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死想英雄譚〜死して始まる物語〜  作者: 亜化月
死者から生者へ
13/34

ドレーラ

神と契約交わし洞窟を去ったあと、

神楽は、頭の中にある記憶を頼りに森の中を進む。

3日は歩いただろうか。途中魔物に襲われ、道に迷いかけ苦戦しながらも。長かった森を抜け。

ようやく神楽は目的の場所へと辿り着く。

眼前に広がるのは、ドレーラと呼ばれる。

ある大きな町、人々で賑わい。商店などが立ち並ぶ

前の世界での昔の西洋に似た家が多く建てられた。

そんな町が森を抜けた彼の前に現れた。


神楽は、フェリシアとの約束を果たす為、彼女が最後に立ち寄ったこの町へ、来たのだった。


町に入る前ふとある問題に気付き、

どうしようかと足を止める。頭を悩ませていると、

町の近くに行商人が馬車に乗っていや、馬では無いか。

多くは元いた世界と変わらないだが、明確に違うのはその馬に羽が生えていた事だ。

言ってしまえばツノの無いペガサスが一番近いだろうか。

そんな事を思いながら、腰に装備していた物を一時的に近くの木に立て掛け、町に行こうとしていた行商人に声をかける。

持っているお金を出して白い布を買いたいと言うと商人は快く売ってくれた。

フェリシアさん少しお借りしますそう心の中で、言いながら。


商人から買った布で、先程木に立て掛けた。

剣を包み完全に周りに見えないようにする。


「顔や声もだけど、この剣もかなり有名だからな」


フェリシアから受け継いだこの聖剣はそれだけでかなりの知名度を持つ。

町の中に入ったあと騒ぎにならないようにしなくていけない。


「町に入ったあと、あの人に会う前に色々とやらなきゃな。」


そんな事を考えたあとようやく町の中に入る。

町の中に入ると、外から見た通り多くの人が住んでおり町は人々の声で満ちていた。

ただ少しフェリシアさんの記憶にあるのとは違い、少し景色が違い人の活気が無いような...

些細な差、気のせいかも知れないが確かに神楽はそう感じた。町の入り口を抜け

記憶の中を探りながら、足を進める。確かここら辺に宿があった筈。


そう思い出しながら少し開けた場所に出ると。

道の真ん中で男性二人が言い争っており、その内一人の男性の隣には、大人一人分の大きさの石で出来た像が立っていた。


「ダイラもう休め、何時間作業を続けるんだ。

体が保たんぞ一度休んだらどうだ?」


そう言う男性の言葉を、ダイラと呼ばれた。青年は、

手に持った道具を動かしながら答える。


「あの人がいつまた来てくれるかわからない。次に来てくれる時までに、これを完成させておきたいんだよ頼む、父さんやらせてくれ」


そう言う青年は作業を続ける。その言葉に青年の父親だろう男性は、口籠もりその姿を見つめている。

その青年の顔と隣にある石像未完成ではあるが、

それは確かにフェリシアの像だった。

それを見て記憶が急に出てくるように

ある出来事が、頭の中である記憶を思い出した。


それはフェリシアが、この町を森に入る前立ち寄った時、

熱心に彼女の像を作りたいと頼む青年がいたそれが目の前のダイラだった。ただフェリシアはそういった事に慣れておらず最初は、遠慮していたが、彼の熱意と思いを聞き、それを了承した事を許可をもらい、

