいる魔物達の目が赤く染まることその魔物達は魔力と力そして凶暴性が大きく増す呪いのような症状それが赤い目だ。

以前はこれは他の森でもおきている自然発生する物などの可能性も考えていたがコンバルの生前の記憶を見て経験からそれはないと考えている。彼が戦争中多くの場所を移動し魔物を見ていた記憶からこんな目をしていた魔物を見たことは無かった。

もしかしたらコンバルに止められた後の記憶にはあった物なのかも知れないが

ただこの呪いは明らかに何者かが意図的に広めそして

操っているものだと確信している何故なら

これは


「おっとあぶな!」


思考を妨げる強襲を回避し、嘶く鳥の魔物を見る

思考を切り上げ攻撃を避けながら飛行する訓練を終わりにする。ここはなんでもありの戦闘訓練の始りだ。



力を抜き重力に身を任せ地面への急降下を敢行する

魔物が投げてくる投擲物をポルターガストで弾き敵を避けながら地面に触れ唱える。


ウィルエンキ(土よ舞い上がれ)


地面が淡く光りその後大量の土埃が発生した。

地上にいた敵全てを覆う魔法に空の魔物も土屋を見失う。土埃の中焦り走り出した一体魔物背が低く犬の頭を持った人型の魔物コボルトを見逃がさず。

斬りつけ気絶させ誘拐する。悲鳴が聞こえても

周りの魔物は、同士で集まり見張るなどと言うことはしないなぜならこの魔物達はゴーストを倒す為に偶然集まっただけで仲間ではなく赤い目は逆にこの目眩しで苛立ちを生み出し仲間割れを起こす。

怒号の様な叫びと殴打が鳴り響く土煙の中突然空へ

打ち出される様子を伺っていた鳥の魔物に向かう様に

咄嗟に翼で弾き何が起きているのか動揺しているところを視界外から回らせた剣で串刺しにする

落ちてくる鳥へ近づき剣を回収するとようやく土埃が晴れ地上の惨状が見えた。


「想像以上に減ったな」


その言葉通り先程まであった見本市は見る影もなく

その数を20から5まで数を減らしていたそれでも油断はできず睨み合っていると前の方にいた魔物三体が動いた。それぞれ唸る様な声を出し手を前に掲げ火氷風の魔法がゴーストを飲み込まんと猛進する


「ウォールガイア」


魔法を唱えぶつけた土が魔法とぶつかるが相殺出来ず相手の魔法がこちらに来るのが見える。

飛び上がり空へと回避したところへ後ろにいた筈の2体の魔物が飛びかかってきた。

先ほどまでとは違う連携に驚きながらも

焦らないもう敵に空を飛べる者はおらず魔法も連携も手数と魔法で翻弄し、同士討ちをさせ魔法で土に埋め、剣で斬りつけ一体ずつ対処して最後の一体を倒して見せた。


「終わったー」


周りに広がる魔物たちを見ながら嘆息し流れてく魔力に達成感を覚える。休憩しながが敵の数を数えていると違和感を覚える。


「...足らな」


そう言いかけた時何かが急接近してくる音と共に強大な魔力を感じた。すぐさま飛び上がり姿を隠そうとするももう遅かった。凄まじい土煙と共に姿を表したそれは

白を基調とした鎧真珠のように輝く鎧をしなやかな肢体に纏い腰には剣を携えた金色の髪とサファイアのような透き通った蒼い目をした美しい少女が立っていた。

少女は土屋を見つめ少し警戒するような態度をとっていたが何かに気づいたのか驚くように


「あれ?もしかして君悪霊化してないー?しかも目も赤くないし君ちょっとお話し出来ない?」


その申し出に恐る恐る近づき少女と同じ目線くらいの高さになると少女は改めてまじまじと観察すると


「やっぱり悪霊化してない珍しいね君みたいに幽霊になった子は基本的にこんな死体が多い場所だと悪い魔力を取り込んで悪霊化しちゃうんだけど..

うん悪霊なら切らなきゃだけどそうじゃないなら保護しなきゃね。」


至近距離で体全体を隅々まで見られ辟易してしまうがそれはいい問題は


「あのーすいません見るのはいいですけど剣の柄に手を置きながらはやめて貰えませんか...」


そうコンバルの記憶から教わった言葉を使い喋りかけると

その言葉に彼女は驚き目を見開くと


「君喋れるって事はやっぱり悪霊化してないよね!