直ぐに、持ってきた。図面と町で一番目立つ場所に置くと言う彼の言葉に恥ずかしがっていた事を思い出す。

この記憶は、森の中では思い出せなかった。


「フェリシアさん石像恥ずかしがってコンバルが記憶を見せないかった時みたいに、記憶を封印してるところがある?」


なるほど確かにいくつか記憶に穴がある場所もある。

となるとやはり記憶に少しズレている所があるらしい。

だとすれば、彼が言う見せたがっている相手は、


「勇者様は亡くなった。それはもう聞いただろう。

ダイラ」


その父言葉に一瞬ダイラの手が止まるがまた直ぐに、手を動かし作業を再開する。


「俺は信じない。」


そう言いながら、何時間も作業を続けボロボになった手を止めず。

その姿に神楽は、確かにフェリシアさんがこの町にいたのだと、

彼女が最後に立ち寄ったこの町の人々に大切に思われていたのだと実感する。

神楽は彼らへと近づいていく

人影に紛れるようにダイラの近くを通り過ぎる時、

彼にだけ届く声で、


「勇者様は、恥ずかしがっていましたけど本当は嬉しかったそうですよ。」


その言葉を伝え去って行く。

ダイラは手を止めその言葉の主を探すがもういない

その代わりに彼の目から感情が溢れるように涙を流した。

そのダイナに驚き父親は駆け寄る。

そしてダイラの方に手を置き目を見て


「もう休めダイラ、勇者様もおまえが倒れるなんて事は望んじゃいない」


その言葉を聞き彼等はゆっくりとその場から離れて行く。その姿を神楽が少し遠くから見つめる。

神楽もまたそのふたりの姿を見てその場から離れる。

ただ一つ勇者の死が、何故もうここまで知られているのかその疑問を抱えてながら、


少し歩き記憶通りの場所に宿を見つける。

中に入り椅子に座っている。男性に銀貨2枚と銅貨6枚を出す。

男性はそれを見たあとこちらを見ると。


「2日かい?」


「うん、足りるかい?」


「ああ、問題ない部屋の鍵だ。ゆっくりしていきな。」


そう言いながらこの宿の店主は、鍵を渡してくる。

その鍵を受け取り、部屋に行く前に、


「そうだこの時間隣ってもう入れるのかい?」


「ん?ああそう言うことか問題ないとおもうよ」


その言葉に満足し部屋まで向かい荷物を置く。

そのまま部屋で休むのではなく一度宿から外に出て隣の建物へと向かう。


周りの建物より少し大きな扉の上にこの世界でカーラと書かれた看板が置いてあった。

少し扉の前で立ち止まり。確認しておきたかった事を確認し終わり。扉を開けそこにいた。女性に銅貨1枚を渡し通ると、

そこには日本で言う脱衣所と風呂があった。人はいない昼過ぎの一番空いている時間というのもあるが、先程扉を開ける前に魔力を見て調べておいた。

服を脱ぎ体の汚れを流して行く。

勿論目は閉じたままで、神楽はまだ生前、高校生、

流石に女性の体を見ながら洗う事はできなかった。

ひと通り洗い終わり湯に浸かる。

体の疲れが少しだけ取れて行くように感じ流石に

森で休息と水浴びはしていたが、かなり無理をしていた事を感じる。

湯に浸かりながら頭を上げこれからすべき事を考える。


「まずは二つだな。あの人に会う事とそれと....お金がいる」


この町についてお金を使ったがそれでお金は尽きかけている。

この世界の物価は、かなり日本とは違う。

魔物や魔王との戦いや被害によって価値が変わる事はある。

いってしまえば戦争をいつもしているのと同じなのだ。

今だとおそらく銀貨が千、銅貨が百くらいだろうか。

一昔前には、貨幣が紙以下の価値になったこともあるらしい。そんな事になっていなくてよかった。

現在はかなり落ち着いている筈だが、

フェリシアさんは、あまり大きな額を持ち歩く人ではなかったようだお金は貯める、いや貯まって行くタイプだった。

故に貯めてある場所も、その引き出しからも知っているがそれに心情的にあまり頼りたくない気持ちだけでなく。

とある問題がありおそらく引き出せない事がわかっていた。だから出来るだけ節約すべきなのだろうが、


「体は綺麗にしておかないといけなかったからな」


流石に何日も入らずとは行かなかった。

だがこれで準備は出来た。

明日にでも会いに行こう。

そう手にある淡く光る石で出来た。御守りを見ながら

少年の町での1日は終わった。


次の日の朝、神楽が訪れたのは、フェリシアの記憶にあった。冒険者ギルドへと足を運んでいた。中に入ると

様々な冒険者たちが、テーブルに肘をつき椅子に座りながら。朝早くから酒を飲み交わす者もいれば、

情報交換やクエストの依頼仲間を集めるなどの、

やりとりが盛んに行われている。

その中の受付にいる女性に話し掛ける。


「いらっしゃいませ本日はどのようなご用件ですか?」


「冒険者になりたいんですが登録をお願い出来ますか?」


女性に笑顔で聞かれ今日ここにきた。理由を話すと


「なるほどギルドへの加入ですか分かりました。ではこの紙に手を置いて魔力を流していただけますか?」


「分かりました。」


女性に促され目の前に出された紙に手を置くそうすると紙が青く光り輝き文字が浮かび上がる。

それを確認し女性は、紙の文字を確認すると、


「はい確かに新しい方ですね。ではようこそ我がギルドは、新しい冒険者の誕生を歓迎致します!」


その言葉に周りの冒険者も声を上げ新しき冒険者を迎え入れた。


冒険者ギルドは、この世界で魔物を倒したり。ダンジョンの攻略や依頼の受付などを行う場所だ。多くの冒険者がここに所属し支援を受けている。

この町で過ごすならやっておきたい事の一つだった。

少し不安があったが、問題は無くすんでよかった。

受付の女性に先程の紙を受け取り、

ある事を聞く。


「すいません。ガーデさんという方を知りませんか?探しているんですが」


「ああ、その人なら今お友達とここにいると思いますよ。おーい!ガーデさーんお客様ですよー」


「うん?なんだ。新人の冒険者が何か俺に用か?」


そこには、今ここで共にテーブルを囲んでいる友と話をしていた男性、ガーデがいた。歳は30くらい冒険者という風貌ではなく、商人のような格好をしていた。

ガーデは初めてあった神楽が何故自分を呼ぶのか分からず、困惑しているようだった。

そんな彼に手に持った淡く光る石で出来た御守りを見せると、


「…すまねえ用事が出来た。自分が呼んで置いて悪いが、俺はこの冒険者と話がある。また相談に乗ってもらえるか?」


「え?だっておまえ妹さんの事で相談したいんだろ。

心配だからってそこの冒険者との話、そんな大事な事なのか?」


ガーデの言葉に驚き彼の友達は事情を、聞こうとするが。


「その妹に用があるらしい。」


ガーデについて行き共に冒険者ギルドを出て人通りの少ない場所まで行く。


「さてここなら、周りに人もいないな。なんでそれをおまえが持ってるそれは妹が、あの人に渡したもんだ。」


明らかに警戒し拳を握り締めこちらに聞くガーデに、


「貴方の妹さんに、会う前に貴方に許可を取るべきだと考えました。お願いしますリーナさんに会う事を許してはくれませんか?」


そう頭を下げ頼む冒険者にガーデは毒気を抜かれたように、握った拳が力を失うのだった。











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