珍しいこうゆう魔力が多い場所は悪い物を吸って悪霊化しちゃうものなんだけど、ってごめんごめんそうだよね魔物が目の前でいると癖で戦闘体制になっちゃうの敵意はないから安心して!」


その発言と共に彼女が纏っていた膨大な魔力が霧散する。

重圧に解放されたことと言葉が通じる事に安心し一息ついていると

少女は頭を抱えながら


「もうあのお話しがあったこんなこれだからあの子にもフェーリアは近づかないであげてください怖がってしまうのでなんて言われちゃうのよもう」


小声でひとり反省会を開催していた。

そんなに気にしなくてもいいのだがとも思いつつ改めて少女多分フェーリアさんを観察する。

体つきはやはり細いまるでスポーツ選手の様な体だ。

力があると言うより動きやすそうな体というかその体から生じている

魔力は凄まじい量なだけでなくそれが全て体の中に満遍なく満ちており凝縮されている事が分かる。

何人か魔物の魔力を見たがこんなに綺麗に制御されている魔力はこの森にはいなかった近い例をあげるとするならコンバルさんの記憶にいた彼の主人が一番近いだろうか。

それと、フェーリアさんが持っている剣にようやく目を向けるその件は彼女が身につけている鎧と同じように白を基調として金の装飾が施されており柄の真ん中には彼女と同じ蒼い宝石が埋め込まれており元の世界で言うロングソードと類似していた。

その剣が彼女が動くことで揺れる度に触れないように少し遠ざかる。なぜこんなことをしているかと言うと

あの剣を見ているだけで体と気分が悪くなって行く感覚があり何かはわからないがあの剣には触れてはいけないように感じる。

そう思いもう少し距離を取ろう土屋が動いた時背後から何者かの影が迫る。気配に気づき、

ポルターガイストと大剣で迎撃しようと振り向くとそこには先ほど闘った血まみれのコボルトと先程まで目の前で頭を抱えていたはずのフェーリアがコボルトに立ち塞がるように剣を構え立っていた。

襲いかかってくるコボルトに彼女が剣を振るう

その瞬間空間が軋むほどの魔力の奔流と共に光の斬撃がコボルトへと向かいコボルトごと後ろの森と地形を消し飛ばした

轟音と衝撃が収まり彼女は敵がもういないことを確認したのか剣を納め


「大丈夫だった?」


と土屋に向き直り声を掛けるとそこのは

今にも消えそうなほど薄くなっていた土屋の姿があった。


「わーーーーー!ごめん!!しっかりしてー!!」



何度目かの臨死体験いや臨昇天体験をこえ数分途切れていた意識が戻り薄くなっていた体も少しは戻ったり体を起こすと

少女はなんとかしようと剣を少し遠めに置き土屋の手を握りながら祈っていた。

彼女は目を覚ましたのを確認すると今にも泣き出しそうな顔をしながら


「よかった!目が覚めた本当にごめん!幽霊の君がいるのにあの剣を振ることの危なさ気づいて無かった。ってこのお詫びは絶対にするからなんでも言って私ができる範囲だけど...」


その大袈裟な謝罪と申し出にまあまあと彼女を宥めながら魔物たちの死体が目に入る数秒考え


「じゃあ彼等を埋葬するのを手伝ってもらえませんか?」


その提案に彼女は少し驚いたような顔をしながらも頷き了承してくれた。

自分が死体を運び見逃しがないか確認していると


「ここら辺でいい?」


と少女が地面を指差しているのが見える。


「ええそこにしましょう。少し数が多いので自分も手伝います。」


「わかったよー」


そう言うと少女は地面に向かってデコピンの要領で衝撃波を放ち穴を量産していく。その光景に少し唖然としながらも早くしないと自分のする事がなくなると少し急ぐのだった。


「君はどうしてこんな事を?」


埋葬が終わり手を合わせている時そんな事を聞かれた。


「そうですね、特に深い意味は無いですけど彼らに敬意を払うべきだと思ったんです。」


この魔物達がどんな事をしてきてどんな魔物なのか自分は知らない。ただそんな魔物達にも積み上げた物がある。技術があるそれを蔑ろにしたく無いだけで、


「ただこれは、ただの自己満でしか無い事はわかっています。立場や環境でいつでも出来る事じゃ無い。ただ自らの命を賭して戦う者たちに、自分は敬意を持って全力で向き合い全力で戦いたいと思っているんです。」




「そう君は優しいんだねそんな事考えたこともなかった。」


そう彼女は呟いたその顔はとても悲しそうで


「....君私に一緒に森をでない?私について来てもらえれば私の仲間の聖職者を紹介してあげる。君の望みを叶える力になれると思うんだ。どう?」


その表情を切り替える様に再び笑顔に戻った彼女がとても辛そうに見えた。そんな彼女を放っておきたくなくて


「..ええ分かりました」


頷き彼女の提案を受け入れた。


「ありがとう貴方の話もっと聞きたかったんだ。ってそうだ貴方の名前をまだ聞いていなかったね」


そういうと彼女は姿勢を正しこちらに手を伸ばすと


「私に君の名前を教えてくれない?」


そう改めて尋ねてくる彼女に目線を合わせ伝える


「俺の名前は土屋神楽これからよろしく」


「ツチヤカグラうんいい名前」


そう頷きながら彼女は続ける


「ではカグラ私の名前はフェリシア・マーラこの世界で勇者と呼ばれている冒険者だよ」


そう彼女は土屋の手をとり微笑む、そう彼は出会った幼少期から目指し追い求めた存在が彼の目の前でそう告げたのだった。








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